債権回収代行、頼むなら弁護士?サービサー?それぞれのメリット・デメリットとは

債権回収代行 債権回収

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株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

債権回収は会社にとって、重要な問題のひとつです。
例え少額の債権であっても未回収のまま放置すれば、会社の経営に影響を及ぼしかねません。
しかし、自力で債権回収しようにも「方法が分からない」「債務者が応じてくれない」などと、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなとき役に立つのが、債権回収を外部の第三者に委託する「債権回収代行サービス」です。
債権回収代行は、金銭の支払いなどを請求する権利を持つ人(債権者)に代わって、金銭などを回収してもらえるサービスです。
本コラムでは、そんな債権回収代行について詳しく解説します。

▼この記事でわかること

  • 債権回収代行とは、どのようなサービスなのか分かります
  • どんなケースで債権回収代行の利用を検討するべきか知ることができます
  • 債権回収代行の種類について知ることができます

▼こんな方におすすめ

  • 債権を回収したいと考えているが、進め方が分からない方
  • 債務者が交渉に応じないなど、自力で債権回収が難しいと考えている方
  • 債権回収代行について、詳しく知りたいと考えている方

債権回収代行とは?

債権回収代行
債権回収代行とは、債権者に代わって債権の回収業務を代行することをいいます。

債権回収代行は、弁護士、許可を受けた民間の債権回収会社、総額140万円以下の債権に限り認定司法書士に、依頼をすることができます。

もともと日本では、債権者本人以外で債権回収をすることできるのは弁護士だけで、弁護士以外が債権回収行為を代行することは法律で禁止されていました。
しかし1990年代のバブル経済崩壊後、不良債権処理の促進を目的とし、「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)が施行され、債権回収行為の一部が民間にも解禁されました。
この法律により1999年から、法務大臣の許可を受けた民間企業も債権回収の代行をすることができるようになったのです。

債権回収代行を検討すべきケース


債権回収を進めたいが、弁護士や債権回収会社(サービサー)に依頼するのは、バードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ次のようなケースの場合、債権回収代行を依頼することによる利点が多いと考えられるため、検討してもよいでしょう。

債権回収の知識、ノウハウがない場合

債権回収の知識が乏しく「何から手をつけていいか分からない」「債務者にどのように伝えればいいか分からない」というケースでは、自力で債権回収できるまでにかなりの時間がかかり、精神的な負担も大きくなります。
また直接債権回収に関与しない調査や手続きを行ってしまうと、必要以上の経費が発生してしまうリスクもあります。

債権回収代行を依頼することにより、回収に掛かる労力、時間を削減することができます。
ムダなく適切な手順を踏んで効率的に手続きを行えるという点も、大きな利点になるでしょう。

法的措置を検討している場合

「取引先に支払い能力がない」「取引先が故意に支払いに応じない」といったケースは、自力での債権回収は難しく、債権回収代行への依頼を検討するべきでしょう。

債務者が債務整理を行う可能性、債権の時効、債務者の保有する資産などを加味し、状況にあわせて適切な法的措置を検討しなければなりません。
弁護士ならば、訴訟や強制執行の手続きまで任せることができます。

債権回収はどこに依頼する?メリット、デメリットは?


債権回収代行はどこに依頼するべきなのか、依頼先それぞれの特徴、メリット、デメリットなどについて解説します。

債権回収会社(サービサー)

債権回収会社は前項で説明した通り、サービサー法に基づき、法務大臣の認可を受けて設立された民間の債権管理回収専門の株式会社です。
認可の要件は「資本金5億円以上の株式会社であること」「取締役の1人以上に弁護士が含まれていること」「暴力団員を業務に従事させていないこと」などです。

債権回収会社は債権者からの委託または債権の譲渡を受けて、債権の管理・回収を行います。
「委託」と「譲渡」は依頼者の実情に応じ、どちらかを選ぶことができます。

委託 債権自体の持ち主は変わらず、債権回収会社が債権の額面に応じた手数料を取って回収を進めます。
譲渡 債権回収会社が債権者から債権を買い取り、債権回収を行います。債権者から買い取った金額と、債務者から回収した金額の差額が債権会社の利益となる仕組みです。

債権回収会社に依頼するメリット

債権回収会社に依頼するメリットは、未回収の債権の確実な資産化、不良債権の早期処分などが可能になることです。
債権処分により資産を圧縮できますし、仮に債務者が破産しても債権全額を回収できないというリスクが生じない方法です。

また法務大臣の許可を受けている債権回収会社は、暴力団などの排除が徹底され、警察庁などの立ち入り調査なども行われており、法律で定められた手続きにのっとって債権回収代行業を行っていますので安心して利用できます。
なお法務省のホームページでは、許可を受けている債権回収会社のリストを確認することも可能です。

債権回収会社に依頼するデメリット

債権回収会社は原則、サービサー法に基づいた「特定金銭債権」しか取り扱うことができません。
具体的に依頼できるのは、金融機関、住宅ローン、クレジットカードなど一部の債権に限られます。
おもな「特定金銭債権」は次の通りです。

  • 金融機関などが有する(有していた)貸付債権
  • リース・クレジット債権
  • 資産の流動化に関する金銭債権
  • ファクタリング業者が有する金銭債権
  • 法的倒産手続中の者が有する金銭債権
  • 保証契約に基づく債権
  • その他政令で定める債権

また、債権回収会社に債権を譲渡する場合、債務者の状況によっては、かなりディスカウントされる可能性があるということにも注意が必要でしょう。
買取価格が額面に比べてかなり低く設定されるケースが多いのも、デメリットになります。

ファクタリング会社

企業が保有する売掛債権を買い取って現金化する「ファクタリング」というサービスがあり、このサービスを行っている会社をファクタリング会社といいます。
債権回収会社の仕組みと似ていますが、ファクタリングはあくまでも資金調達サービスで、売掛債権を対象としています。
不良債権を扱っていない点なども、債権回収会社と違う点です。

ファクタリング会社に依頼するメリット

ファクタリング会社に代行を依頼する場合も、債権回収会社と同様、債権を買い取ってもらえるため、未回収債権の確実な資産化が可能になるというメリットがあります。
「即日」「数日」などと、短期間での現金化が可能なため、資産調達を急ぐ会社などにとって、大きなメリットがあります。

ファクタリング会社に依頼するデメリット

ファクタリング会社は売掛債権を買い取り、売掛債権の金額から10〜20%程度の手数料を引いた額を依頼者に支払います。
その手数料の支払いが必要となる点が、デメリットのひとつといえるでしょう。
さらに債務者の状況によっては売却できないケースがあったり、ファクタリング会社が債務者から回収するのに必要な費用を負担しなければならない場合もあります。

弁護士

債権回収の代行は基本的に、法律家である弁護士に認められた業務です。
あくまで、その例外として存在するのが国から許可を受けた債権回収会社です。
弁護士の場合、特定のものだけではなく、債権全般について回収の代行を依頼することができます。
専用サイトなどで検索すれば、債権回収を専門分野としている弁護士事務所なども見つけることができますし、その中から自社の状況にあった弁護士を選ぶことも可能です。

弁護士に依頼するメリット

弁護士のメリットは、債権の種類や額に制限なく、法的措置を含め一括で代行を依頼できる点です。
債務者との交渉についても、弁護士名義での書類通知、交渉代理などを依頼できますので、より高い効力を期待できます。
さらに債権の背景にあるトラブルなどについて、アドバイスや法的措置を求めることができるのも、弁護士へのメリットといえるでしょう。

また債権回収会社などではそれぞれの回収スキームにのっとって定型的にものごとが進められがちですが、弁護士に依頼すれば依頼者の事情に踏まえ対応できます。

弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼すれば、当然弁護士費用が発生します。
弁護士に依頼した場合、債権の買取という仕組みがないため、回収額によっては費用倒れになるリスクもあるでしょう。
債権が少額なケース、また当初見込んだよりも手続きなどに費用がかかる可能性があるケース、債権が回収できない可能性が高いケースなどが考えられます。

まとめ


債権回収は、かかる費用をできるだけ抑え、会社の損失をできる限り少なくしたいものですが、債権には時効もあり、対応を誤れば問題は深刻化する可能性もあります。
債権回収の代行を依頼するかどうかお悩みの際は、債権回収に実績のある弁護士などにまず、相談することをおすすめします。

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