自社製品とそっくりな商品が販売されている、作成した記事がそのままコピーされて他者のサイトに掲載されている、というようなことはありませんか。
このような著作権侵害行為は、いつ自分の身に降り掛かってくるかわかりません。
では実際に著作権侵害行為にあったら、どのような法的措置をとることができるのでしょうか。
そもそも著作権とは何かということから、トラブル解決の流れまで、くわしく解説します。
著作権侵害行為に困っている方はぜひ参考にしてみてください。
▼この記事でわかること
- 著作権の目的や種類について解説します
- 著作権侵害行為とはどのような行為が該当するかがわかります
- 著作権を侵害されたときの対処方法がわかります
▼こんな方におすすめ
- 著作権とは何かについて知りたいと思っている方
- 著作権侵害行為にあって困っている方
- 著作権を侵害されたときの解決方法について知りたい方
著作権とは
著作権とは文芸や学術、美術や音楽など、思想や感情を創作的に表現した「著作物」に対する権利のことです。
以下のようなものをはじめとして、作成者の個性が現れている創作物を広く含みます。
小説/脚本/論文/講演/音楽/舞踊/無言劇/絵画/版画/彫刻/建築/地図/学術的な性質を有する図面、図表、模型/映画/写真/プログラム |
一方で、以下に該当するものは、著作権が発生しません。
特に、アイディアについて、例えば「猫の形をした青いロボットで、耳がなく、お腹にポケットがあるキャラクター」というアイディアがあったとして、これ自体は著作権法で保護されるものではなく、アイディアに著作権は発生しません。
上記のアイディアに基づくアウトプットとしてドラえもんを複製した場合には、著作権侵害になりますが、アウトプットがドラえもんを複製したとは言えない全く別のキャラクターだった場合には、アイディアを模倣しただけですので著作権侵害にはならない可能性が高いです。
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またその著作物を創作した者を「著作者」といいます。
著作物を作った著作者の権利や、その権利に隣接する権利を定め、著作者等の権利の保護を目的としているのが著作権法となります。
著作権の種類
著作権は著作物の内容、二次利用の方法などによってさまざまな種類に細分化されます。
一般的な著作権の種類は、次のようなものです。
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著作権は、著作物が誕生すると自動的に付与される権利です。
何らかの手続きをしないと発生しないというものではありません。
創作者が創作した著作物には、その誕生の瞬間から著作権が付与されますので、その瞬間から権利が保護されていることになるのです。
著作者人格権とは
著作者の権利には、著作権のほかに著作者人格権といわれるものもあります。
著作者人格権には、「公表権」、「氏名表示権」、「同一性保持権」の3つがあり、これらは著作者の一身に専属するものとされ、譲渡することはできません。
著作物の譲渡契約は、ビジネスの世界ではよく行われますが、たとえ著作物の譲渡契約を交わしたとしても、著作者人格権は、譲渡の対象とはならないのです。
そのため、著作権の譲渡を含む契約書には、「著作者は、相手方に対して著作者人格権は行使しない。」などの文言を規定しておくことが多いです。
著作権侵害にあたるケースとは?
権利者の許諾を受けずに著作権に抵触する行為は、著作権侵害とみなされます。
著作権侵害の具体的な例をみてみましょう。
著作権侵害 |
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著作者人格権侵害 |
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なお、以下に掲げるような場合は、著作権侵害行為とはみなされません。
- 著作権者の許諾を得て著作物を複製等する場合
- 私的使用のための複製
- 図書館等における複製等
- 引用
- 教科用図書等への掲載
- 試験問題としての複製等
- 営利を目的としない上演等
著作権を侵害されたときの法的措置
著作権が侵害された場合、まず、民事事件として訴えを提起するのか、刑事事件として告訴するのかを考えなければなりません。
なぜなら、上記は全く別の手続きで、どちらを選択するかで方法や手続きが異なってくるからです。
では、実際にどのような法的措置をとることができるのか、民事上の請求と刑事上手続きに分けて解説します。
民事上の請求
著作権侵害行為によって損害が発生し又は損害が発生する恐れのある場合、民事事件として訴えを提起することが多いです。
民事事件は裁判所に訴えを提起することで開始し、裁判所が当事者の主張を聞いたうえで判決が下されます。
では具体的に民事事件として訴えた場合にどのようなことが請求できるのかについてみていきましょう。
差止請求
著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権または著作隣接権などを侵害する者や、あるいは侵害するおそれがある者に対して差止請求ができます。
差止請求では、侵害行為によって作成された物や侵害行為に供された機械や器具の廃棄、侵害行為の停止、また予防に必要な措置を請求することができます。
たとえば、許諾を得ていない楽曲の演奏が公衆の前で行われることが明らかなとき、予防として、その上演を停止することが可能です。
差止請求ができるのは、著作者のほか、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者等です。
損害賠償請求
著作者や著作権者は、著作権を侵害された結果損害が発生した場合、その侵害者に対して損害賠償請求ができます。
相手方が著作権侵害行為により利益を得ている場合は、その利益を権利者の損害額と推定することがあります。
また相手方が著作権者に許諾を得ず、著作物を無料で配ってしまった場合、著作権者は、本来なら販売できたであろう数量や売上金額を算出し、侵害行為をした者に対して請求することもできます。
不当利得返還請求
民法では、他人の財産を使用して利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益額の限度において返還する義務を負っています。
不当利得返還請求は、この義務を履行してもらうために行う請求です。
著作権侵害行為は、相手の著作物を不当に使用することによって利益を得ているのですから、不当に得た利益は、相手に返還する義務が生じるのです。
名誉回復措置
著作者や著作権者は、著作権侵害行為の相手に対し、名誉回復の措置を請求することもできます。
たとえば、訂正広告や謝罪広告のように、権利者の名誉を回復するために、公の場において謝罪する行為を裁判所が命令することがあります。
これによって、著作者の名誉や声望を回復することが目的となります。
著作権侵害行為は、相手に対し、損害に対する金銭的な要求だけでなく、名誉回復措置のような行為を命令することもできます。
また、名誉回復措置は、それのみを行うことも可能ですし、損害賠償請求とあわせて行うことも可能です。
刑事上の請求
刑事事件は、警察が犯罪の疑いを発見し、捜査をした上で被疑者の嫌疑が高まった段階で、検察庁に事件を送致します。検察官は事案に応じて起訴、不起訴、起訴猶予等の処分を決定します。
検察官が起訴した場合に、刑事訴訟が開始し、裁判所が有罪無罪、有罪の場合には、刑罰の内容が決定します。
刑事事件に持ち込むためには、警察に捜査を開始してもらう必要があります。
警察が捜査を開始するきっかけはさまざまですが、告訴がなければ警察が事件として取り扱わない犯罪もあり、これを親告罪といいます。
著作権法違反の場合には、どのような犯罪をしたかによって、親告罪でないものと親告罪であるものがあります。
また親告罪でないものであっても、警察がその犯罪に気づかないこともありますので、告訴を検討する余地があります。
なお、告訴をしたからといって直ちに警察が捜査を開始してくれるとは限りませんので、専門家に相談し、どのように告訴をすることで警察が捜査を開始してくれる可能性を挙げられるか検討をした上で、告訴を行うことがよいでしょう。
著作権侵害による刑事上の罰則
著作権侵害行為の一般的な罰則は、10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金となります。
また、著作者人格権の侵害行為の場合、罰則は、5年以下の懲役、または500万円以下の罰金となります。
これらは、それぞれ単体の場合もありますし、どちらも併科されることもあります。
著作権侵害の時効等
著作権侵害を訴える場合、気を付けなければならないのは、時効です。
民事事件の場合、時効が完成すると訴えることはできません。
また、どのような請求権かによって、時効が異なります。
著作権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求の場合ですが、時効は、被害があったことを知ったときから3年間、または、侵害行為そのものがあったときから20年間となります。
不当利得返還請求の場合は、10年間行使しないと消滅します。
刑事事件については告訴の期間が決まっている場合があります。
親告罪である刑事事件の場合、刑事告訴は、犯人を知ったときから6か月以内と決められていますので、告訴する場合はこの期間内に行う必要があります。
なお、親告罪でない場合には告訴期間はありません。
著作権トラブルの解決までの流れ
では、実際に著作権の侵害があった場合、どのような手順を踏むべきでしょうか。
トラブル解決までの流れを解説します。
(1)弁護士などの専門家へ相談する
著作権の侵害があった場合、まずは弁護士などの専門家に相談するのがベストです。
当事者同士で話し合う方法もあるのですが、相手がどのような属性の人間かはわかりません。
こちら側も法律知識がなければ、さらなるトラブルに発展することがあります。
当事者同士で話し合うより弁護士に相談するほうがスムーズに解決することはよくあります。
まずは、弁護士に相談してみましょう。
(2)著作権侵害の事実を確認する
著作権の侵害に基づきを訴えを提起した場合、訴える側が著作権侵害があったことについて証拠を用意する必要があります。
弁護士などに相談する前から、事実を証拠として残しておくと話がスムーズに進めやすいでしょう。
証拠をもとに実際の著作権侵害の実態について弁護士などが判断し、今後の対応方針を決定します。
著作権侵害行為があった場合、その事実をできるだけ証拠として残しておけるようにしておきましょう。
(3)相手と交渉する
弁護士に依頼している場合は、著作権侵害の証拠をもとに弁護士が交渉します。
弁護士が直接相手とコンタクトを取ることで、すぐに著作権侵害行為がおさまることもあります。
また、この時点で損害賠償を請求することもあり、相手がそれに応じた場合は、示談が成立します。
(4)訴訟の提起
相手との交渉が決裂した場合、訴訟を視野に入れます。
どのような目的で訴訟を行うかによって手段は異なります。
著作権侵害を辞めさせたい、損害賠償請求がしたいという場合には、民事訴訟にてその旨の請求を建てることになります。
相手方が、二度と同じようなことはしないようにをこらしめたい場合には、告訴を行い刑事事件化する活動をすることになります。
まとめ
今回は著作権侵害行為について、解説しました。
著作権を侵害されてしまったときは、ひとりで解決しようと安易に相手方と直接交渉してしまうと、交渉がこじれ、思わぬ方向へトラブルが発展してしまうことにもなりかねません。
著作権侵害行為があった場合は、どのような対応をすべきか弁護士等の専門家に相談しましょう。