配偶者やパートナーに浮気されたとしたら、大きなショックを受けることでしょう。
裏切られたことによる精神的苦痛は計り知れません。
このような浮気によって精神的苦痛を受けた場合、相手方に「慰謝料」を請求できます。
浮気に伴う離婚に際して「慰謝料」を請求するケースも多いですが、浮気した配偶者のみならず、浮気相手にも請求できるか気になる方も多いでしょう。
この記事では浮気相手から慰謝料を取る方法について解説します。 浮気相手に慰謝料請求ができるケースや、請求が認められるためのポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 浮気相手へ慰謝料を請求できる事例・できない事例
- 浮気相手へ慰謝料を請求する方法
- 弁護士に相談する方法
こんな方におすすめ
- 配偶者の浮気を疑っている方
- 配偶者の浮気相手に慰謝料を請求したい方
- 弁護士に相談したいものの、どこで探したらいいか分からない方
浮気相手から慰謝料をとることはできる?
結論として、浮気相手から慰謝料を取ることは可能です。
そもそも浮気は、浮気相手がいなければ成立しません。
そして慰謝料請求対象は、浮気の当事者である「配偶者」「浮気相手」の両人へ請求できます。
そもそも夫婦間には「貞操義務」があり、配偶者以外と性的関係を持つことは、不法行為にあたります。
不法行為をした者は、被害者の受けた損害について賠償責任を負います。
浮気は共同で行い、責任も配偶者・浮気相手の双方がとることから、「共同不法行為」に該当します。
浮気相手へ慰謝料請求できるケース
浮気相手へ慰謝料を請求することは可能ですが、必ずしも訴えが認められ、慰謝料を受け取れるとは限りません。
浮気相手へ慰謝料請求できる可能性があるケースとしては、次の3つが挙げられます。
- 故意による浮気のケース
- 過失による浮気のケース
- 浮気に起因する権利侵害があるケース
浮気に対する慰謝料請求は、不法行為による損害に対する慰謝料請求です。 そのため浮気相手に故意や過失があり、なおかつ浮気によって権利侵害されている状態であれば、慰謝料を請求できます。 それぞれ具体例を挙げながら解説するため、ご自身の状況とマッチするか参考にしてください。
故意による浮気のケース
故意による浮気とは、既婚者と知っていながら関係を持っていたケースです。 既婚者と知っているにも関わらず、自由意思によって不貞行為をしていたのであれば、浮気相手が故意に浮気していたと認められます。 故意による不法行為に対しては、慰謝料請求が可能です。
過失による浮気のケース
過失による浮気とは、既婚者とは知らずに関係を持っていたものの、少し注意すれば既婚者だと気が付けたようなケースです。 故意のような悪質性はないかもしれませんが、過失による不法行為に対しても慰謝料請求は可能です。 既婚者であることを予測できたかどうかについては、当事者の年齢や立場、言動、その他客観的状況から判断されます。
浮気に起因する権利侵害があるケース
浮気に起因する権利侵害の例としては、次のような例が挙げられます。
- 家庭内の不和
- 別居
- 離婚
そもそも夫婦には、平穏に婚姻生活を送る権利があります。浮気によって平穏を乱されたとしたら、権利が侵害されたと考えられるでしょう。
浮気相手に慰謝料請求できない可能性があるケース
続いて、慰謝料請求ができない可能性があるケースについて見ていきましょう。
次のようなケースでは、浮気されたとしても慰謝料は請求できない可能性が高いです。
- 浮気相手に故意・過失がないケース
- 浮気による権利侵害がないケース
- 配偶者から十分な慰謝料を受け取っているケース
- 時効を過ぎているケース
それぞれ具体例を挙げながら解説します。 自分が慰謝料を請求できるかどうか個別具体的に判断したい場合は、弁護士に相談してみてください。
浮気相手に故意・過失がないケース
民法での損害賠償責任には、故意・過失が条件とされています。 そのため既婚者であることを知らず、なおかつ既婚者であることに気が付く可能性もなければ、慰謝料は請求できないのです。 たとえば出会い系サイトなどで知り合い、お互いの素性をよく知らないまま関係を持った場合などは、故意も過失も認められない可能性があります。 また、「自分は独身である」と嘘をついて関係を持っていた場合も、不法行為が成立しない可能性が高いです。
浮気による権利侵害がないケース
慰謝料は損害賠償であるため、そもそも浮気による権利侵害がなければ請求できません。 たとえば浮気前から夫婦仲が悪く、別居していたとします。 この場合、すでに夫婦の共同生活は破綻しており、浮気が権利侵害しているとはいえません。 法律上の婚姻関係が形式的に続いているだけで、その実態が平穏な婚姻生活とかけ離れている場合には、浮気による権利侵害が認められない可能性もあるのです。
配偶者から十分な慰謝料を受け取っているケース
被害者が受け取る慰謝料には、適正な相場があります。 この相場と同程度の慰謝料をすでに配偶者から受け取っている場合、さらに追加して浮気相手にも慰謝料を請求することは非常に困難です。 たとえば「慰謝料額は300万円が妥当」とされた浮気で、配偶者から300万円の慰謝料を受け取っている場合、浮気相手に追加で100万円の慰謝料を請求することは難しいでしょう。
時効を過ぎているケース
不貞行為に対する慰謝料請求には時効が設けられています。
消滅時効 | 不貞行為を知った日から3年 |
---|---|
除斥期間 | 不貞行為があった日から20年 |
浮気が発覚し、不倫相手まで把握した場合、その日から3年を経過すると慰謝料を請求できません。 また、不貞行為があった日から20年が経過した場合も、慰謝料請求権が消滅します。 慰謝料請求の時効が迫っている場合は、なるべく早く弁護士などに法律相談し、対応を開始しましょう。 なお、不倫相手が判明していない場合は、消滅時効のカウントは開始されません。 ただし不倫相手を特定できず、不貞行為から20年が経過すると、慰謝料請求権はなくなります。
浮気相手への慰謝料請求に必要な情報
浮気相手に慰謝料を請求するためには、次のような情報を集めなければなりません。
- 故意・過失の有無
- 権利侵害の有無
- 浮気相手の住所・氏名
- 配偶者との肉体関係の有無
- 肉体関係の証拠
それぞれどのように情報収集するか解説するので、参考にしてください。
相手に故意・過失があったか
浮気相手に故意・過失があったかの判断基準としては、メールやSNSの情報が参考になります。 たとえば「離婚する予定だから大丈夫」のようなメッセージが残されている場合、既婚者だと知っていた証拠といえるでしょう。 離婚予定の信憑性はさておき、「離婚する」と伝えているからには、そのメッセージ時点では婚姻関係があることが予測できるためです。
浮気相手による権利侵害があったか
夫婦喧嘩をしていたとしても、普段通りの生活を続けており、浮気によってさらに関係が悪化したとなれば、権利侵害が認められる可能性は高いでしょう。
一方、浮気時点ですでに離婚に向けた手続きを進めていたケースや、家庭内別居状態だったケースでは、権利侵害が認められないまたは損害額が低くなる可能性もあります。
このような権利侵害の判断については、男女関係・浮気問題に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。
住所・氏名を知っているか
慰謝料を請求するためには、浮気相手の住所・氏名も必要です。 そもそも住所と氏名が分からなければ、慰謝料を請求するための書面(内容証明郵便)を送ることができません。 SNSアカウントやメールアドレスが分かれば、そこから住所・氏名を開示できる可能性もあります。 自分で浮気相手の情報を調べることが難しい場合は、弁護士に相談してみてください。 弁護士は「弁護士会照会」で依頼を受けた案件に必要な情報を入手し、各所に請求できるという職権も認められているため、速やかに調査できます。
配偶者と肉体関係にあったか
慰謝料請求でとくに重視されるのが、浮気相手と配偶者の肉体関係です。
そもそも浮気(不貞行為)の基準は、人それぞれでしょう。
手をつないだりデートをしたり、キスしたりすることが浮気だと捉える方もいるかもしれません。
しかし不貞行為による慰謝料請求では、肉体関係ないしそれに準じる関係の有無が基準となります。
肉体関係があれば不貞行為だと認められ慰謝料請求できる可能性が高いですが、もし肉体関係にまで及んでいなければ、法律的な不貞行為だとはされない可能性もあるのです。
もちろん夫婦間の浮気の基準はそれぞれですが、不貞慰謝料を請求する場合は、肉体関係等の有無も調べましょう。
配偶者と肉体関係にあった場合、証拠はあるか
もし浮気相手と配偶者に肉体関係があった場合、その証拠が肝となります。 証拠がなくても浮気相手が慰謝料請求に応じてくれれば問題ありませんが、現実問題としては、証拠がなければ言い逃れされる可能性が高いでしょう。 慰謝料請求において肉体関係の証拠となりうるのは、次のような情報です。
- 肉体関係に及んでいる写真
- 肉体関係を認めた音声・動画
- 肉体関係を示唆するメール・SNS
- 肉体関係に及んだホテルなどの領収書
明確な証拠がない場合でも、複数の証拠を組み合わせることで、肉体関係が認められるケースもあります。
浮気相手からの慰謝料の取り方
不倫の証拠が集まったら、いよいよ浮気相手へ慰謝料を請求します。主な請求方法は次の3パターンです。
- 直接話して請求する
- 内容証明郵便で請求する
- 裁判によって請求する
それぞれ特徴やメリット・デメリットを紹介するため、ご自身にあった方法を選んでみてください。
直接話して請求する
慰謝料請求には特に決まった形式等はありませんので、口頭で直接相手方に伝えたり、慰謝料請求書を渡すような形でも構いません。 このとき渡す慰謝料請求書には浮気内容や日時、請求額を記載しておきます。 ただし、浮気相手と直接対峙するのは精神的負担も大きく、冷静に話し合えない可能性もあります。 そのため弁護士に代理してもらってもいいでしょう。
内容証明郵便で請求する
慰謝料を請求する旨を、浮気相手に内相証明郵便で送付する方法もあります。
普通郵便で送ることも可能ですが、内容証明郵便であれば慰謝料を請求した事実が郵便局に記録されるため、浮気相手に言い逃れされにくくなります。
また、内容証明郵便での請求は、法的手段も辞さない姿勢を伝えることにもなります。
慰謝料を本気で請求していることを伝えるには、内容証明郵便は有効でしょう。
ただし、内容証明郵便そのものに強制力はないため、無視される可能性もあります。
裁判によって請求する
確実に慰謝料を請求する方法としては、裁判所への申し立てが挙げられます。
浮気の証拠・慰謝料の主張を出し合い、裁判官に判決をもらえば、直接では話し合いに折り合いがつかなかった場合でも結論を出すことができます。
また、裁判の途中で話がまとまれば、裁判内で和解することも可能です。
浮気相手が慰謝料を支払わない場合でも、判決や和解調書があれば強制執行することもできます。
裁判となると自分一人での対応は難しいため、弁護士に相談してください。
浮気相手から慰謝料を取るためのポイント
浮気相手から慰謝料を取るためには満たさなければならない条件も多く、相手側が素直に応じない可能性もあります。
適正に慰謝料を取るためには、次のポイントを意識してみてください。
- 証拠を用意しておく
- 分割払いも提案する
- 希望額を上回る額を請求する
- 弁護士に相談する
それぞれ詳しく解説します。
証拠を用意しておく
慰謝料を取るためには、浮気相手に「不貞行為」があったことを認めさせる必要があります。
あまりにも証拠がないと、そもそも浮気があったことを否定し、慰謝料の支払いを拒否してくるかもしれません。
たとえばメールのスクリーンショットなど、浮気相手が言い逃れできないような証拠は確保しておきましょう。
分割払いも提案する
浮気に対する慰謝料は数百万円になることもあり、一括での支払いが難しいこともあります。
あまりに高額な金額だと、そもそも浮気相手に支払い能力がなく、慰謝料を受け取れないかもしれません。
確実に慰謝料を回収するためには、分割払いを提案してみてもいいでしょう。
ただし分割払いにすることで滞納されるリスクもあります。
慰謝料全額を支払ってもらうためにも、支払い条件については公正証書で取り決めておくことをおすすめします。
希望額を上回る額を請求する
慰謝料請求では、減額交渉が入ることも少なくありません。
そのため当初から希望額を上回る額を請求しておくことで、最終的に本当の希望額を受け取れる可能性が高まります。
ただし、あまりにも高額な慰謝料を請求すると交渉が決裂する可能性もあるので注意してください。
弁護士に相談する
弁護士は裁判になる前の浮気調査や示談の段階から依頼でき、浮気相手に対して直接交渉をしてもらうことも可能です。
弁護士が間に入れば浮気相手も簡単には言い逃れできず、慰謝料の支払いに応じやすくなるでしょう。
慰謝料を確実に受け取りたい方は、ぜひ弁護士に相談してみてください。
慰謝料請求時には「求償権」にも注意
浮気されたものの、配偶者とは離婚せずに関係を修復する方もいるでしょう。
このような場合は、浮気相手だけに慰謝料を請求しようと思うかもしれません。
浮気相手だけに慰謝料を請求する場合は「求償権」に注意してください。
「求償権」とは共同不法行為者の一方が、自身の責任を超えて支払った賠償額について、もう一方の不法行為者に超過分を請求できる権利です。
つまり浮気相手だけに慰謝料を請求し、その請求額が浮気相手の責任を超えているとされる場合には、「浮気相手」から「浮気した配偶者」に金銭を請求できます。
たとえば浮気相手に100万円の慰謝料を請求したとしても、半分の50万円は「浮気した配偶者」の責任として、自身の配偶者に求償される可能性があるのです。
浮気による慰謝料交渉では、浮気相手に求償権を放棄させることも検討しましょう。
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まとめ
浮気相手へも慰謝料を請求できますが、不貞行為の有無・請求額を巡ってトラブルに発展することも珍しくありません。
この記事で紹介した条件を満たしていれば交渉は有利に進められますが、素人同士の交渉では感情的になり、スムーズに進まないこともあります。
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