交通事故に遭うとむちうち症状になり、恒常的な腰痛に悩まされることがあります。では、交通事故による腰痛を後遺障害として認められるためにはどうすれば良いのでしょうか。そこで今回は、交通事故による腰痛が後遺障害として認められるポイントや慰謝料の請求方法などについて詳しく解説していきます。
▼この記事でわかること
- 交通事故による腰痛の症状がわかります。
- 交通事故によって腰痛が発症した場合の対処法について知ることができます。
- 後遺障害認定や慰謝料を請求する仕組みを理解できます。
▼こんな方におすすめ
- 交通事故の被害により腰痛を発症した方
- 自分がどんな症状に該当するのか知りたい方
- 後遺障害認定の請求方法、認定に非該当だった場合の対処法を知りたい方
交通事故による腰痛で生じる症状や障害
交通事故でのケガの後遺症として、腰痛を患う方も多くいます。交通事故によって腰痛を発症した場合、どんな原因が考えられるでしょうか。具体的な症状名とともに見ていきます。
腰椎捻挫
「腰椎捻挫」は一般的に「むち打ち」と言われる状態です。
腰椎とは、背骨の中で腰周辺にある5つの骨のことです。 腰椎捻挫は外部から腰周辺に強い衝撃が加わったとき、筋肉や靭帯、椎間板などの組織が損傷することで症状が表れます。 急な強い痛みに襲われる、いわゆる「ぎっくり腰」もこの腰椎捻挫の一種として扱われることがあります。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は、背骨を作りあげている椎骨同士の間にある軟部組織のことで、外部からの衝撃を吸収する役割があります。
交通事故の衝撃によって腰椎椎間板ヘルニアになると、椎間板が組織の外部に飛び出してしまい、背骨に沿う神経である脊髄を圧迫するため、腰より下の部分に鋭い痛み、感覚麻痺、熱さなどを感じます。
腰部脊柱管狭窄症
背骨には脳から連なっている「脊柱管」という神経の通り道があります。
この脊柱管の一部が狭まることで、脊柱管の中に通っている神経組織が圧迫され、腰周辺に痛を感じることがあります。この症状を脊柱管狭窄症といい、交通事故による衝撃で引き起こされることもあります。
腰椎圧迫骨折
腰椎圧迫骨折とは、外部からの衝撃などで腰椎を骨折してしまうことを言います。名称に「骨折」とつけられていますが、骨が折れるというより圧迫され潰されたような変形が見られます。
腰椎圧迫骨折になると激しい腰の痛みを感じます。また、悪化すれば下肢の痛みや麻痺など、ヘルニアのような症状が見られます。
交通事故で腰痛を発症した場合の対処法
交通事故に遭ったら、まずは病院で適切な検査を受けましょう。その後、時間が経っても症状が回復しない場合は、後遺障害認定の手続きに進むことになります。
交通事故に遭ったらまずは病院へ
交通事故に遭ったら、まずはすぐに病院に行って診断を受けましょう。
事故直後は特に不調を感じなくても、後々症状が重症化・慢性化する恐れがあります。大きな怪我や痛みなどの自覚症状がなくても、まずは病院に行き事故に遭ったことを医師に伝えましょう。
事故によるケガで腰の痛みが慢性化した場合、適切な額の示談金を貰うためには事故との因果関係を認めてもらう必要があります。事故後しばらくしてから病院に行くと、「本当にそのケガ、交通事故と関係あるの?」などと、事故との関係を疑問視される恐れもあるため、早めの行動が必要です。
腰痛に関する検査を受ける
交通事故によって腰を痛めた場合は、以下のような検査法があります。
- MRI検査
- 深部腱反射テスト
- SLRテスト
- FNSテスト
- 筋萎縮テスト
やや難しい名前が並びましたが、中でも馴染みがある代表選手は「MRI検査」でしょう。
MRI検査では、磁石と電波によって身体の内部を様々な角度から見ることができます。ヘルニア症状がある場合は、MRIを使うことで外傷性ヘルニアかどうかを判断材料とすることができます。
腰痛検査ではX線を用いたCT検査も行われていますが、MRIのように椎間板などの軟骨を正確に見ることは難しいため、事故との因果関係を証明するにはMRIの方が適していると言われています。
腰痛の症状が改善しない場合
交通事故からしばらく経っても腰痛などの症状が改善しない場合は、「症状固定」の判断がなされます。
症状固定とは、腰痛などの症状が依然として残っているものの、これ以上治療しても効果が期待できなくなった状態のことです。
症状固定の日以降、残った症状は後遺症扱いとなるため、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。認定されるための条件としては、以下の3つがあげられます。
- 傷みが事故と因果関係があること
- 将来的に回復する見込みがない状態であること
- 後遺症について医学的に証明・説明できること
自分の症状や状態がこれらの条件に該当するか確認しましょう。
交通事故で腰痛を発症したらお金はもらえるの?
交通事故で腰痛を発症した場合、事故の加害者に対して治療費などのお金を請求できるのでしょうか。また、請求できるとしたらどのような手順を踏めば良いのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。
腰痛の後遺障害認定を受ける方法
後遺障害認定の具体的な申請方法は、「事前認定」と「被害者請求」の2種類あります。
事前認定
事前認定とは、加害者側の任意保険会社が後遺障害認定の申請手続きを行うことを言います。
事前認定では保険会社が必要書類の作成や手続きを行ってくれるため、被害者の手間が省ける点がメリットです。
一方で、申請手続きをする会社はあくまで加害者側であるため、本来認定されるべき等級よりも低い等級で認定されてしまった場合は、異議を申し立てを行うために労力が必要となります。
被害者請求
被害者請求では、交通事故の被害者自身が後遺障害認定の申請を行います。自身で請求するため、適切な認定を受けやすい点がメリットです。
一方で、被害者請求は多くの書類を自分で収集、作成しなければならないため、時間と手間がかかります。
請求には法律などの専門知識が必要になるため、弁護士に依頼して被害者請求を行うことをおすすめします。
腰痛で後遺障害認定を受けた場合の慰謝料
後遺障害は「損害保険料率算出機構」という組織によって認定され、等級ごとに慰謝料の金額が変わります。腰痛による後遺障害の認定は、14級か12級のいずれかに分類されることになります。
- 14級(9号):局部に神経症状を残すもの
- 12級(13号):局部に頑固な神経症状を残すもの
また、慰謝料の基準には自賠責基準、任意保険会社基準、裁判基準の3つが存在し、自賠責基準と裁判基準の慰謝料は以下の通りです。
- 14級の場合、自賠責基準で32万円、裁判基準で110万円
- 12級の場合、自賠責基準で94万円、裁判基準で290万円
それぞれの基準について、少し解説をいれておきましょう。
自賠責保険基準は補償が最低限のため、金額も低くなります。任意保険基準は各保険会社独自の基準に基づいて金額が決定されます。 裁判基準は過去の裁判例に基づき金額が算出され、3つの中で最も高い金額が算出されます。
なお、弁護士の目から見て「適切な賠償額」というのは、裁判基準の金額です。
そのため、弁護士に依頼した場合は、相手方の保険会社から自賠責の基準や任意保険会社基準で示談を持ちかけられても、弁護士が依頼した人の代理人として増額の交渉を行っていくことができます。
交通事故により腰痛が発症した場合のチェックポイント
交通事故により腰痛を発症した場合、気をつけるべきポイントはどこにあるのでしょうか。以下で詳しく説明します。
慢性化させないために、定期的な診察を受ける
交通事故による腰痛は、症状が慢性化しやすく、定期的に診察を受けることが重要です。
仕事が多忙などの理由により診察を後回しにしてしまう方がいますが、予定された治療を受けないと、症状の回復が遅れ、深刻な後遺障害が残る恐れがあります。
治療期間中は、決まった診察日に診察を受けることが重要です。
交通事故被害の手続きは弁護士に相談
適切な治療を受けるためには、充分な補償を受けることが重要です。特に後遺障害に関して、加害者側の保険会社に任せっきりの「事前認定」にせず、「被害者請求」を行うこともポイントの一つです。
しかし上にも書いた通り、被害者請求を行うには多くの書類の収集や作成が必要になるため、自分で行うにはどのような手続きをとれば良いかわからないと思います。
その点、弁護士であれば法律や実務の専門知識やノウハウを持っているため、事案に応じて適切に対応してくれます。交通事故に遭い後遺障害認定の申請したい場合は、弁護士に相談してみると良いでしょう。
弁護士を探す上で、その助けになるものの一つに「ココナラ法律相談」のような弁護士ポータルサイトが挙げられますです。
ココナラ法律相談では、「分野」、「エリア」、「各種条件」を指定した上で、あなたに合いそうな弁護士の選択肢を与えてくれます。弁護士を探す際のご参考として、ぜひご活用下さい。
まとめ
交通事故の被害に遭った場合、腰周辺に痛みや不調を感じるケースがあります。腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアなど、代表的な症状に当てはまる場合は、まず病院に行き、MRIなどの適切な検査を受けましょう。
後遺障害認定の手続きは時間や手間がかかるため、専門知識が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。