不倫相手がメンヘラ系ストーカーに・・・法的措置はとれる?

離婚・男女問題

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弁護士法人若井綜合法律事務所
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「元カレがメンヘラで・・・」
そんな会話を聞いた・した方もいるのではないでしょうか。
精神的に不安定な「メンヘラ系」にストーカーされている、別れたら死ぬ等と怖いことを言われている場合、法律的に対処することはできるのか、以下で解説します。

「メンヘラ系」トラブルは結構多い

最近では「メンヘラ」という言葉の存在を知っている方は意外に多いのではないでしょうか。
とはいえ、人によって捉え方も違えば、定義も違うもの。この記事で取り上げる「メンヘラ」の特徴について、以下で取り上げます。

メンヘラ系の特徴

メンヘラはもともと、「メンタルヘルスに何らかの問題を抱えている人」という意味でできた言葉です。
メンヘラの決まった定義はありませんが、一般的には以下のような特徴を持つ人を言うことが多いようです。

精神的に不安定

「メンヘラ」の語源にあるとおり、メンヘラと呼ばれる人は精神的に不安定であるという特徴があります。
「精神的に不安定」というのは程度の問題もありますが、ここでは例えば「すぐ『死んでやる』と言う」「何かあるとすぐ包丁を持ち出す」といった行動が見られる場合を想定します。

被害者意識が強い

メンヘラと呼ばれる人は、被害者意識が強い傾向があります。
例えば深夜に電話を何度もかけるなど、度を過ぎた行為を注意した際に「ひどい言い方をされて、私、傷ついた」等と自分の非を認めず、逆に自分が被害者だと主張してくる場合などが当てはまります。

依存性が高い

メンヘラと言われる人は、依存性が高いとも言われます。
例えば「LINEを送って、1分以内に返信がないと怒りだす」「『今どこで何をしている』をいちいち知りたがり、最低でも1時間毎に連絡しないと激昂する」などというケースが当てはまります。

こうした「メンヘラ系」と呼ばれる人たちが起こしがちな、困った問題とはどんなものが考えられるのでしょうか。以下で詳しくみてみましょう。

「メンヘラ系」の行動パターン

メンヘラ系と呼ばれる人たちが起こすこともある、ちょっと厄介な問題にはどんなパターンがあるのでしょうか。

「〇〇する」と脅す

メンヘラ系の人は、精神的な不安定さが度を越した挙げ句、結果として相手を脅すような言動をすることがあります。
例えば「別れるなら死んでやる」「会ってくれなかったらリストカットする」など、自らの「死」を連想させるようなことを言って相手の不安を煽る場合です。
また、「死ぬ」まではいきませんが、不倫関係にある場合、激昂した本人が感情にまかせて「奥さん(夫)や子供に不倫をバラす」と言って脅すケースも似たようなものとして挙げられるでしょう。

心中しようと誘う

メンヘラ系の人は、思い詰める傾向があるようです。何としても好きな人を手に入れたい一心から、「死」を持ってさえも一緒にいたい、という気持ちがあるのかもしれません。
具体的には「現世では無理だから、一緒に死のう」と、心中を誘ってくる場合などがこれに当たります。

ストーカー行為をする

メンヘラ系の人の中には、目的達成のための手段を選ばない人もいるようです。
例えば「目当ての相手の家の、すぐとなりに部屋を借りた」「帰る時必ず最寄り駅にいる」などといった具合です。

「怖い話」の様相を呈してきましたが、実際のところはどんな感じなのでしょうか。以下で事例を見てみましょう。

具体例で解説「メンヘラ事案」

ここでは、「メンヘラ事案」と呼ばれる具体的な例を見ていきます。
※人物が特定されないよう、内容の一部に改変を加えています。

【事例1】元不倫相手がメンヘラストーカーに!

Aさん(男)は、会社の取引先で知り合ったとある女性と不倫関係にありました。
当初からAさんは、自分が既婚者であること、離婚する気がないことを伝えていたので、相手の女性も納得した上で不倫をしていると思っていました。
2年程付き合った後、Aさんは自分から別れを切り出しました。しかし相手の女性は「絶対別れない」「別れるなら死んでやる」と激昂。「リスカ(リストカット)した」と、定期的に写真を送ってくるようになりました。更に、Aさんの家のすぐ隣のマンションに住み始め、「今あなたの家の隣で手首を切った」などと言ってきました。Aさんとしては万が一事件などになった場合に警察等に呼ばれ、事情を聞かれることによって家族にバレるのではないかと不安になっていました。

家族にバレることが怖い以上に、度を越した女性の行動に恐怖を感じたAさんは、弁護士に相談しました。

【事例2】元カレが「復縁しないと目の前で死んでやる」

Bさん(女)は、元交際相手の男性と1年程お付き合いをしていました。しかし、かねてから女グセの悪い男性であったこともあり、話し合いの末別れることになりました。
3ヶ月ほどしたある日、Bさんの最寄り駅に元カレが立っていました。「どうしたの?」と聞くと、「やっぱりお前じゃないとだめだ、復縁してほしい」と言います。どうやらBさんとの交際中に他の女性とも二股をかけていたようなのですが、相手の女性にフラれたようです。
Bさんにしてみれば、男性に未練はありません。しかし「復縁してくれないとお前の目の前で包丁出して死んでやる!」と叫びはじめました。
Bさんはその場で走って逃げましたが、それからも毎日、Bさんの帰りがけに最寄り駅に立って待ち伏せをしています。
ストーカー行為とも取れる行動に恐怖を感じたBさんは、弁護士に相談しました。

【事例3】遊びのはずの女が「あの世で一緒になろう」

Cさん(男)は、出会い系アプリで知り合った女性にお金を渡し、肉体関係ありのパパ活をしていました。女性に会ったのは3回程度です。
相手の女性が若かったこと、自分が既婚者であることを知っていること、パパ活といういわゆる「お金でつながった関係」であることなどから、Cさんとしては遊びの関係として割り切っていました。とはいえ、若い女性の前でカッコつけたかったという気持ちもあり、性行為の後に「君が妻だったらなぁ」「妻とはもう終わってるんだ」等と言ってしまいました。
それを信じた相手の女性はCさんに本気の恋愛感情を抱き、「一緒になりたい」と言いだしました。もちろんその気がないCさんは、誤解をさせたかもしれないことについて女性に謝りましたが、納得してくれません。しまいには「二人で死んで、あの世で一緒になろう」と言い出しました。LINEのメッセージも日に100件くらい来るようになり、怖くなったCさんは弁護士に相談しました。

こうした事案に対して、何らかの法的措置は取れるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

メンヘラに法的措置はとれるのか

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上の事例に挙げたよう事案に対して、法律的になんとかする手立てはあるのでしょうか。

法的措置を取れることも

上に挙げたような「メンヘラ事案」に対して、法的措置を取ることができる場合があります。具体的には「仮処分」という手段です。

「仮処分」という手がある

この場合の「仮処分」は、法律用語では「面談等強要禁止仮処分命令」と言われます。
簡単に言うと、裁判所が命令として「嫌がっている相手に無理やり会うことを禁止する」という命令です。
これ自体は刑法上の罰則ではありませんが、仮にこの仮処分命令に違反した場合は犯罪(脅迫・強要)として、刑事訴追の対象になります。
つまり万が一、ストーカーと化した相手が仮処分を無視して会いに来た場合、その事実を裏付ける証拠(例えば写真、録画など)を警察に提出すると、警察が対応してくれる可能性が上がるでしょう。
相談履歴の保存などの観点から、後ほど何かあった際の証拠として利用できることもあります。

弁護士に相談して解決

ところで、「相手はメンヘラなんだから、仮処分を出しても命令に従わないんじゃないか?」という疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。
そんな時におすすめなのが「弁護士に依頼する」ことです。

弁護士が代理人になってくれる

常識的な感覚を持つ人の場合、「裁判所の出した命令」を破るというのは考えにくいかもしれません。
とはいえ、相手が常識人ばかりとは限りません。裁判所の出した命令だからといって100%守るという保証はありません。
こうした場合、弁護士は頼もしい味方になってくれます。万が一、仮処分命令を出された本人が命令を守らなかったとしても、弁護士が盾になります。
例えば仮処分命令に違反した人物について、何らかの処分や、そもそものストーカー行為を辞めさせるための手段として、依頼者の方に付き添って警察に行ってもらうことができます。

法的措置まで行かずとも、効果ある場合も

ここまで、仮処分という手段で法的措置を取る場合について取り上げました。
しかし、弁護士に依頼するメリットは、法的措置を取る場合だけに限りません。迷惑行為を繰り返す相手方に弁護士から受任通知を送り「弁護士がついた」ことを知らせるだけでも、迷惑行為がストップする場合があります。
また、弁護士に依頼した場合、相手方との連絡はすべて代理人である弁護士が行うのが基本です。弁護士介入後は基本的に連絡の窓口は弁護士となり、100%連絡が来ないとまでは言い切れませんが、限りなく連絡の遮断が出来ると言えるでしょう。

もっとも、弁護士を飛び越えて連絡をしてくるメンヘラ系も一定数いることは否めませんが、抑止力という意味では警察と同等程度の期待が持てるのではないでしょうか。

まとめ

まとめ

今回は、「メンヘラ系」の元交際相手や、不倫相手から迷惑行為を受けた場合にできることについて取り上げました。特に、法的措置を取ることができる可能性についても触れました。
「支離滅裂な言動を繰り返す相手に対して、法律は何もできないのではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
また、弁護士に依頼することは、仮処分という法的措置をとった後だけでなく、法的措置を取る前であっても効果を発揮する場合があります。メンヘラ系元カレ・元カノ、メンヘラ系不倫相手の迷惑行為に悩まされている方は、一度弁護士に相談してみるのも良いかもしれません。

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