不倫(不貞行為)で慰謝料請求されたら?金額相場や支払い義務、減額交渉などを解説

離婚・男女問題

この記事の監修

東京都 / 新宿区
ゴッディス法律事務所
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不倫(不貞行為)とは、配偶者以外の人と自分の意志で性的関係を結ぶ行為のことです。
不貞行為は夫婦間の婚姻関係を破綻させる行為として、慰謝料請求や離婚請求の対象となります。

しかし慰謝料を請求されても、本当に適切な金額なのかは法的知識がなくてはわかりません。
また状況によっては、慰謝料を支払う必要がないケースもあります。
相手に言われるがまま慰謝料を支払うのではなく、「提示された金額が適切なのか」「本当に支払う必要があるのか」を知っておきましょう。

この記事では、慰謝料の相場や請求された時の対処法について解説します。
「慰謝料を減額したい」「支払いたくない」といった方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

不倫(不貞行為)の慰謝料請求をされた場合は?


慰謝料の請求は、直接口頭で言われる以外にも、「内容証明郵便」という特殊な郵便方法で意思表示されることがあります。
内容証明郵便が届いた場合は、無視せずにきちんと対応しましょう。
ここでは、内容証明郵便で慰謝料請求をされた場合の対処法について解説します。

内容証明郵便とは?

内容証明郵便とは、郵便物の内容文書を証明するサービスのことです。
具体的には、「誰が」「誰に」「いつ」「どういった内容の文書を」送ったのかを郵便局が証明する特殊な郵便といえます。

郵便は確実性の高い連絡手段ではあるものの、何かしらの事故で送付先に届かないケースもゼロではありません。
通常の郵便では、郵便物の中身を郵便局は証明してくれないため、「送った」「送っていない」といったトラブルが発生してしまうリスクがあります。

また、慰謝料請求においては、請求された側が郵便物を無視したり、「届いていない」とうそをついたりして受け取らないこともあるでしょう。
そういったトラブルを防ぐために、内容証明郵便が利用されます。

内容証明郵便が届いた場合の対処法

内容証明郵便はあくまで「相手方が何かしらの主張をしている」に過ぎず、その内容が必ずしも正しいとは限りません。
冷静になり、まずは届いた書面の中身を確認しましょう。

「相手が何を主張しているのか」「請求している慰謝料の金額がいくらなのか」などを細かくチェックします。
不貞行為の慰謝料請求の場合、「下記の銀行口座まで〇〇円お振り込みください」などと記載されているケースがほとんどです。

内容証明郵便は請求者に代わって弁護士が作成して送ることもあり、中には法律用語が含まれていたり、言い回しが理解しにくかったりするケースもあるでしょう。
また、弁護士が作成している場合でも、その内容が正当なものであるとは限りません。
事実と異なる記載がされていたり、慰謝料の金額が相場を上回っていたりすることもあります。

とはいえ、内容証明郵便を無視するのはNGです。
内容証明郵便を送付した側からすれば、決着をつけるために訴訟を提起してくるでしょう。
裁判で争い敗訴すると、請求された慰謝料に加え、相手方の弁護士費用や裁判手続きの費用などを負担することになります。
また、解決までに多くの時間を要することもあり、肉体的・精神的な負担もかかります。

慰謝料請求をされた場合に作成する示談書について


不貞行為の慰謝料請求において、協議によって解決する場合には「示談書」を作成するのが一般的です。
示談書には、不貞行為の事実や慰謝料の支払い金額、支払方法を記載する他、再び不貞行為をした場合の取り扱いについてなどを記載することもあります。

不貞行為をした側にとって示談書を作成するメリットは、「当事者間の合意のもとトラブルを解決した」ことを明示でき、追加の慰謝料請求を防止できる点です。
また、守秘義務やプライバシー保護についても記載でき、不貞行為の事実が第三者に知られることも防げます。

示談書をどちらが作成するかについてのルールはなく、当事者同士で話し合って決めて問題ありません。
ただ、請求する側が作成するのが一般的です。
請求する側が作る場合には、示談書の内容について協議した内容と認識のずれが生じていないか、自分の目で確認することをおすすめします。
自身で作成する場合は、弁護士のアドバイスを受けるとよいでしょう。

慰謝料請求をされても支払いが不要なケース


慰謝料を請求された際に、法的に支払う必要があるかどうかも確認しておきましょう。
相手が「不貞行為」という言葉の意味をきちんと理解せずに、一方的に「不倫をしている」と慰謝料を請求してくるケースもあります。
また、不貞行為の慰謝料請求には時効もあるため、状況に応じて支払いが不要となることもあるでしょう。

ここでは、慰謝料を請求されても支払いが不要なケースを5つ紹介します。

肉体関係がない

不貞行為は、「配偶者以外の人と自分の意思で性的関係を結ぶこと」を指す言葉です。
異性と「連絡を取る」「ドライブに行く」「映画を見に行く」などの行為は、不貞行為には該当しません。
また、異性と「キスをする」「手を繋ぐ」「ハグをする」などは、捉え方によっては不倫といえますが、法律上の不貞行為としては認められていません。
ただし、肉体関係がなくても、異性とのやり取りが「婚姻を継続し難い重大な事由」として慰謝料の請求が認められるケースもあります。

既婚者であることを過失なく知らなかった

性的関係が不貞行為として「違法」というためには、性的関係を持った時点で、既婚者であることを知っていた(故意)または既婚者であることに気づくことができた(過失)ことが必要です。
そのため、不倫相手に独身と偽られ、既婚者であることに気づくことができなかった場合には、たとえ性的関係があったとしても慰謝料を支払う必要はありません。

自分の意思とは反する不倫

強姦や脅迫などによって自分の意思とは反して肉体関係を持ってしまった場合は、慰謝料を支払う必要はありません。
しかし、「自分の意思でその状況を免れることが可能だったのでは」「断れたのでは」などと認めてもらえないケースもあり、事実を立証するのが難しい場合もあります。

すでに夫婦関係が破綻している

「長い間別居している」「離婚協議をしている」など、客観的に夫婦関係が破綻していると判断できる状況下での不貞行為は、慰謝料の請求が認められないケースがあります。
基本的に不貞行為が慰謝料の請求の対象となるのは、「不貞行為が原因で夫婦関係が破綻した」といった場合です。

慰謝料は被害者の精神的苦痛に対して支払われるお金であるため、「すでに夫婦関係が破綻していれば、不貞行為によって相手が精神的な苦痛を伴うことはない」と判断されることがあります。
なお、「初めて性的関係を結んだ時点」ですでに夫婦関係が破綻していたことが必要となりますので、ご注意ください。

慰謝料の時効が成立している

不倫の慰謝料請求は、「配偶者の不貞行為および不倫相手を知った日から3年」あるいは「不貞行為が原因の離婚から3年(配偶者との関係において)」という時効があります。

注意したいのは、慰謝料請求の権利には20年の除斥期間がある点です。
例えば、5年前の不倫を1年前に配偶者が知った場合、除斥期間内であり時効は成立していないため、慰謝料の請求が認められます。
5年前の不倫を4年前に配偶者が知った場合、除斥期間内であっても時効が成立しているため、慰謝料の請求が認められません。
20年前の不倫を2年前に配偶者が知った場合、除斥期間を過ぎているため慰謝料を請求する権利が消滅しています。

慰謝料請求された場合の金額相場


不倫の慰謝料の相場は、離婚に至らなかった場合は「数十万〜100万円」、離婚に至った場合は「100万〜300万円」です。
慰謝料は肉体的・精神的苦痛に対して支払われる金額であり、不倫の期間や不貞回数など、状況によって高額になるケースもあります。

慰謝料が高額になるケースとは?

慰謝料が高額になるケースとして、以下が挙げられます。

  • 不倫期間が長い
  • 何度も不貞行為をしている
  • 自ら積極的に不倫をしている
  • 夫婦間に子どもがいる
  • 慰謝料の交渉時にうそをついている
  • 反省をしていない/謝罪をしない
  • 積極的に離婚するように求めている

請求された慰謝料の金額が高額だと感じた場合は、上記に該当していないか確認してみてください。

慰謝料の支払い期限が過ぎるとどうなる?


不倫(不貞行為)は不法行為に該当するため、不貞行為が発覚した際には、直ちに損害を賠償する必要があります。
慰謝料請求の内容証明郵便には「〇日までに〇〇〇万円を下記銀行口座へお振込みください。」といった形で支払期限が設けられていることが多いです。
しかし、一般的には、慰謝料の金額などに争いがあるため、指定された期日までに慰謝料が支払えなかったとしても、直ちに裁判に発展することは少ないです。
請求する側としても、手間のかかる裁判よりも和解で迅速に解決したいと考えることが多いからです。

もっとも、支払い期限が過ぎているにもかかわらず、何もアクションをしなければ、裁判を起こされる可能性が高いといえます。
また、内容証明郵便には「〇日まで慰謝料を支払わなければ裁判による訴訟手続きをします」など、記載されていることがあるため、注意が必要です。
慰謝料を支払う意思がある場合は、相手へ連絡をとり交渉を試みましょう。

慰謝料請求をされても減額できる場合とは?


不貞行為をしたことが事実であり、相手の主張が正当だと認める場合には、請求に従う必要があるでしょう。
しかし、以下に該当する場合、減額できる可能性があります。

  • 請求金額が相場を大幅に上回っている
  • 婚姻期間が短い
  • 不倫期間が短い/不貞行為の回数が少ない
  • 積極的な不倫ではない(相手が威圧的で拒否しにくい状況だった)
  • 深く反省している
  • そもそも夫婦関係は円満ではなかった
  • 既に不倫相手が相手へ慰謝料を支払っている

請求された慰謝料を支払えない場合の対処法


不倫の慰謝料請求は、基本的に交渉の余地があります。
経済的な事情によって請求された慰謝料が支払えない場合は、「減額」あるいは「分割払い」が可能かどうか交渉してみましょう。
ここで紹介する、交渉のポイントを参考にしてみてください。

減額の交渉をする

減額の交渉をする際に、ただ単に「金額が高いから下げてほしい」と伝えても、相手はそれ相応の精神的損害を負っていると考えている以上、応じてもらえない可能性が高いといえます。
不倫の事実を真摯に謝罪し、相場以上の金額であることや経済的な事情によって支払うことが難しい旨を伝えましょう。
そして現在の自分の収入や貯金面を考慮して、いくらまで支払いが可能であるかを具体的に伝えてみてください。
一方的に減額交渉するのではなく、相手の言い分もしっかりと聞きながら、冷静に話し合いを進めることが大切です。

分割払いの交渉をする

慰謝料の減額交渉が失敗した場合は、分割払いが可能かどうか交渉してみてください。
ただし、請求する側にとって分割払いは、「途中で支払いが途切れるのではないか」「問題が解決するのが長引くのでは」といった懸念をするでしょう。
交渉の際には、全額きちんと支払う意思を伝えつつ、初回に現時点で支払える精一杯のお金をまとめて支払うことも大切です。

分割払いが認められた際には、公正証書の作成や遅延損害金についての取り決めを求められることが多くあります。
分割払いを約束したにもかかわらず支払いが遅れれば、相手の動き方次第では財産を差し押さえられる可能性があります。
支払いが滞らないよう、確実に支払える分割払いの回数や金額を決めましょう。

不倫の慰謝料請求を自分で対処するリスク


不倫の慰謝料請求は、自身で対応することも可能です。
しかし、対応を誤ってしまうと、かえって問題が複雑化してしまい、希望とは異なる結果になる可能性も少なくありません。
ここでは、不倫の慰謝料請求を自分で対処するリスクについて解説します。

相手の提示する慰謝料が妥当か判断できない

不倫トラブルでは、請求してくる慰謝料の金額が相場を大幅に上回っているケースも少なくありません。
しかし、相手が提示する慰謝料の金額が法的に妥当なのか、自身での判断は難しいといえます。
なぜなら慰謝料の金額は、不倫の期間や不貞行為の回数、婚姻期間の長さなど、さまざまな事情を考慮して算出されるためです。
慰謝料請求を自分で対応すると、相場を大幅に上回る金額を支払ってしまうリスクがある点に注意しましょう。

交渉に失敗する

交渉には進め方のコツやノウハウがあります。
慣れていない人が交渉すると、相手に主導権を握られ、自分に都合の悪い条件を呑んでしまう可能性も少なくありません。
また、交渉が難航すれば、時間や手間も余計にかかってしまいます。

肉体的・精神的負担が生じる

不倫トラブルでは、請求する側が感情的になって一方的に怒りをぶつけてくることも少なくありません。
そのため、慰謝料請求の話し合いにおいて、直接相手と顔を合わせることも大きなストレスに感じることがあるでしょう。
また、裁判に発展した場合などは、慣れない手続きによる負担も生じます。
問題が長引くほど、肉体的・精神的負担は大きくなります。

追加で慰謝料を請求される

慰謝料の交渉が成立した際には、示談書や公正証書を作成するのが一般的です。
しかし、自身で示談書や公正証書を作成すると、適切な書き方ができていなかったり、必要となる記載項目に漏れが生じてしまったりする可能性があります。
その結果、後日慰謝料を追加で請求されることにつながりかねません。

慰謝料請求を弁護士に相談するメリット


慰謝料請求に適切に対応するには、弁護士に相談するのが賢明です。
特に、「慰謝料の金額が高すぎるのではないか」「相手と直接顔を合わせたくない」といった場合は、弁護士に対応を任せたほうが、よりよい解決につながります。
ここでは、慰謝料請求について弁護士に相談するメリットを4つ紹介します。

法的なアドバイスを受けられる

法律の専門家である弁護士に相談することで、法的なアドバイスがもらえます。
例えば、「請求された慰謝料の金額が法的に妥当なのか」「そもそも慰謝料を支払う必要があるのか」「内容証明郵便が届いたときの対処法」など、法律や過去の判例に基づいて助言してもらえます。
法律事務所によっては初回の相談を無料で実施しているケースもあるため、探してみるとよいでしょう。

減額交渉が成功しやすい

慰謝料の減額交渉を自身で行うと、主張を受け入れてもらえなかったり、口論になってトラブルが複雑化してしまったりするケースがあります。
弁護士に減額交渉を代行してもらうことで、慰謝料の金額を減額できる可能性が高まります。
弁護士は普段から交渉業務を行っており、過去の判例や法的観点に基づいて、論理的に交渉を進めるのが得意です。
少しでもよい条件で解決できるよう、交渉を依頼してみるとよいでしょう。

裁判のやり取りを任せられる

交渉で解決しない場合には、裁判に移行することがほとんどです。
裁判になれば、答弁書の作成や証拠の用意などの手続きが必要となります。
弁護士に依頼することで、裁判所とのやり取りを任せられ、自身の負担が大幅に軽減できるのがメリットです。
裁判の対応を任せることで、「慰謝料の減額」や「慰謝料を支払わずに済む」など、よい結果が得られる可能性もあります。

精神的に支えてもらえる

不倫トラブルは周りに相談しにくい問題であり、ひとりで悩みを抱える人も多くいます。
弁護士は依頼者にとって心強い味方であり、相談するだけで気持ちが楽になるでしょう。
また、慰謝料請求だけでなく、離婚や子どもについての問題も相談できます。
弁護士には守秘義務があり、相談した内容が外部に漏れる心配はありません。
自分の抱えている問題が弁護士に依頼することで解決するのかどうか、一度相談してみるとよいでしょう。

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まとめ


不倫・不貞行為で慰謝料請求されたら、まずは請求金額が法的相場から妥当かどうか確認することが大切です。
また、不倫の内容が法的には慰謝料請求の要件を満たさない場合もあるため、相手の主張と事実を整理し、支払うべきなのか判断する必要があります。

いずれにしろ、自身で判断して行動するのではなく、弁護士に相談して見解を仰ぐのが賢明です。
法律事務所の中には初回相談を無料で実施しているケースもあるため、まずは弁護士に相談して検討するとよいでしょう。

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