「デリヘルで盗撮した」「ソープで盗聴した」「メンズエステで本番しちゃった」・・・
風俗で違反行為をしてお店にバレた場合、「罰金〇〇万円」などと示談書を書かされることがあります。
多くの場合、この金額は高額です。中には1000万円単位の請求額のことも。
この示談書、本当に有効なのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
「示談書」の効力は?
風俗で盗撮をしたときなどに、お店との間で交わされることもある「示談書」。
そもそも、示談書は法律的に有効なのでしょうか。
示談書=契約書?
「風俗でプレイ中の様子を盗撮した」など、トラブルを起こしたとき、お店が「これ書いて」と、示談書を出してきてサインを求められることがあります。
何だか書式もメチャクチャで、勝手なコト書いてあるな〜、こんなもの本当に有効なのか?
でも怖いし、早く帰りたいし、まぁいいか、と思ってサインをしてしまうと、、、後で面倒なことが起こる場合もあります。
この場合、「示談書」は契約書とほぼ同じ意味です。
仮に書式が洗練されていなくても、風俗店(あるいはサービス提供者の女性)、および、違反した客との間で合意のもと、交わされた示談書は有効です。
公序良俗違反で無効になる可能性はありますが、一度書面で認めてしまった事実を撤回するのは厳しいでしょう。
では、「示談書にサインしてしまったら、一巻の終わり」なのでしょうか。
100万円なり1000万円なり、その負債をずっと払い続けて行かなければならないのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。
示談書が無効な場合はどんなとき?
先程、「お互いの合意によって書いた示談書は有効」と言いました。
しかし、風俗で自ら望んで高額な示談書を提出する人は、まずいないでしょう。
これは一般の契約でも同じことですが、客観的に見て、本当の意味で「合意した」とは推定されない場合、契約は無効になることがあります。
すなわち、以下に該当する場合は示談書そのものが無効になる可能性もあるでしょう。
この手の話、よくあるケースについて見てみましょう。
「警察に行く」と脅された
例えば風俗で盗撮したことがバレたとします。
風俗店側から
「盗撮は犯罪だ。警察に行くぞ。それが嫌だったら1000万円の示談書にサインしろ」
などと言われてやむなくサインした、という場合は、脅迫されたことを理由に、契約は無効になる可能性が高くなります。
モノ等を人質に取られ、サインせざるを得なかった
風俗店側に、盗撮・盗聴した画像や音声が入った携帯やSDカードなど、「証拠」を取られてしまうことも間々あります。
お客としては、さすがに証拠を取られたままでは、警察に提出されたり、ネットでばらまかれたりなど、何をされるかわからない恐怖がつきまといます。示談書にサインしてしまう心境は充分理解できます。
こうした場合、仮に明示的でなかったとしても、脅迫あるいは強要による契約無効が成立する場合があります。
勝手に書かれた内容にサインを強要された
「示談金1000万円」など、メチャクチャな内容を提示されたものの、ろくに説明もないまま「とにかくサインしろ」「サインしないと返さない」等と言われる場合もあります。
こうしたケースは強要によるものとして、契約無効となる場合があります。
これはNG!示談書にサインした後の行動
風俗でトラブルを起こし、示談書にサインしてしまった結果、店側から執拗に支払いを求められることがあります。時には脅しを伴うこともあります。
「怖いからさっさとお金を払って逃げたい」という気持ちはわかりますが、コトはそう簡単ではありません。そんなとき、やってはいけないNG行動は何でしょうか。
費用(全額、あるいは一部)を払う
やってはいけない行動の第一は、示談書に書かれている内容に基づいて、お金を払うことです。
一度お金を払うと、風俗店によっては「コイツからは巻き上げられる」と踏んで、更なる要求をふっかけてくることもあり得ます。
請求されたお金の一部でも払ってしまうと、払ったという事実を元に、更なる請求が待ち構えていると言っても過言ではないでしょう。
風俗店からの連絡を無視する
「払ってはいけないのであれば、無視すればいい」と考えた方もいるかもしれません。しかし、これは以下の理由からおすすめできません。
警察に行かれると困る
風俗店からの連絡を無視した結果、風俗店側が腹いせに、あるいは何らかの意図を持って警察に行かないとも限りません。
盗撮や盗聴は犯罪です。そのため、警察に行かれて被害届を出されてしまうと、最悪の場合は逮捕されるなど、お客にとっても困ったことが起こりかねません。
裁判を起こされると困る
風俗店からの連絡を無視した結果、民事裁判を起こされる可能性もありえます。
示談書の書かれた状況や内容によっては無効になりうるという話は先に述べましたが、本当に無効となりうる状況だったのかということの立証は、なかなか難しいものです。
また、裁判になった場合、相手方には弁護士がついていることが普通です。そのため、こちら側でも弁護士を雇うなどの手を講じないと、有効な主張をすることは難しいでしょう。
危害を加えられると困る
あまり考えたくありませんが、風俗店からの連絡を無視し続けた場合、自宅に押しかけられる可能性も否定できません。
コワモテの人が家にやってきたら・・・怖いのはもちろん、家族にバレるリスクもあります。
盗撮や盗聴、本番行為等に関する罰金支払いのために風俗店に追いかけられている場合、むやみにお金を払うのは得策ではありません。かといって、無視することも良い結果に繋がりません。
高額過ぎる示談書にはそもそも、サインする前にその場で即・弁護士に何らかの手段で相談できればベストなのですが・・・
示談書にサインする前、してしまった後を問わず、高額な示談書が出てきたら、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
法外な示談書にサインしてしまったら、弁護士へ
本来であれば、法外な金額が記載された示談書は、提示された段階で弁護士に相談できるに越したことはありません。
しかし、状況によってはそれが難しいことも多々あります。風俗店で違反行為をした場合の示談書にサインをしてしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
ところで、弁護士に相談すると、どんな良いことがあるのでしょうか。
弁護士が入ると、請求額を下げられる可能性がある
風俗店で示談書を書いてしまった場合、弁護士に依頼すると、請求された額を下げられる可能性が高くなります。
弁護士は依頼を受けた後、まずは事実の確認から入ります。
示談書が書かれた背景トラブル、どこで・誰が・どんな会話とともに示談書にサインがされたのかを調査します。
その上で、示談書に意味があるのかを判断します。
しかし、示談書が仮に無効のようだ、とわかったとしても、ここで終わりではありません。
相手は風俗店ですし、お客の側にも非があることが大半なので、「無効だからナシね」などと、あっさり終われることはまずありません。
そこで必要なのが、風俗店との交渉です。
示談書の内容は著しく不合理であり、かつ、無効の可能性が高い。ただし、お客の側にも盗撮や盗聴、本番行為をしてしまったという非がある。
そのため、今ある示談書を一旦白紙にする、あるいは改定するなどして新たに合意書を作り、和解する、というのが弁護士を依頼したときの一般的な流れです。このように弁護士を入れて決着するケースも多いようです。
とはいえ、相手は一筋縄では行かない相手です。ここは弁護士の経験値に頼らざるを得ない部分もあるようです。
したがって、弁護士を依頼する際は、こうしたトラブルの解決事例が多い弁護士を探してお願いする方が良さそうです。
実際の事例
風俗で盗撮などの違反行為をしたことの帰結として、お客が高額な支払いをすることを取り決めた示談書にやむなくサインしてしまった際、弁護士を入れることで解決した事例をご紹介します。
(事例の提供:弁護士法人若井綜合法律事務所)
※プライバシーの関係上、内容の一部に修正を加えています。
【事件の内容】
Aさんはメンズエステ店を利用しました。 店からは「警察に行くぞ」と脅されました。 【結果】 弁護士は依頼を受けた後、Aさんが盗撮した経緯を調査した上で、店側と交渉しました。 【弁護士から見たポイント】 脅されて示談書にサインさせられたことが明らかと思われるため、示談書自体が有効でない可能性が高い事例でした。 |
まとめ
今回は、風俗店での禁止行為(盗撮・盗聴・本番行為など)をして、風俗店との間で高額な示談書にやむなくサインしてしまった場合にやるべきこと、やってはいけないことを見てきました。
利用客が、盗撮などを行った後、風俗店で高額な示談書を巻かれるケースは後を絶ちません。しかし、明示的・明示的でないに拘らず、脅迫や強要によって書かれた、法外な金額の示談書に基づいて支払いを続けることは無効な可能性があります。
また、仮に支払いが終わったとしても、さらなる理由(「休業損害」や「やっぱり女の子が納得しない」等)を主張され、再請求されるリスクもつきまとうでしょう。
従って、こうした場合は一人で抱え込まず、一度、経験のある弁護士に相談することをおすすめします。