性格の不一致が原因で離婚は可能?慰謝料はもらえるの?

離婚・男女問題

この記事の監修

株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

「パートナーと性格が合わなくて離婚を考えているけど、離婚できるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
性格の不一致が原因で離婚する夫婦はとても多く、離婚原因の中でもっとも一般的な原因となっています。
一方で、性格の不一致はそれ自体は民法上の離婚原因にはなりません。では、どうすれば離婚することができるのでしょうか。
今回は、性格の不一致で離婚したい場合の手続きや、性格の不一致で離婚する場合の慰謝料などについて詳しく解説していきます。

▼この記事でわかること

  • 性格の不一致で離婚できるかどうか知ることができます
  • 性格の不一致で離婚する場合の手続きについて知ることができます
  • 性格の不一致で離婚する場合の慰謝料の相場について知ることができます

▼こんな方におすすめ

  • 性格の不一致で離婚を検討している方
  • 性格の不一致で離婚ができるのか知りたい方
  • 性格の不一致で離婚するときの慰謝料について知りたい方

性格の不一致で離婚できるの?


まずは、性格の一致により離婚する夫婦の現状について解説していきます。
どのようなケースで離婚できるのか整理しておきましょう。

性格の不一致自体は「原因」にはならないが・・・

夫婦間で話し合いをして、双方が離婚をすることについて合意すれば、民法上の離婚原因があるかどうか、に関係なく離婚をすることができます。
しかし、夫婦の一方が離婚に応じない場合や、そもそも夫婦で話し合いができない場合、民法上の離婚原因があるかどうか?がポイントになります。

民法で定められた離婚原因は、以下のような条件が必要とされています。

不貞行為 「不倫」「浮気」などと一般に呼ばれるものです。
悪意の遺棄 民法で定められた、夫婦の協力的な共同生活に正当な理由なく協力しないことを言います。
理由もなく、同居をしない場合や、収入がありながら生活費を渡さないなどの行為が該当します。
3年以上の生死不明 ただ単に「どこか行ってしまって帰って来ない」というだけではなく、客観的に見て「もしかして死んでいる可能性もある」と思うような状況であることが必要です。
回復しがたい強度の精神病 夫婦の一方が精神病に罹患して、婚姻関係が形骸化している場合を言いますが、この要件での離婚は認められにくい傾向にあります。
その他婚姻を継続し難い重大な事由 一番多い離婚原因となります。
すべての事情を総合して見ても、夫婦生活を継続し、回復することを到底期待することができず、夫婦関係が破たん状態になっている場合を言います。

ポイントは、「客観的に見て婚姻関係を継続したり、修復することが著しく困難な状況になっていると言えるか?」です。
夫婦が別居をして長期間離れて暮していれば、客観的にみて婚姻生活の継続は困難であると言えます。
その他にも、暴力や虐待、過度な宗教活動、金銭問題などにより、生命や生活を脅かす恐れがある場合が離婚の原因として認められる可能性があります。

ただ、残念ながら性格の不一致は、それだけをもって「婚姻を継続し難い重大な事由」には当たらないことが大半です。
「ちょっと意見が合わない」程度ですと、お互いの努力があれば婚姻を継続できるでしょ?とも考えられなくはないからです。
そのため、性格の不一致「だけ」を原因として裁判所で離婚を認めてもらうことは、よほどの場合に限れるため、ほぼ期待できません。

コラム:破綻主義について

裁判所は離婚の可否について「夫婦関係が破綻しており、夫婦関係がこれ以上継続できないと判断できること」を基準にしていると言われています。これを「破綻主義」といいます。

つまり、裁判所から見て「明らかに結婚生活終わってるよね」という状態を示せるかどうかが、離婚できるかどうかの鍵になります。
そのために例えば、長期間の別居などにより夫婦の実態を伴わない状態をあえて作る、ということはよく行われます。

性格の不一致で離婚するケースは非常に多い

実際には、性格の不一致により離婚するケースは非常に多い傾向にあります。
これは裁判所が公開している資料からも明らかです。

2019年に公表された司法統計の中の「性別離婚申し立ての動機別割合の推移」を見ると、性格の不一致は家庭裁判所に申し立てた理由のうち、ダントツの1位となっています。
また、その割合自体も夫側で60%程度、妻側で40%程度と非常に高くなっています。
このように、性格の不一致は最もポピュラーな離婚原因なのです。

性格の不一致で離婚する方法

性格の不一致で離婚する方法は、話し合いによる離婚(協議離婚)や調停離婚、離婚裁判などの方法があります。まずは協議離婚を試みると良いでしょう。

協議離婚を試みる

性格の不一致で離婚したい場合、どのような方法をとれば良いでしょうか。
まずは話し合いによる離婚である、協議離婚を検討してみましょう。
協議離婚では、お互いの同意が成立すれば離婚をすることができます。
協議離婚は民法上の離婚事由に該当する必要がなく、夫と妻、双方の合意さえすれば離婚することができます。
夫婦で話し合いをして、親権者や養育費、慰謝料等について合意をして離婚協議書を作成するケースも多くあります。

ただし、相手が協議で合意してくれなければ離婚することはできません。
夫婦間で話し合いをして慰謝料の金額や養育費の金額等について、疑問が生じることがあります。
多くの場合には、話し合った内容をまとめた離婚協議書を作成しますが、完成させる前に、弁護士に相談をして、内容が適切かどうかを見てもらった方がよいでしょう。

どうしても協議離婚が難しい場合は、弁護士に依頼をして、自分の代わりに弁護士に交渉してもらうことも考えられます。
弁護士が入ることで、冷静に話し合いが進むこともよくあります。
それでも離婚が難しい場合には、調停離婚の申立てを行うことになるでしょう。

離婚調停、離婚裁判をする

協議離婚を試みた結果、話がまとまらない場合は、調停離婚や離婚裁判を試みましょう。

調停離婚とは、離婚について話し合っても合意に至らなかったり、相手が協議に応じてくれない場合、裁判所に離婚調停を開くよう申し立てを行い、離婚を目指す手続きです。
離婚調停では調停委員がお互いの話を聞き、離婚の合意を目指したり財産分与などの離婚に伴う条件をすり合わせます。
離婚調停は、条件が整えば3か月程度で成立することもありますが、半年から1年程度かかることも多いです。

離婚裁判は、調停離婚が成立しなかった際に訴訟を起こす、いわば最終手段のようなものです。
裁判の判決で離婚が言い渡されれば、離婚することができます。その際、多くの場合で慰謝料等の取り決めについても判決に盛り込まれます。

調停離婚や離婚裁判の段階では、争いが顕著になるため、関係がこじれているケースが多いです。
少しでも有利に進めるためにも、弁護士に相談をしたり、依頼をしたほうが良いでしょう。

性格の不一致で離婚する場合の慰謝料請求について

性格の不一致で離婚する場合、慰謝料はどの程度発生するのでしょうか。
慰謝料が発生する条件や慰謝料の相場について解説します。

性格の不一致による慰謝料の相場は?

性格の不一致で離婚する場合、それだけで相手に慰謝料を請求することは難しい場合が多いでしょう。
ちょっとむずかしい話になりますが、慰謝料というのは「損害賠償」として支払われるもののうち、精神的な損害に対する賠償金のことをいいます。

「性格の不一致」というのは、単に「性格が合わない」というものですので、どちらかがどちらかに損害を与えているわけではない、と考えるのが普通です。
損害が発生しているのではないため、慰謝料は発生しない、という結論になります。
性格の不一致そのものによる慰謝料は発生しないということから、当然「相場」という概念もありません。

とはいえ実際には、性格の不一致を理由に離婚をする場合でも、性格の不一致の帰結として夫婦間でどのようなことが行われたかによって、慰謝料(「慰謝料みたいなもの」を含む)が払われるケースもあります。

性格の不一致でお金をもらえるケースとその相場

以下のようなケースでは例外的に慰謝料(あるいは解決金)が発生する場合があります。

相手が慰謝料を支払うことに同意したケース

協議離婚や調停離婚、裁判中の和解などで相手が慰謝料(あるいは解決金)を支払うことに同意した場合は、お金を支払ってもらうことができます。
特に、協議や裁判中に早く離婚したいという理由で金銭の支払いに同意するケースがあります。
この場合、慰謝料ではなく離婚問題を解決する「解決金」という名称になることもあります。
いくらお金がもらえるか、解決金の相場は相手の収入等によっても異なります。
50万円、という場合もあれば、数百万円ということもあります。

性格の不一致以外にも原因があるケース

離婚問題の最初の原因は性格の不一致であったとしても、その後に他の離婚原因が見つかることがあります。
特に、相手の不貞行為や暴力行為(DV)などが発覚した場合は、性格の不一致以外の原因で離婚が成立し、その原因に応じた慰謝料が発生することがあります。

この場合も相場はいくらか、画一的な基準はありません。不貞やDVの程度や頻度、別居の有無にもよるからです。
それでもあえて「相場」を言うとすれば・・・50万円から数百万くらい、という大ざっぱな目安になります。
あくまで個別の事情により異なりますので、弁護士に相談してみるといいでしょう。

まとめ

性格の不一致は離婚原因の中でも最も大きな割合を占める離婚原因です。
とはいえ、性格の不一致自体は民法上の離婚原因には当たりません。
そのため、どうしても離婚したいのであれば話し合いを試み、お互いの合意により協議離婚することが望ましいと言えます。
協議離婚でも話がまとまらない場合は、弁護士をつけて離婚調停、離婚裁判へと進めるという選択肢もあります。

性格の不一致で離婚する場合は、一般的に慰謝料は発生しませんが、相手が支払いに同意した場合や、不貞行為など別の事情が発覚した場合は、慰謝料を支払ってもらうことができます。
離婚に向けた話し合いがまとまらないようなら、早めに弁護士に相談してみると良いでしょう。

この記事の監修

株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ
タイトルとURLをコピーしました