むちうち?交通事故の後、首が痛い・・・充分な補償をもらうには

交通事故

この記事の監修

大阪府 / 大阪市西区
弁護士法人かがりび綜合法律事務所
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交通事故の後、見た目は何ともなく、特に外傷もないのに、いつも首が痛いということがあります。事故の影響なのでしょうか。
それはむちうちが原因なのかもしれません。この記事では、交通事故でむちうちになった場合、まず何をすれば良いのか、充分な補償をもらうにはどうしたら良いかを説明します。

むちうち?と思ったらやるべきこと

むちうちという言葉そのものは街中の病院の広告などで見かけることもあり、知っている方も少なくないでしょう。しかし、具体的にむちうちとは何なのでしょうか。

むちうちとは

むちうちとは一般的に、交通事故などの衝撃によって首の周りが過度に伸び縮みし、損傷を受けた結果、起こる症状を総称して指します。

実は、むちうちはそれ自体が傷病名ではありません。正確には「むちうち」は傷病の原因を表した言葉です。その昔、交通事故等の外部からの強い力で「首がムチのようにしなる様子」を表す言葉として「むちうち」という言葉が用いられ、今日まで定着したと言われています。

医学用語としてはともかく、一般的には
「交通事故のせいで、むちうちになっちゃったんだよね〜」
等、ケガの名前として「むちうち」という言葉を会話の中で使うことはめずらしくないでしょう。そのため、この記事でも以下、「むちうち」という言葉を世間一般的な意味で扱うことにします。

なお、むちうちは正確には、首周りの損傷だけを指すものではありません。
しかし、交通事故によるケガとしてのむちうちは、主に首周りに現れることが多いようです。そのため、「むちうち=頚椎捻挫」と捉える人もいるようです。
実際、交通事故で頚椎捻挫となり、後遺症で苦しんでいる人も大変多くいらっしゃいます。

むちうちってどんな症状?

むちうちの代表的な症状は以下の通りです。

  • 首、頭部、腕が痛い
  • 首、肩、背中が凝る、重く感じる
  • 首が回らない、首を動かすと痛い
  • めまい、目のかすみ、目の疲労感
  • 吐き気
  • 握力の低下、足や指先の麻痺

この他にだるさや不眠などが見られることもあるようです。また、天気や湿度の影響を受けることもあります。

むちうち?と思ったらするべきこと

むちうちの症状は、事故後数日して表れることが多いと言われています。
事故後、「首が痛い」「首がだるい」等、何らかの不調を感じた場合、まずは整形外科を受診しましょう。

その際、大切なことは「早く」「整形外科」に行くことです。

病院へはできるだけ早く

むちうちかな?と思ったら、できるだけ早く医師の診察を受けることが大切です。
というのも、交通事故とケガの因果関係を説明するためには、なるべく早い段階で証拠を掴むことが重要だからです。

後になって痛みが出たので受診した、という場合でも100%ダメ、ということではありません。しかし、時間が経つほど「事故とは違う要因では?」と考えられる余地が出てきてしまいます。早めに整形外科を受診して、レントゲン撮影など一通り検査をしてもらいましょう。

整骨院に行くのは整形外科のあと

交通事故に遭った後、まずはじめに受診するのは病院?あるいは整骨院?と迷われる方もいるでしょう。どちらにかかるべきなのでしょうか。

結論から言うと、一番初めは整形外科に行きましょう。
というのも、交通事故でもし後遺症が残った場合、加害者から示談金をもらうための示談交渉に先立ち「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。

後遺障害等級認定を受ける際に重要なものは、ケガの状況を記した「診断書」です。診断書は医師でなければ発行できません。ケガの程度がどのくらいなのか、それが交
通事故に起因しているといえるのか、ということを診断書に書いてもらうためにも、まずは整骨院ではなく整形外科を受診しましょう。

受診の結果「元の生活に戻るためにはリハビリが必要である」という場合は、交通事故後のリハビリに精通している整骨院に通うと良いでしょう。場合によっては、整形外科の先生に、リハビリのため整骨院に通ったほうがいいか、相談するのも良いでしょう。

交通事故でむちうちになった場合に請求できるお金


交通事故によりむちうちになった場合、加害者にどのような補償を請求することができるのでしょうか。
一般的には示談金(損害賠償)を請求することができます。
示談金の中には、主に事故における入院通院の慰謝料、交通費、治療費、仕事を休んだ場合には休業損害や、後遺障害が生じた場合には、後遺障害による慰謝料、逸失利益などが含まれています。

むちうちになった際、中でも気に留めておきたいのが治療費、逸失利益、慰謝料でしょう。ここでは、治療費と逸失利益、そして慰謝料の考え方について説明します。

むちうちx治療費の考え方

「治療費」とはよく聞く言葉ですが、一体何をどう計算するのでしょうか。

交通事故の治療費は「ケガを治すために病院へ行き、支払った金額、プラス、通院にかかった費用」を指します。ここはわかりやすいでしょう。

重要なのは、治療費を請求できる期間です。
治療費として支払ってもらえるのは「交通事故に遭った日」から「症状固定の日」までです。

ところで、「症状固定」とは何でしょうか。
症状固定とは、法律用語で、「治療を続けても改善がみこめない状態に達したとき」をいいます。
リハビリをして、一時的に症状が改善されてもまた症状が出てくる場合なども症状固定といわれます。

症状固定の判断は、主治医が行います。症状固定の前後で補償の内容が変わってくるので、症状固定の判断については慎重になる必要があります。

相手の保険会社から症状固定、治療の打ち切りの提案を受けました。どうしたらよいでしょうか。

その提案を受け入れた場合には、原則それ以後の治療費の支払いを求めることができなくなります。

「まだ治療を続けたら良くなりそう」と思われる場合は、特に注意してください。症状固定を受け入れるかどうかは、主治医とよく相談しましょう。

主治医が症状固定の判断をしていますが、まだ治療を続けたいです。

むちうちは症状の多くが自覚症状であるため、症状固定の判断が難しいのが現実です。
そのため、日頃から主治医とよくコミュニケーションを取る必要があります。

なお、治療頻度が落ちていたり、毎回湿布などの簡易な治療しかしていない場合には、裁判の場においても「症状が固定されているのではないか」と判断される可能性があります。
症状が治っていないと思われる場合には、こまめに通院して、今後の治療計画についても主治医とよく相談しましょう。
また、場合によっては別の病院でセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。

むちうちx逸失利益の考え方

逸失利益とは「交通事故に遭わなければ得られたはずの利益と、後遺症を負ってしまい現実に得ることになる利益との差額」を言います。

厳密な例ではありませんが、簡単に言うと以下のような話です。
たとえば

「精密機械を組み立てる職人として仕事をし、それなりの収入を得ていた。仕事の性質上、首を下に曲げてしなければならない作業が大半だったが、むちうちになったため、以前の仕事はできなくなり、簡易な事務作業をする部署に配置転換となった。これにより、年収が30%ダウンした」

とします。
この場合、ダウンした30%が「逸失利益」と言えるでしょう。

この逸失利益の計算は、後遺障害等級認定の等級が大きく影響します。
実は、むちうちに関しては後遺障害等級が非常に低い(後遺障害等級12級〜14級)か、あるいは「非該当(後遺障害なし、という意味)」となる場合が多く、高額な逸失利益をもらうのはかなり難しいと言われています。
しかし、むちうちによる逸失利益は画一的なものではなく、ケースバイケースであるべきです。このあたりについて不安を感じられている方は、交通事故弁護に精通した弁護士に相談してみるのも良いかもしれません。

むちうちx慰謝料の考え方

交通事故の慰謝料とは一般的に、精神的・肉体的苦痛を負ったことに対する損害を賠償するものです。
慰謝料の額は概ね、後遺障害等級に紐づきます。そのため、後遺障害等級認定を適切に受けることが重要になります。

ここで、先の話を思い出して下さい。
適切な後遺障害認定を受けるために重要な証拠となるのが「医師の診断書」です。
適切な医師の診断書をもらうためには、事故後一番初めは整形外科にかかること、病院に行くことをサボらないことが大切です。

むちうちで充分な補償を受けるためのポイント

交通事故でむちうちになった場合、なるべく早く元の生活に戻るためにも、充分な補償を受けることは重要です。
充分な補償を受けるためには、加害者側の保険会社との示談交渉を適切に進める必要があります。この示談交渉を弁護士に依頼することで、充分な補償を受けることができる可能性が高まります。

示談交渉を弁護士に依頼するメリット

交通事故でむちうちになった場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼するメリットは何でしょうか。

もらえる示談金がアップする可能性がある

保険会社との示談交渉を弁護士に依頼すると、もらえる示談金の額がアップすることがあります。

示談金の額は後遺障害の等級によって決まるという話をしましたが、それだけでなく、示談金の「算出基準」によっても異なります。
特に、自分で加害者側の保険会社と交渉する「任意保険会社の社内基準」で決まる場合と、弁護士に依頼した場合に採用される「裁判基準」では大きく金額が異なります。通常、一般的には後者の方が基準が高いとされています。
そのため、実際に依頼するかどうかはともかく、示談金交渉の前に一度、弁護士に相談するのがおすすめです。

示談金交渉を含めて、手続きを一任できる

交通事故に遭い、特にむちうちなどの怪我を負った場合は、示談交渉や示談金請求の手続きさえ、自力で行うことがしんどい場合もあるでしょう。
また、体の具合が悪いときは、「早く手続きを終わらせたい」という一心から、安易に妥協をしてしまいがちです。そのため、仮に示談交渉の交渉相手である保険会社から不利な条件を出されたとしても、よく考えずに「はい」と言ってしまうことも考えられます。

弁護士に依頼した場合は、こうした事態を防ぐことができます。
弁護士は交渉のプロであるため、示談交渉を任せることは、むしろ安心につながると思われます。

弁護士費用特約を活用しよう

自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついている場合、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼することができます。

弁護士費用特約は、交通事故の被害にあった際の弁護士への相談・依頼費用などを上限つきで、保険が支払ってくれます。
「上限付き」とは言いますが、弁護士費用特約を使った場合、大抵の場合で弁護士費用は実質ゼロ円となります。事故に遭った際は、自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついているか、まずは確認してみましょう。

まとめ

この記事では、むちうちかな?と思ったときにするべきこと、交通事故でむちうちになった場合にもらえる補償について、一般的な話をお伝えしました。
交通事故でむちうちになった場合の症状は、人によっても異なるため、なかなか判断が難しいものです。それゆえ、示談交渉において適切に状況をアピールできるかどうかが、充分な補償を受けられるかどうかの鍵となります。
交渉の場において状況をきちんと説明したり、適切な証拠書類をそろえることは、自力では難しいこともあるでしょう。なるべく自分だけで抱えず、信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。

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