遺産分割とは?どうやっておこなうの?

相続・遺言

この記事の監修

静岡県 / 浜松市中区
あさがお法律事務所
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遺産分割とは、亡くなった人(被相続人)の財産(遺産)について、「誰が何を引き継ぐか」を決めることをいいます。
この記事では、遺産分割の概要や、遺産分割の流れなどをご紹介します。

▼この記事でわかること

  • 遺産分割とは何か、知ることができます
  • 遺産分割の流れを知ることができます
  • 遺産分割が成立しなかった場合について知ることができます

▼こんな方におすすめ

  • 家族が亡くなって遺産分割をおこなわなければならない方
  • 遺産分割に際して、弁護士を代理人として立てようと考えている方
  • 遺産分割協議がまとまらなくて次の対応を考えている方

遺産分割とは?

「遺産分割」という言葉は知っていても、実際にどのような手続きを行えばよいのかなど、その内容については知らない方も多いのではないでしょうか。実際に相続が発生したときに迷わないよう、ここでは、遺産分割とはどのようなものか、遺産分割について最低限、知っておきたいことについて解説します。

遺産分割はどのようにおこなうか

遺産分割は、簡単に言うと「遺産を相続人同士でどう分けるかを決める」ことです。
被相続人が遺言を残している場合は、遺言の内容に従って遺産を分けることになりますが、遺言がない場合には、相続人全員で話し合いをして、遺産をどう分けるかを決めます。
この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
被相続人が相続分を指定しなかった場合、民法が、各相続人の「相続分」という割合(「法定相続分」といいます)を決めていますので、遺産分割もこの割合に従って決められることが多いのですが、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で分割することもできます。
そして、話し合いで決めた遺産分割の内容を記載する「遺産分割協議書」という書面を作成することが一般的です。

遺産分割協議をする人は?

遺産分割協議には、すべての相続人が参加する必要があります。
「協議」という名前のため、一堂に会して話し合いをおこなうイメージがありますが、全員の意思が確認できるのであればそのような形でなくてもよいのです。

相続人の確認は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せておこないます。以前の配偶者との間に子がいることや、認知している子がいることが判明した場合にはその人たちも相続人となるため、連絡をとって遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

相続人に未成年者がいる場合は、その親権者が未成年者に代わって遺産分割協議に加わることになります。しかし、その親権者と未成年者が共に相続人である場合には、親権者と未成年者との間の利益が相反するので、家庭裁判所に特別代理人の請求をしてもらう必要があります。通常は、相続人ではない親族が特別代理人となることが多く見られます。

また、認知症等で判断能力を欠く人が相続人にいる場合、その人に成年後見人を選任してもらい、成年後見人に遺産分割協議に加わってもらうことが必要です。

遺産分割協議はいつまでにおこなう?

遺産分割協議には期限は設けられていません。
しかし、相続税は相続があったことを知った日から10か月以内に支払わなければならないと法律で決められています。
そのため、特に資産が多い場合には10ヶ月以内に終わるよう、協議を急ぎたいところです。

遺産はどうやって確認するの?


遺産には、主に①不動産、②預貯金、③その他の権利などがあります。

①不動産については、存在がわかっているものについては、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せます。相続人は把握していない不動産がある可能性もありますので、市町村にて「名寄帳」という固定資産課税台帳を所有者別にまとめたものを取り寄せて確認するとよいでしょう。

②預貯金については、被相続人の残した通帳や郵便などから金融機関を確認し、亡くなった時点の残高について調べます。亡くなる前のお金の流れを確認したいときなどは、取引履歴も取り寄せるとよいでしょう。

③その他、保険や有価証券についても調べます。

これらの遺産がわかったら、全てを記載した「遺産目録」を作成します。この「遺産目録」は、遺産分割協議書に添付します。

葬儀費用やお墓のお金はどうするの?

葬儀費用やお墓にかかる費用は、被相続人のためのものと考えて当然遺産の中から出せばいい、と思いがちです。
しかし、これらの費用は、被相続人が亡くなった後に、遺族が主催して行なうものですから、本来その主催する遺族が自分の負担でまかなうべきものです。
ただし、相続人全員の合意で、これらを考慮して遺産分割協議を行なうことは可能です。

故人の使途不明金がある場合には?

遺産の調査をしている際、使途のはっきりしない出金が見つかることがあります。特に、亡くなる前に認知症になっていた場合などで、管理をしていた家族が使ってしまったのでは、などと揉めてしまうケースが多く見られます。
使途不明金については、これを生前贈与があった場合と同様に考えて相続できる金額を考えるといった形で遺産分割協議の話し合いの中で解決することもできます。
しかし、納得しない相続人がいる場合、裁判をしないと解決しないこともあります。

遺産分割協議はどうやって進める?


遺産分割協議は、遺産目録を作成し、どの遺産を誰が受け継ぐかを話し合いで決めます。

相続人全員が同意して決めるのであれば法定相続分の割合と異なる割合とすることもできますが、一般に、法定相続分の割合を原則として協議を進める方がまとまりやすいでしょう。

不動産については、法定相続分の割合ずつ共有とすることもできますが、全員の共有の状態が続くことで不便なことも多いため、①換価してから代金を分割する方法や、②誰か一人が不動産を取得して、不動産の価値の法定相続分の割合を掛けた金額に相当する代償金を支払う方法も考えられます。

相続人全員の合意の内容が決まったら、その内容を記載した「遺産分割協議書」を作成します。「遺産分割協議書」には、相続人全員で署名(記名)の上で押印をします。押印に用いる印鑑は、「遺産分割協議書」に記載された不動産の登記の手続や、金融機関の手続上実印が求められることが多いため、実印でおこなうほうがよいでしょう。

遺産分割協議が成立しなかったら?

遺産分割協議は、どの遺産を誰が受け継ぐか、特別受益や寄与分があるという主張などで、話し合いでは成立しないことがあります。
そのような場合、家庭裁判所に遺産分割調停を提起し、裁判所において調停委員を介して話し合いをすることができます。ほかの相続人と直接のやりとりをする必要がない分、話がスムーズに進み、調停が成立すれば遺産分割の手続を終わらせることができます。
また、調停でも話がまとまらない場合には、裁判官に審判という形で遺産分割の内容を決めてもらうことも可能です。

弁護士へご相談ください

遺産分割協議は、家族同士であるからこそ、過去の経緯や個々の思いなどが錯綜し、なかなかうまく進まないことが多く見られます。
遺産分割の悩みは、経験豊富な弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば、遺産分割協議の代理人として他の相続人との交渉を依頼することができますし、遺産分割協議書の作成も可能です。
また、遺産分割協議がまとまらない場合にも、弁護士に依頼すれば、代理人として調停の申立てを行うこともできますし、調停申立てを受けた側の代理人になって対応することもできます。
遺産分割がうまく進まない場合は、弁護士に依頼すると心強いでしょう。

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