相続人の調査や相続登記、相続税の申告など、相続の手続きでは戸籍謄本が必要です。
しかし、「戸籍謄本はどのように取り寄せればよいのか」「どういった戸籍謄本が必要なのか」など、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、戸籍謄本を取り寄せる方法について解説します。
相続手続きで必要となる戸籍謄本の種類や弁護士に依頼するメリットなども紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
戸籍謄本を取り寄せる3つの方法
戸籍謄本(全部事項証明書)の取り方には、「コンビニの交付機」「郵送」「役所の窓口」の3つがあります。
ここでは、それぞれの方法について解説します。
戸籍謄本をコンビニ交付する場合
コンビニに設置されているキオスク端末(マルチコピー機)から戸籍謄本を取得できます。
最寄りのコンビニで好きな時間に発行できる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、除籍謄本や改正原戸籍謄本は取得できないため、相続手続きに必要な戸籍謄本類がすべてコンビニで手に入るとは限らない点に注意が必要です。
ここでは、発行に必要な条件や利用時間、料金などを紹介します。
戸籍謄本をコンビニ交付するための条件
コンビニのキオスク端末で取り寄せるには、下記3つの条件を満たす必要があります。
- マイナンバーカード(個人番号カード)を持っている
- 本籍地のある市区町村がコンビニ交付に対応している
- コンビニが証明書の取得に対応している
現住所と本籍地の市区町村が同一の場合、キオスク端末で利用できる市区町村画面から現住所を検索し、「発行可能な証明書」の「戸籍」に〇がついていれば、取得できます。
現住所と本籍地の市区町村が異なる場合は、端末から事前申請をして戸籍謄本を取得します。
なお、下記のサイトからもコンビニ交付に対応しているか確認可能です。
(参考:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付【コンビニ交付】| 利用できる市区町村)
戸籍謄本をコンビニ交付する際の必要書類・費用・時間
コンビニで戸籍謄本を取得するには、顔写真付きのマイナンバーカードが必要です。
顔写真のついていないマイナンバーの通知カードでは手続きできません。
かかる費用は市区町村によって異なりますが、300円〜450円程度で設定されていることがほとんどです。
市区町村の窓口よりも費用を抑えて戸籍謄本を取得できる場合があります。
戸籍謄本をコンビニで取得できる時間帯は、土日祝祭日含む「6:30〜23:00」です。
市区町村の窓口が対応していない時間でも戸籍謄本を取得できます。
なお、市区町村によって利用時間に制限を設けている場合もあります。
戸籍謄本のコンビニ交付の手続き手順
キオスク端末にて、以下の手順で戸籍謄本を取得できます。
- 行政メニューから「証明書の交付」を選択する
- 「証明書交付サービス」を選択する
- キオスク端末のカード置き場に、マイナンバーカードを置く
- 証明書を交付する市区町村を選択する
- マイナンバーカードの暗証番号を入力する
- 本籍地の地域を選択する
- キオスク端末の指示にしたがい本籍地の市区町村を選択する
- 必要な証明書を選択する
- 証明書の必要部数を入力する
- 発行内容を確認して問題がなければ入金する
- 証明書が印刷される
- 領収書が発行されて完了
現住所と本籍地の市区町村が同じ場合は、即日交付です。
現住所と本籍地の市区町村が異なる場合は、事前申請が通るまでに役所が開いてる日で5日間程度かかる場合があります。
本籍地が違う場合の事前申請のやり方
現住所と本籍地の市区町村が異なる場合は、事前申請(コンビニ交付利用登録申請)が必要です。
事前申請の方法は、キオスク端末とインターネット端末の2種類あります。
以下は、キオスク端末で事前申請する方法です。
- 行政メニューから「証明書の交付」を選択する
- 「利用登録申請」を選択する
- キオスク端末の指示にしたがい、本籍地や戸籍筆頭者の氏名、電話番号などを入力する
- マイナンバーカードに記載されているセキュリティコードを入力する
- マイナンバーカードをセットする
- マイナンバーカードの暗証番号を入力する
- 申請内容を確認して問題がなければ「確定する」を選択する
- 申請番号が表示されるため、控えておく
- 申請番号を印刷する
ICカードリーダを装備したパソコンから事前申請する場合は、下記のサイトから可能です。
なお、手順も下記のサイトをご参照ください。
(参考:戸籍証明書交付の利用登録申請)
戸籍謄本を郵送で取り寄せる場合
窓口で戸籍謄本を取得できない場合は、郵送で請求して取り寄せることが可能です。
以下に、必要書類などを解説します。
戸籍謄本を郵送する際に必要な書類
以下は必要書類です。
- 戸籍謄本請求書
- 住所が記載された本人確認書類の写し(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、健康保険証)
- 委任状(代理人のみ)
- 請求権限を確認できる書類(請求者と戸籍謄本に記載される人が異なる場合)
戸籍謄本請求書は請求先のホームページからダウンロードできますが、必要事項を記載して請求書を自作することも可能です。
戸籍謄本請求書に記載する必要事項や書き方については、請求先のホームページからご確認ください。
その他、戸籍謄本について不明な点がある場合、役所の窓口が対応している時間帯(一般的には8:30~17:00前後)であれば電話で問い合わせも可能です。
戸籍謄本の郵送での取り寄せにかかる費用・日数
手数料は450円で、定額小為替・普通為替、あるいは現金(現金書留)にて送付します。
往復分の郵送用切手代もかかります。
郵送証明センターで受付後、7〜10営業日ほどで発送され、届くまでに10日程度かかります。
急いでいる場合は、速達便で請求しましょう。
なお、EメールやFAXでの請求はできません。
為替は郵便局で購入することができますが、貯金業務に含まれるため、基本的には午後4時までに購入に行く必要がありますのでご注意ください。
役所の窓口で戸籍謄本を取得する場合
役所の窓口で戸籍謄本を取得する方法や利用時間などを解説します。
戸籍謄本の取得申請先の役所
従来は本籍地の市区町村の役所で手続きが必要でしたが、戸籍法の改正によって2024年3月1日から、最寄りの役所で戸籍謄本の請求が可能です。
例えば、本籍地が県外であっても戸籍謄本を取得できます。
ただし、代理人や郵送による場合は認められませんのでご注意ください。
(参考:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)|法務省)
戸籍謄本の窓口請求の必要書類・費用・時間
戸籍謄本の窓口請求に必要な書類は以下になります。
- 請求者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 委任状(代理人の場合)
- 資格証、社員証・請求理由の分かる疎明資料(法人等の場合)
役所の開庁時間(一般的には8:30~17:00前後)で請求が可能です。
戸籍謄本の発行手数料として450円かかります。
戸籍謄本は当日、窓口で直接交付されます。
処理時間はおよそ10分〜30分程度です。
委任状で手続きする場合
戸籍謄本の請求は、本人や同一戸籍の人(親子、配偶者)、または本人の直系血族の人(祖父母、親子、孫など)であれば、委任状は不要です。
家族以外の第三者が戸籍謄本を請求する場合は、代理人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)と委任者(請求者)が自署または記名・押印した委任状を用意する必要があります。
申請先は、本人の本籍地のある役所の窓口です。
戸籍謄本の請求に必要な本籍地の調査方法
戸籍謄本は原則的に本籍地のある役所に請求することとなります。
しかし、本籍地は役所の窓口や電話で問い合わせても回答してもらえません。
本籍地を調べる方法は、以下の3つがあります。
- 本籍地記載の住民票を請求する
- 運転免許証のICチップ情報から本籍地を確認する(警察署・免許センターなどに設置されている確認端末や、免許証情報を読み取るスマートフォンアプリで確認可能)
- 本籍地を知っていそうな親族に確認する
戸籍謄本が必要となる相続手続き
相続において戸籍謄本が必要となる場面には、主に以下が挙げられます。
- 相続人の調査
- 相続登記(不動産の名義変更)
- 相続税の申告
- 預貯金の払い戻し
- 株式の名義変更
- 車の名義変更
- 生命保険の請求
なお、以下のように各種手続きには期限が設けられています。
- 相続放棄・限定承認の申述期限:相続開始から3ヵ月以内
- 被相続人の準確定申告:相続開始から4ヵ月以内
- 相続税申告の期限:相続開始から10ヵ月以内
- 相続登記:所有権の取得を知った日から3年以内
各手続きに必要な戸籍謄本の内容
相続で必要とされる戸籍謄本には、以下の2つが挙げられます。
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍謄本)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本
なお、相続税の申告で提出する戸籍謄本は、2018年4月以降コピーしたものでも可能です。
また、戸籍謄本の代わりとなる書類に「法定相続情報一覧図」があります。
法定相続情報一覧図は、相続関係を一覧にした家系図のような書類で、相続税の申告や相続登記などの相続手続きの際に戸籍謄本の代わりとして使用できます。
取得までに1~2週間程度かかる点はデメリットですが、発行は無料である上に、一枚の証明書だけで相続関係を証明できる点は大きなメリットです。
除籍謄本・改正原戸籍謄本とは
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本には、大きく除籍謄本と改正原戸籍謄本があります。
除籍謄本 | 結婚や死亡などで戸籍に誰もいなくなった状態を証明する写しのことです。 発行手数料は1通750円です。 |
改正原戸籍謄本 | 戸籍法が改正される前の戸籍の写しのことです。 戸籍は法律が変わることで、新しい様式の戸籍に書き換えられることがあります。 発行手数料は1通750円です。 |
兄弟姉妹が相続する場合、必要な戸籍謄本が多くなる
被相続人に、相続人となる子どもがおらず、親も亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人となります。
その際、必要な戸籍謄本が多くなる点に注意が必要です。
兄弟姉妹が相続する場合、戸籍謄本で以下の事実を確認します。
- 被相続人に相続人となる子供がいない事実:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の直系尊属が亡くなっている事実:被相続人の直系尊属が亡くなっている事実が分かる戸籍謄本
- 被相続人と兄弟姉妹関係の事実:被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本
相続人全員の現在の戸籍謄本を合わせると、必要となる戸籍謄本が50通を超えることもあり得ます。
戸籍謄本の取り寄せを弁護士に依頼するメリット
相続で必要となる戸籍謄本を自力で揃えることは可能ですが、多大な労力がかかる場合があります。
戸籍謄本の取り寄せを弁護士に任せることで、以下のようなメリットがあります。
複雑な手続きについて調べる必要がない
相続は財産や相続人の数など、状況に応じて必要となる手続きが異なります。
そして戸籍謄本の種類や数も、手続きに応じて用意する必要があります。
しかし、法律の知識がないと、「どのような手続きが必要なのか」「どうやって戸籍謄本を集めればよいのか」と悩んでしまうものです。
弁護士に依頼することで、必要な手続きに応じて戸籍謄本の収集をサポートしてくれます。
戸籍謄本が複数必要な場合でも労力がかからない
相続人が亡くなっている場合(代襲相続)や兄弟姉妹が相続人となる場合、被相続人が何度も本籍を変更している場合などは、必要となる戸籍謄本が多くなり、自身ですべて揃えるのは手間がかかります。
相続では戸籍謄本を揃える以外にもやるべきことが多くあるため、弁護士に任せて少しでも負担を軽減するのが賢明です。
その後の相続手続きも任せられる
相続では、遺産分割協議をはじめ、必要な書類の収集や口座解約、相続税の申告など、さまざまな手続きがあります。
これらの手続きには期限が設けられていることがほとんどですので、迅速に対応しなくてはいけません。
相続手続きに慣れた弁護士に任せることで、負担の多い相続手続きを代行してもらえます。
また、遺産分割協議では親族間でトラブルに発展するケースも多いため、法律の専門家である弁護士を間に挟むことで、法的観点に沿って冷静に話し合いを進めることが可能です。
相続問題に詳しい弁護士を探すならココナラ法律相談へ
相続問題を迅速かつ納得感を持って解決するには、弁護士との相性が重要です。
とはいえ、世の中には多くの弁護士がおり、「どのように見つければよいのか」「料金はいくらなのか」など、疑問や悩みのある方も多くいるでしょう。
さまざまな弁護士を検索・比較したい場合は、ココナラ法律相談がおすすめです。
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弁護士のプロフィールページには、料金表や解決事例、インタビューなどが掲載されており、人柄や経験などを把握できます。
自分に合った弁護士を見つけるためにも、ぜひココナラ法律相談をご利用ください。
まとめ
戸籍謄本は役所やコンビニで取得できるほか、郵送で取り寄せることも可能です。
しかし、相続手続きでは多数の戸籍謄本が必要となる場合があり、自力で揃えるのは容易ではありません。
弁護士に依頼することで、必要な戸籍謄本をすべて揃えるサポートをしてくれます。
また、戸籍謄本の収集以外にも複雑な相続手続きを一貫して任せられ、自身の負担を軽減できます。
法律事務所によっては無料相談を実施しているケースもあるため、調べてみるとよいでしょう。