弁護士にお金を払えば、どんな依頼でも引き受けてもらえると思っていませんか?
しかし弁護士には、相談者からのすべての依頼に応じる義務はありません。
依頼者と十分な信頼関係を築けないような場合や、弁護士が割に合わないと感じた案件などは依頼を断られるケースもあるのです。
弁護士への依頼をする際は、受任拒否されてしまうような行動をしないよう気をつけましょう。
そこで本コラムでは、弁護士への依頼に際し注意するべき点などについて解説します。
▼この記事でわかること
- 弁護士に依頼を断られないよう、どんなことに注意すべきか分かります
- 弁護士への依頼に際し、とるべきではない「NG」行動が分かります
- 弁護士が「受任拒否」をする可能性があるケースを具体的に示します
▼こんな方におすすめ
- 弁護士への依頼を検討されている方
- 弁護士への相談を考えているが、悩みを理解してもらえるかなどで不安を感じている方
- 弁護士に相談しているうちに、弁護士との関係が悪くなり、悩んでいる方
弁護士への依頼に際して注意すべきこと
弁護士への依頼に際して重要なことは、弁護士と依頼者との間で信頼関係を築くことです。
対人関係において、信頼できない相手とあえて関わりたくないと考えるのは当然のことです。
弁護士業においても同じく、依頼者に対して不信感が残る場合は受任を拒否されてしまう可能性があります。受任後であれば、「辞任される」こともありえます。
では弁護士に依頼する際に不信感を与えないようにするには、どのような行動を取ればよいのでしょうか。
弁護士とコミュニケーションを取る際は、具体的につぎのようなことに注意しましょう。
- 嘘をつかない
- 法外な請求など、無茶な要求をしない
- 復讐・報復を目的に依頼しない
- なるべくすぐに連絡がつく状態にしておく
- 日程・締切などの約束はきちんと守る
- 感情的になりすぎない
- しつこく弁護士費用を値切らない
弁護士への依頼に際して注意すべき行動について、具体的に解説していきます。
嘘をつかない
有利な条件に進めたいがあまり、自分に不利な事柄に関して、つい事実と違うことを話してしまうようなケースは少なくないようです。
もし弁護士に嘘をついてしまえば、状況に応じた適切な対応が取れなくなってしまいます。
また嘘はついていなくても、弁護士に伝えるべきことを伝えていなかったり、隠していたりするのも同様によくない行動です。
弁護士への相談にあたっては、依頼に関連する事柄を正確に伝えるために、事実関係をメモにおこしたうえで、弁護士に伝えることをおすすめします。
その際自分の物事の捉え方や、認知のゆがみはないか、客観的にチェックしておきましょう。
法外な請求など、無茶な要求をしない
例えば恋人同士の小さなトラブルに、数千万円もの慰謝料を請求したいというような、損害の程度とかけはなれた無茶な要求をしても、断られる可能性は高いでしょう。
また常識的に考えて依頼者に非があるにも関わらず「自分は被害者だ」と正当化し、無理な訴訟を起こそうとするようなケースも受任拒否の対象になります。
仮に受任拒否した弁護士を説得し、依頼に応じてくれるよう求めたとしても、両者の見解が相違しているため依頼者の納得のいく解決を目指すことは難しくなります。
依頼内容、条件を変えないのであれば、受け入れ可能な別の弁護士を探した方がスムーズに進む可能性は高いでしょう。
復讐・報復を目的に依頼しない
テレビドラマなどでは、けんかや口論がエスカレートし、登場人物が「訴えてやる!」などと叫ぶシーンを見ることがあります。
裁判には「争う」イメージが強い面はありますが、裁判の目的は争うことではなく、あくまでも「問題の解決」です。
復讐や報復を目的に、裁判を起こすのは建設的ではありません。
そのため「相手への嫌がらせとして裁判をおこしたい」「今までの恨みを晴らすため、絶対に負けたくない」といった依頼は、受任拒否されることもあるでしょう。
なるべくすぐに連絡がつく状態にしておく
依頼者と連絡が取れないとなると、弁護士としてはお手上げ状態になってしまいます。
依頼内容などに問題がなくても、辞任せざるをえなくなります。
着信があっても折り返さない、電話を無視する、連絡先の変更を伝えないなどの行動をとらないように気をつけましょう。
また逆に依頼者の都合だけで、しつこく連絡をし続けるのも控えるべきです。
相手の業務の妨げにならないか、常識的なマナーを守って行動しましょう。
日程・締切などの約束はきちんと守る
弁護士に依頼すれば、多くの手続きを弁護士に任せることができますが、依頼者自身が対応しなければならないこともあります。
依頼者が資料の準備や確認をしない、面談日をひんぱんにキャンセルする、裁判所に出頭すべき日に来ないなどの状況が続けば、事件処理が進められずいつまでも解決することができません。
弁護士としても解決できない事件に時間を割くことは難しいので、辞任につながる可能性もあるでしょう。
トラブルを適切に解決していくためには、決められたことは守るべきです。
感情的になりすぎない
依頼者は何らかの問題を抱えて弁護士に相談しているので、つい感情的になりがちです。
感情をコントロールできず、弁護士のアドバイスを聞き入れない、会話が成立しないという状況に陥ることも多くあります。
ただ、怒りや悲しみなどの感情を弁護士に向けても、建設的な会話につながらず意味がありません。
それどころか弁護士の対応コストを懸念し、依頼を断られてしまう可能性もあります。
弁護士と話す際は、まず自分の意見や思いではなく、トラブルの経緯などから話すよう心掛けましょう。
訴訟の勝ち負けは感情の強さで決まるものではなく、証拠に基づき、自分が主張する事実が認められるかどうかです。
感情論ではなく冷静に客観的な事実を伝えた方が、弁護士から有効なアドバイスを得やすくなります。
弁護士費用を値切らない
多くの依頼者が、弁護士費用はできるだけ少なく抑えたいと考えることでしょう。
減額のお願いをすること自体が禁止されているものではありません。
しかし弁護士費用については、基本的に各事務所がそれぞれの方針によって、適正価格を提示しています。
費用負担を減らすために無理にでも理由をつけ、報酬を値切るようなことは控えるべきです。
それどころか値切ることによって「この依頼者は弁護士の仕事に価値を感じていない」という印象を抱かせ、事件処理においても軽く扱われてしまう可能性もあります。
最近は「安さ」に重点を置いている事務所も多くなっていますので、費用感や料金体系が合わないと感じた場合は、別の事務所を探してみましょう。
弁護士から受任拒否される可能性がある案件
依頼者としてのマナーを守って行動していても、依頼内容が難点となり受任拒否せざるを得ないケースもあります。
以下では、受任拒否される可能性がある案件について詳しく説明します。
費用倒れする
債権回収に関する訴えの提起を弁護士に依頼した場合、例えば請求額が30万円で、弁護費費用が40万円かかる場合に、勝訴しても回収額より弁護士費用が高くなってしまい、費用倒れする可能性が高くなります。
また請求する相手が未成年、無職、破産者などで資力がなく、勝訴しても金銭を受け取れる見込みがなければ、結果的に費用倒れになってしまう可能性もあります。
こうした費用倒れが予想されるケースについては、法律的には請求が可能な案件であっても、依頼者のメリットにならないため、弁護士は受任拒否することがあるのです。
弁護士業務の範囲ではない
弁護士に依頼できるのは、法律に関することに限られます。
例えば「心の病気によって仕事がうまくいかない」「彼が浮気をして悩んでいる」「親との関係にストレスを感じている」などの悩みは、法律で解決できない事が多いです。
法律で解決できない問題は、弁護士業務の範囲ではなく、弁護士が取り扱うことはできないのです。
ただ、一見して法律に関係ない悩みやトラブルでも、原因を探っていくと法律問題が関わっている場合もあります。
例えば「仕事がうまくいかない」理由に上司からのパワハラがあったという場合、法的手段をとることが可能な場合もあります。
抱えている悩みが法律で解決できるのか、できないのかを慎重に判断したうえで弁護士への相談を検討しましょう。
弁護士に相談するべきなのかわからない場合は「法律Q&A」へ
弁護士に相談するべきか、依頼できる内容なのかわからない場合「法律Q&A」を活用してみてはいかがでしょうか。
「法律Q&A」ではキーワード検索で、同じような悩み、トラブルを抱えた人の投稿と、それに対する弁護士の回答を探し、閲覧することができます。
また、自分自身で投稿をすることも可能で、ココナラ法律相談に掲載している複数の弁護士からの無料で回答を得ることができます。
さまざまな投稿や弁護士の回答を参考に、今後どのような対応を取るべきか考えてみることをおすすめします。
まとめ
せっかく弁護士に依頼をしても、依頼者側が対応を間違えれば、良い結果は得られません。
冷静に自分の状況を分析し、弁護士の話に真摯に耳を傾け、問題解決に真面目に取り組むことが必要です。
弁護士との信頼関係を大事に、物事を進めていきましょう。