近年は個人事業主・フリーランスとして働く方が増加しており、個人で活動する人が顧問弁護士に依頼するケースもめずらしくありません。
「顧問弁護士」と聞くとハードルの高さを感じるかもしれませんが、個人事業主・フリーランスにとって顧問弁護士は決して遠い存在ではありません。
「業務委託契約書の内容が難しく、よくわからない」
「仕事をしたのに取引先が報酬を支払ってくれない」
「取引先とのトラブルを予防して業務に集中したい」
このようなお悩みをもっている方は、顧問弁護士をつけることをおすすめします。
法律の専門家である顧問弁護士に法律相談やトラブル対応を依頼して、仕事に専念できる環境を整えましょう。
▼この記事でわかること
- 個人事業主・フリーランスになぜ顧問弁護士が必要なのかがわかります
- 顧問弁護士に依頼できる内容がわかります
- どのように顧問弁護士を選べばよいのかがわかります
▼こんな方におすすめ
- 顧問弁護士を頼むべきか悩んでいる個人事業主の方
- 気軽に法律相談ができる相手が欲しいフリーランスの方
- 個人事業主向けの顧問弁護料の相場やプランを知りたい方
個人事業主が顧問弁護士に依頼するメリット
顧問弁護士は、依頼者の代理人、アドバイザーとして法律に関する相談やトラブル対応などを引き受けてくれる存在です。
<顧問弁護士のサポート内容の一例>
- 契約書作成、契約書のリーガルチェック、契約交渉の代理
- 各種規制の調査
- 債権回収その他紛争対応
- トラブル予防、リスク対策
- 気軽な法律相談 など
このように、個人事業主・フリーランスが顧問弁護士に依頼できることは多く、個人で活動する人の大きな支えとなってくれます。
この項では「個人事業主・フリーランスが顧問弁護士に依頼するとどんなメリットがあるのか」を詳しく紹介します。
顧問弁護士が自身に必要かどうか見極めるためにも、一つずつ確認していきましょう。
思わぬ法律トラブルの発生を防げる
個人事業主・フリーランスの中には、詳しい法律知識を持たないまま活動している方も多くいます。
しかし「法律を知らなかった」というだけで思わぬトラブルに巻き込まれたり、自身が加害者になってしまうことすらあるのです。
法律について個人で調べることは大切ですが、法律系の資格を持たない人が発生しうる法的リスクを検知し、予防することはとても難しいことです。
法律に精通した顧問弁護士と契約していれば、問題が生じる可能性がある状況を相談し、対応方法までアドバイスしてもらえるため、様々なトラブルを可能な限り未然に防ぐことができます。
また、トラブルが生じた際には、顧問弁護士がいれば迅速に対応してくれます。
トラブル時に全責任を負う必要のある個人事業主・フリーランスの方こそ、いつでも相談できる顧問弁護士をつけるメリットが高いといえるかもしれません。
契約書を交わす際の法的リスクへの対策ができる
個人事業主・フリーランスが仕事を受注する際は、多くの場合業務委託契約書を交わします。
業務委託契約書には、次のようなさまざまな重要事項が明記されています。
- 業務内容
- 報酬と支払い方法
- 納品・検収の方法
- 契約期間
- 納期遅延が生じたときの対応
- その他トラブル時の対応について
もし契約内容に違反するとペナルティが課される場合もあるため、「事前に聞いていた話と違う点はないか」「自身に不利な内容ではないか」などを確認してから正式契約を交わすことが推奨されます。
顧問弁護士をつければ、相手から提示された業務委託契約書のリーガルチェックを依頼でき、条件の見直しなどのアドバイスをもらえます。
また弁護士に契約書の作成自体を依頼することも可能です(別途費用がかかる可能性もあります)。
相手方の契約書ドラフトをもとに契約交渉をするよりも、こちらからドラフトを出した方が、契約交渉を有利に進められる場合が多いです。
そのため、同種の案件を複数の会社から受注することが多い個人事業主の方は、契約書ドラフトを持っておくことがお薦めです。
訴訟リスクを回避できる
もし個人事業主・フリーランスの立場で訴訟を起こされてしまった場合、個人で対応する必要があります。
例えば、納品物に欠陥がある等と訴えられて損害賠償請求を受けた場合、放置してしまうと、訴訟を起こされてしまうおそれがあります。場合によっては、自宅や預金が差押えられるおそれもあります。
そのため、訴訟に発展する前にトラブルを早期解決することが重要です。
顧問弁護士をつけていれば、トラブル発生時にすぐ適切な対応をとってもらいやすくなり、弁護士を通じた交渉等により、裁判に至る前に問題を解決できる可能性が高くなります。
トラブル対応を一任できる
個人事業主・フリーランスの場合、トラブルが発生したとき、個人で対応する必要があります。
トラブル対応中は仕事ができなくなるため、業務に支障が出てしまうケースも多いでしょう。
そこで顧問弁護士をつけていれば、代理でトラブル対応を一任でき、自身は仕事に専念できます。
また、裁判に発展してしまった場合は顧問弁護士が複雑な事務手続きや相手との交渉などを代わってくれるため、体力的・精神的にも負担が激減します。
ただし、訴訟に発展した際の費用は別料金になることが多いので、事前にサービス内容を確認しておきましょう。
債権回収を迅速に進められる
個人事業主・フリーランスは、「仕事をしたにも関わらず報酬を支払ってもらえない」というトラブルに見舞われるリスクもあります。
また債権回収には時効があるため、催促する時間がない・相手に言いづらいなどの理由で放置してしまった場合、法的に報酬を受け取れなくなる可能性もあるのです。
顧問弁護士をつけていれば、報酬の支払いが遅れている相手側に対して、内容証明郵便を郵送したり、取引先の資金繰りが危ない場合には仮差押等の財産の保全処分等の適切な方法で債権回収の手続きを進めてくれるので安心です。
個人事業主に適した顧問弁護士を選ぶポイント
ここからは、個人事業主・フリーランスに適した顧問弁護士を選ぶポイントについてお伝えします。
顧問弁護士について「費用・プラン」「サービス内容」「人柄・相談のしやすさ」の3つに分けて紹介します。
すべてを満たす顧問弁護士を見つけられるのがベストですが、まずは自身が一番優先したいのは何かを整理しながら見ていきましょう。
費用・プランで探す
まずは、費用やプランなど金額面です。
顧問弁護料は事務所によって差はありますが、一般的に個人事業主・フリーランスが顧問弁護士を雇った場合の費用は月額3~10万円がおおよその相場です。
また、近年では個人事業主向けのプランを用意している事務所も多くあります。
「月額◯万円、相談は月に◯回まで」など、事務所HPなどにプラン内容の詳細を載せている場合もあります。
どのくらいの頻度で相談したいか想定したうえで、費用とのバランスを見て決めましょう。
緊急事態に備えて、土日や夜間の相談可否なども確認しておくのもおすすめです。
月額料金が安い事務所は、サポート内容が少なかったり追加料金が高額になったりする可能性もあるので注意しましょう。
サービス内容で探す
次に、サービス内容を重視して探す方法を紹介します。
まず顧問弁護士にどんな内容を相談したいかを整理したうえで、その内容の解決経験が豊富な弁護士を選ぶのがポイントです。
- 得意な業種は何か(顧問契約を結んだ経験のある業種)
- 事業トラブルを解決した経験が豊富か
- 自身の事業内容に関して理解を示してくれるか
自身の事業内容について詳しい知識がある弁護士なら、話も通じやすいので安心できるでしょう。
人柄・相談のしやすさで探す
人柄や相談のしやすさも大切なポイントです。
顧問弁護士は一回限りではなく継続して相談する相手なので、フィーリングが合うかどうかも判断基準のひとつとしてみておきましょう。
- 会話の波長が合うか
- 誠実な対応をしてくれるか
- レスポンスが早いか
- 幅広い分野で相談ができるか
このように、心地よいコミュニケーションをとれる相手であれば、困ったときにも気軽に相談しやすく、トラブル対応の際も安心して任せられます。
有事の際だけでなく普段から気軽に相談しやすい点を意識して、自分にぴったりな顧問弁護士を見つけましょう。
まとめ
本記事では、個人事業主・フリーランスが顧問弁護士に依頼できることやメリット、顧問弁護士の選び方などをまとめました。
個人事業主・フリーランスは法律トラブルで負うリスクが非常に大きいため、豊富な知識と経験を持った顧問弁護士に依頼して普段からサポートしてもらうことをおすすめします。
また、顧問弁護士は継続して相談する相手なので、気軽に相談できる話しやすい弁護士を選ぶことも大切です。
費用やサービス内容などのバランスを見ながら、自分にぴったりな顧問弁護士を見つけ安定した事業運営を目指していただければと思います。