顧問弁護士の導入を検討している中小企業は増えています。一方で「どのように活用すればいいのか」分からず、悩んでいる経営者の方は少なくないようです。
とはいえ、弁護士事務所にいきなり、「何をしてもらえるんですか?」とは聞きづらい面もあるでしょう。このコラムでは、そもそも顧問弁護士の役割とはどういったものなのか、依頼できる内容、依頼するメリットなどを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 弁護士と顧問契約を結ぶと、どんなことをしてもらえるのかわかります
- 顧問弁護士を活用するメリットがわかります
- 顧問弁護士の活用の仕方が分かります
こんな方におすすめ
- 顧問弁護士を頼むべきか悩んでいる方
- 顧問弁護士にどんなことを相談できるか知りたい方
- 会社経営で困りごとや不安のことがあり、相談できる人を探している方
目次
いろいろあります!顧問弁護士に依頼できること
これをお読みの方の中には「顧問弁護士に、どんなことをお願いできるのか分からない」という方もいらっしゃるでしょう。
実は、顧問弁護士への相談内容や依頼の範囲などに、具体的な決まりはありません。会社の実情やニーズに合わせて、さまざまなサービスを受けることができます。
とはいえ、「みんな、どうしてる?」というのは気になるところです。そこでここでは、顧問弁護士への一般的な相談例、活用例などについて説明します。
どんなことを相談している?
最初に、中小企業の経営者は顧問弁護士に対し、具体的にどんなことを相談しているのか見ていきましょう。
日本弁護士連合会が2016年に調査を実施した「第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」の中で、「困りごとを顧問弁護士に相談した場合の満足度」の調査によると、相談の結果への満足度が9割を超えた事案は以下の通りでした。
※満足度は「大いに満足」「まあ満足」と答えた割合を足し合わせた数値
- 契約書相談・作成(95.7%)
- 各種情報管理(94.2%)
- M&A(合併・買収、93.8%)
- 社内規定・ルール整備(93.6%)
- 経営改善・再建・資金繰り(93.1%)
- 海外トラブル(92.3%)
- 総会、役員会の運営(91.9%)
- 雇用問題(90.4%)
上記以外でも、クレーマー対策やハラスメントをはじめとする社内問題、知的財産権の問題など幅広い内容の相談で、8割を超える高い満足度が示されていました。
顧問弁護士には、社内の小さなトラブルから会社の経営上の問題まで、多岐にわたる相談ができるということ、その結果として満足の行く結果を得ている人も多い、ということがわかります。
「予防法務」でリスクを予見
顧問弁護士を活用するメリットは、「こんなことを相談してもいいのかな?」と思うようなことでも、気軽に相談できることです。
弁護士と顧問契約を結ぶことと、トラブルがあったときだけ弁護士を頼むことの違いは、主に「その企業や業界に対する深い理解を弁護士が持っているかどうか」という点にあります。
顧問弁護士が顧問先の会社と継続的な関係を構築することで、顧問先の会社の立場や取引先との関係、業界の常識やルールについての理解が深まります。
その結果、顧問弁護士は顧問先の企業に対して、より実情にあった対応やアドバイスをすることが可能になります。顧問弁護士からは、実際に起きたトラブルの解決など、一過性の対応に止まらないサービスを受けることができるのです。
最近は「予防法務」という考え方が中小企業でも広まっています。
「予防法務」とは、クレームやトラブル、不祥事や訴訟など、将来予測されるさまざまなリスクに備え、あらかじめ対策を講じることです。
通常、こうした問題は一度発生すると、解決に膨大な費用と時間が掛かってしまうこともあります。その点、「予防法務」によって被害を未然に、あるいは最小限にとどめることができるのであれば、それに越したことはありません。
顧問弁護士に対して月額費用を払ったとしても充分効果が得られる、と考えることもできます。
こうした「予防法務」の観点からも、顧問弁護士の活用は有効です。会社のビジネスモデルや業界の事情に通じ、日常的にコミュニケーションをとっている顧問弁護士ならば、「リスクになり得ること」も把握しやすく、予防法務の取り組みも充実させることが可能になります。
企業の成長フェーズに合わせた提案も
顧問弁護士を活用する場合、会社の業種や業態によって相談や依頼内容は変わります。
また、同じ会社でも、その成長フェーズによっても必要性が変化します。
企業は「起業・創業期」から、新規事業を展開する「成長期」、さらに継承・M&Aなどを進める「成熟期」、事業の撤退や改革が必要となる「衰退期」と、成長フェーズが変化します。
同じ会社でも、フェーズが変わることによって、社内体制として整備しなければならないことや、法律上の課題などは変わります。
例えば、「起業・創業期」であれば、就業規則を作成したり、雇用契約書を見直す等といった基本的な事柄からも取り組む必要があるでしょう。
「成長期」であれば、新たに取り組もうとしているビジネスモデルが適法かどうか、という観点が必要になるかもしれません。
経験豊富な顧問弁護士であれば、会社それぞれの成長フェーズを踏まえ、するべきこと、必要な体制整備を提案してくれることが期待できます。
顧問弁護士の活用の仕方はさまざま
顧問弁護士と実際に契約するとして、どんな活用の仕方が可能なのでしょうか。顧問弁護士との「お付き合いの仕方」について解説します。
顧問料や依頼スタイルは会社側から提案してもOK
「弁護士と顧問契約を結ぶ」と言うと、何かお願いしたい事柄やトラブルが発生したときに電話して相談、というイメージをお持ちの方もいるでしょう。
しかし、顧問弁護士との「お付き合いの仕方」に、決まりはありません。むしろ「顧問弁護士にはこんな風に、会社に関わって欲しい」という話を、依頼する際に会社側から提案するのも良いでしょう。
例えば「週1回ミーティングをしたい」「社内で行われる経営会議に参加してほしい」など、社側の希望を伝えてみましょう。
なお、お願いできる内容は、顧問料と切っても切れない関係にあります。そのため、お願いしたい内容と一緒に、「月額いくらでお願いできるか」、費用の話もしてみましょう。会社としての予算を伝えて、依頼スタイルを一緒に考えるのも良いかもしれません。
ちなみに費用という意味では、日本弁護士連合会の調査などをみると、中小企業との顧問契約で顧問料の相場は、月額3-5万円程度となっています。また、月額3-5万円の顧問料に、月3時間程度の相談が含まれているケースが多いようです。
ただ、これはあくまでも調査による平均的な数字で、弁護士事務所によっては月額基本料を数千円台〜で設定し、さまざまなオプションを設けているようなケースもあります。
相談方法も電話やファクス、メールに加え、ウェブ会議システムの利用など選択肢が増えているようです。
顧問契約に際して、無料で相談を受け付けている弁護士事務所も多いので、一度「こんな感じでできますか」と相談に行くのも一つの手です。会社のニーズや希望に必要な費用などを考慮した上で、弁護士事務所とも話し合いながら、会社に適した関わり方を考えることをお勧めします。
まずは「困りごと」を相談してみる
顧問弁護士の役割の一つが、会社の経営者の「相談相手」になることです。まずは、ざっくばらんに、困っていることや分からないことを相談してみましょう。
例えば、人手の関係から社内に法務部を設置することができない会社で、経営者が、従業員から細かい法律問題について判断を求められて困っているようなケースは多いようです。
企業として日常的に関連することが多い法律としては、例えば以下などが挙げられます。
- 会社法や労働基準法など、会社経営に関する法律
- 消費者契約法や景品表示法など、営業販売に関する法律
- 下請法や不正競争防止法など、会社間取引に関する法律
- 著作権法など、権利保護に関する法律 など
ちょっと思いつくだけでも、守らなければならない法律はこんなに!多く存在します。
経営者だけで、法改正を含め、すべてに法律に目配りするのは至難の技、と言えるでしょう。
こうしたとき、顧問弁護士がいれば「法務部」的な立ち位置で、法律問題についての判断を任せることもできます。
経営者はその分、経営に専念することができます。
また、日頃から、会社のコンプライアンス(法令順守)についてチェックするのも顧問弁護士の重要な役割です。
法律関連で漠然と不安に感じていることなどを相談すれば、会社では気づいていなかった重大な問題や法令違反を発見し、トラブルが発生する前に改善できるようなこともあるでしょう。
「新しく始めること」について話してみる
顧問弁護士には、「新しく始めようと考えていること」について話してみることもお勧めします。
新たに始めようとしている事業に法的リスクや厳しい規制があれば、事業の開始時はもちろん開始後も、顧問弁護士によるアドバイスが必要不可欠であることも多いからです。
新たに大手企業と取引をスタートさせるときは注意が必要です。中小企業が大企業と対等に渡り合うのは難しく、不利な立場に置かれがちです。
そんな際も、経験豊富な顧問弁護士がいれば、関連の法律の適用などで、顧問先の利益を守ることが可能なケースがあります。
海外の会社との取引開始でも、顧問弁護士の役割は大きくなります。契約を結ぶ際には、相手国の法律などについての調査が必要になりますし、トラブルなく取引を続けていくためには、経験豊富な弁護士に依頼すると安心です。
まとめ
日々、さまざまな問題に直面する中小企業の経営者にとって、顧問弁護士は「よき相談相手」になる存在です。
小さな困りごとから経営上の判断まで、ざっくばらんに相談でき、会社の潜在リスクについても目配りしてもらえるなど、顧問弁護士を導入するメリットは大きいと言えるでしょう。
自社の希望を弁護士に伝えるなどしながら、会社に適した形での顧問弁護士の活用を検討してみてください。