クラウドファンディング詐欺の手口とは?返金方法や相談先について解説

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この記事の監修

株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

多くの人に門戸が開かれている資金調達方法として、クラウドファンディングに対する好意的な評価を耳にすることも多いですよね。
しかし昨今では、クラウドファンディングを利用した詐欺も横行しています。

そこで、この記事では、クラウドファンディング詐欺の手口や実例について解説します。
詐欺に遭った場合の解決策についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

▼この記事でわかること

  • クラウドファンディングの仕組みと類型について簡単に説明します
  • クラウドファンディング詐欺の手口について解説します
  • クラウドファンディング詐欺の解決策についてお伝えします

▼こんな方におすすめ

  • クラウドファンディングサイト上で商品やサービスへの出資を検討している方
  • クラウドファンディング詐欺について知りたい方
  • すでにクラウドファンディング詐欺に遭ってしまい、解決策について知りたい方

クラウドファンディングの仕組みと類型


クラウドファンディング詐欺について解説する前に、まずはクラウドファンディングについて簡単にご説明します。
クラウドファンディングとは、インターネットを活用して不特定多数の人から資金調達をすることです。
群衆を意味する「Crowd(クラウド)」と、資金調達を意味する「funding(ファンディング)」を組み合わせてクラウドファンディング(crowdfunding)と呼ばれています。

このクラウドファンディングでは、事業の起案者・資金の借り手が、クラウドファンディング運営者・事業者のプラットフォーム上で、不特定多数の投資家、支援者からプロジェクトやサービスへの資金を募ります。
出資後は、プロジェクトの進展状況の情報を受けつつ、見返りとしてサービスや商品を受け取ったり、現金の配当を得ます。

こうしたクラウドファンディングの資金調達の仕組みは、スキームにはよりますが、金融機関からの借入や社債の発行、ベンチャーキャピタルの出資といった従来の資金調達と違い、基本的に返済の義務も生じませんし、株式を発行する必要もありません。
このため、経営実績が乏しくても、誰でも手軽に挑戦できる点が最大の魅力と言えるでしょう。

クラウドファンディングは、5つの類型に分けられます。

  1. 寄付型クラウドファンディング
  2. 購入型クラウドファンディング
  3. 貸付型クラウドファンディング
  4. 事業投資型クラウドファンディング
  5. 株式型クラウドファンディング

このうち、とくにクラウドファンディング詐欺が発生しやすいのが、出資に対する見返りが発生する購入型クラウドファンディング、出資の見返りとして金銭を提供する貸付型クラウドファンディングです。

クラウドファンディング詐欺の手口とは?


続いて、クラウドファンディング詐欺の手口を紹介します。
詐欺の手口には、下記のようなものがあります。

  • プロジェクトを一方的に中止する
  • リターンの商品を届けない、または想定とは違う商品を届ける
  • 支援金を別の用途で使う
  • 運営が集めたお金を持ち逃げする

詐欺に巻き込まれる可能性を低減させるため、詐欺の手口を事前に知っておきましょう。

プロジェクトを一方的に中止する

出資額がある程度集まった時点で、「諸事情によりプロジェクトは中止になりました」などと、一方的にプロジェクトを打ち切り、お金を持ち逃げするクラウドファディング詐欺も発生しています。
このような詐欺行為は、企業が出資者に対して対価を支払う必要がない寄付型クラウドファンディングで見られる手法です。
海外諸国でも同様のケースが確認されています。

リターンの商品を届けない、または違う商品を届ける

出資の見返りとして出資者が企業から商品やサービスを受け取る方式のクラウドファンディングにおいて、リターンの商品が届かない、または出資対象ではない商品を届けるという詐欺の手口もあります。
このような詐欺行為は、購入型クラウドファンディングでよくみられる手法です。

支援金を別の用途で使う

例えば自然災害に被災した被災地へのボランティア資金として集めたお金を、別の事業に使うなどの手口もあります。
そもそもクラウドファンディングは、事業の起案者と出資者の間に情報の非対称性が生じているケースも多々あります。
このため、詐欺を働く企業や起案者が、情報公開をしない限り、支援金の何に使われたのか不透明なままうやむやになってしまうケースが多いようです。

運営が集めたお金を持ち逃げする

運営が集めたお金を持ち逃げする詐欺は、貸付型や事業投資型のクラウドファンディングにみられる詐欺の手口です。
これらのクラウドファンディングは、出資者へのリターンが金銭報酬であることから期待値が高まりやすく、比較的容易に多額の出資額を集めることができます。

いずれの投資形態も、匿名性の高い匿名組合出資を採用するため、有限責任とはいえ、運営側がいつのまにか出資金を持ち逃げしていたという詐欺の発生に注意する必要があるでしょう。

クラウドファンディング詐欺の実例


ここからは、国内外で発生したクラウドファンディング詐欺の実例について紹介します。
実例を知ることで、クラウドファンディング詐欺に関する危機意識を高めましょう。

亡くなった飼い犬を生きているように装い、架空の治療費を募集

死んだ飼い犬が闘病中だと嘘をつき、クラウドファンディングで支援金を騙し取ろうとする事件が起きました。
複数メディアの報道によると、女性の飼い犬が既に亡くなったにもかかわらず、飼い犬の愛くるしい写真とともに、「時間がありません。僕を助けてください!」と支援金の募集を開始しました。

この、飼い犬の死を利用した詐欺行為は、生前の写真や領収書を駆使した巧妙なものでした。
第三者による情報提供により詐欺が発覚し、集まった支援金が犯人の口座に振り込まれることは防がれました。

卵巣癌を偽装しクラファンの募集資金で豪遊

海外では、「卵巣癌の治療にお金が必要だ」嘘をつき、クラウドファンディングのサイトで支援金を募るという詐欺事件が発生しました。
この事案は、胆嚢治療を受けている間に撮影された写真を卵巣癌の治療風景だと偽る悪質なものでした。
このほかにも、サイト上で「命を救う唯一の方法である薬の代金を支払うことができない」などと嘘をつき、結果として多くの支援金が犯人に集まる形になってしまったのです。

犯人は、騙して集めたお金をオンラインギャンブルや海外旅行、サッカー観戦に利用し、贅を尽くしました。
担当医がたまたまクラウドファンディングサイトのページを見つけたことで詐欺行為が発覚しましたが、当事者以外の指摘がなければ、犯罪が世に知れ渡ることはなかったかもしれません。

高配当を謳い、資金を集めるも未償還

出資に対する見返りとして、金銭を提供する貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)での事案を起こしたのは、当時中堅事業者とされたとある企業です。

同社は、年率利回り最大14.5%をうたい、計約45億円の資金を集めました。
しかし金融庁の調査で、ファンドを通じて得た資金を貸付先の大部分をグループ企業に流したり、あるファンドの償還資金に充当されたりしていた事実が判明。
その後関東財務局から行政処分を受けるという事態にまで発展してしまったのです。

投資家に対する未償還金は31億円に上った上に、同社は、最終的にはその未償還債務をわずか1億円で債権回収会社に債権譲渡してしまいました。
これは、約30億円の出資金が投資家のもとに戻らなかったことを意味します。

匿名組合契約の形式を取り、貸付先などの情報の非公開部分が多いソーシャルレンディングのリスクを知らしめた一例と言えるかもしれません。

クラウドファンディング詐欺の解決方法


続いて、クラウドファンディング詐欺の解決方法について解説します。
ここでは4つの解決方法についてお伝えします。

  • 内容、証拠を残しておく
  • 運営者に問い合わせる
  • 消費者ホットラインに電話
  • 弁護士に相談

いずれも有効な方法のため、万が一に備えて知識武装しておくと良いでしょう。

内容、証拠を残しておく

参画したクラウドファンディングの類型はどうであれ、商品やサービス、プロジェクトの内容、証拠は残しておきましょう。
起案者や事業者を刑事告訴や民事訴訟で訴える場合、証拠として対象となる人やものに関わる資料の有無が、重要となるからです。

スマートフォンのスクリーンショットの画面など、さまざまな書面が証拠資料となりえるため、万が一のときに備えて資料を残しておくと安心です。

運営者に問い合わせる

クラウドファンディング詐欺が疑われる場合は、運営者に即時問い合わせましょう。

問い合わせは、事業の起案者だけでなく、サイト運営者でも構いません。
法的に訴える場合、有益な証拠となるからです。

やり取りは原則、メールや文書で行うほか、口頭で問い合わせる場合でも録音するなど、証拠集めに気を配りましょう。

消費者ホットラインに電話

すでにクラウドファンディング詐欺に遭ってしまった場合は、消費者ホットラインに電話相談するのも一つの手です。
消費者ホットラインは、訪問販売・通信販売などの事業者とのトラブル、産地偽装・虚偽広告など不適切な表示に伴う問題を扱う国の相談ダイヤルで、クラウドファンディング詐欺などの悪質商法による被害も扱います。

消費者ホットラインは、最寄りの消費生活センター内に設置されているケースが多いため、センターに訪れ、専門の相談員に話を聞いてもらうのも良いでしょう。
客観的なアドバイスだけでなく、直接的な問題解決を図る斡旋といった有用な解決策を受けられるはずです。

弁護士に相談

クラウドファンディング詐欺に遭った場合、頼もしい相談先のひとつに数えられるのが、弁護士です。
騙された出資金の返還を起案者に求める場合は、弁護士を介した損害賠償請求が効果的な手段となります。
具体的にクラウドファンディング詐欺が起きた際、弁護士に相談するメリットには次のようなことがあります。

適切な解決方法を得られる

クラウドファンディング詐欺に遭った場合、弁護士に相談することで、適切な初動対応を取り、被害回復に向けた適切な解決方法を得ることが可能です。

個人でクラウドファンディング詐欺の証拠を集め、立証するのは容易ではありませんが、弁護士に依頼すれば効率よく証拠を集められ、後々の損害賠償請求や被害金請求につなげられるでしょう。

起案者との返金交渉を一任できる

弁護士に詐欺事件の対応を依頼することで、クラウドファンディング起案者との返金交渉を一任することが可能です。
返金交渉を一任すると、弁護士が被害者に代わって被害額の返金請求の直接請求を行ってくれます。
返球請求だけでなく、詐欺調査から業者の口座凍結、刑事告訴まで対応するため、弁護士は力強い味方と言えるでしょう。

法的手続きを通じて返金を要求できる

詐欺を行った起案者との交渉が決裂した場合、裁判などの法的手続きに入ります。
弁護士は法的に詐欺被害を立証していく時に迅速な訴訟対応など、効果的なアプローチを取ってくれるでしょう。

クラウドファンディング詐欺に巻き込まれないための確認事項


最後にクラウドファンディング詐欺に巻き込まれないための確認事項について解説します。具体的には下記の4つのような確認事項によって詐欺行為を防ぎやすくなります。

  • 起案者の実態に不明確な点はないか
  • プロジェクトの写真や内容が使い回されていないか
  • プロジェクトに対する目標金額が適切か
  • 資金の使途についての記載が明確化

起案者の実態に不明確な点はないか

その起案者が信頼できるかどうかを判断するため、起案者の実態に不明確な点はないか確認しましょう。
クラウドファンディングの起案者情報サイトだけでなく、起案者が法人であれば、会社ホームページのチェックが有効です。
一方で、起案者が個人の場合は、起案者自身のサイトやSNSページから調査しましょう。

プロジェクトの写真や内容が使い回されていないか

起案者のプロジェクトの写真や内容が使い回されていないかも重要な確認事項のひとつです。
詐欺を計画する起案者は、同様の形で複数のプロジェクトを起案しているケースもあります。
出資する前に、内容の一部をコピーペーストし、検索してみても良いでしょう。

プロジェクトに対する目標金額が適切か

プロジェクトに対する目標金額が適切かどうかは、類型に問わず、チェックが不可欠な確認事項です。
プロジェクトの内容を鑑みて、目標金額が高すぎるなど場合、注意深く確認することをおすすめします。

資金の用途についての記載が明確か

資金の用途についての記載が明確かどうかは、必ずチェックしましょう。
プロジェクトによっては、崇高な理念を述べているのにかかわらず、資金の使い道が抽象的で不明瞭なケースが多くあります。
出資金を本来とは異なる目的で使われることを防ぐため、起案者へのデューデリジェンス(投資に先立つ事前調査)と並行し、プロジェクトのホワイトペーパーなどをチェックするようにしましょう。

まとめ


クラウドファンディングは、優れたアイデアや企画を持つ人にとって、とても便利な資金調達法です。
人々の夢や目標の実現を後押しするツールとして活用できるでしょう。

とはいえ、支援者から起案者に資金が移動する性質上、クラウドファンディングがマネーロンダリングなどの不正に利用されるリスクは否定できません。
クラウドファンディング詐欺の発生も実際に確認されています。

これらを踏まえ、今回紹介した詐欺の手口や、万が一に詐欺に巻き込まれた際の解決策を頭に入れつつ、クラウドファンディング上の商品やサービスへの利用を検討してみてください。

参考:
丸山隆平『中小企業のクラウドファンディング入門〜フィンテック時代!新しい資金調達で飛躍する〜』一般財団法人経済産業調査会(2018年)、pp15~18

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