パパ活トラブル、弁護士に相談すべきケースとは?

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弁護士法人若井綜合法律事務所
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昨今聞かれる「パパ活」という行為。若い女性にとって手軽にお金を稼げる手段の一つとして知られていますが、一方で金銭トラブルを招いたり、ものによっては刑事事件に発展するケースもあるようです。
「パパ活」にはどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。また、大きな問題が起きた場合はどうしたら良いのでしょうか。本記事では弁護士監修のもと、これらのことについて解説します。

▼この記事でわかること

  • パパ活のリスクにはどんなものが含まれているのか、解説します。
  • パパ活で起こったトラブルのうち、弁護士などの専門家に相談すべき内容は何か、紹介します。
  • パパ活で妊娠してしまった・させてしまったときに、取るべき行動について説明します。

▼こんな方におすすめ

  • パパ活に興味がある・パパ活をしているが、どんなリスクがあるのか知りたい方
  • パパ活でトラブルに遭遇した方
  • パパ活に関連して、脅迫・恐喝・強要等の被害を受けた方
  • パパ活で妊娠してしまった方、妊娠させてしまった方

パパ活とは?


巷で聞かれる「パパ活」。実は、「パパ活」の具体的な定義はありません。
ここでは、一般的に「パパ活」は何を指すのかを簡単に解説します。

「パパ活」って、一般的には何を指すの?

パパ活は一般的に、以下の2つの行為を指すことが多いようです。

  • デートや食事を条件にお金をもらう
    恋愛上の交際関係にない男女がデートや食事をした上で、女性がデートの見返りとして男性からお金をもらう行為を指します。
  • 肉体関係を条件にお金をもらう
    同じく、恋愛上の交際関係にない男女が肉体関係を持ち、女性が性行為の対価として男性からお金をもらう行為を指します。

ちょっと法律的な言い方でまとめると、パパ活とは
「血縁関係のない男性からの、金銭的援助を目的とした活動全般」
と言えそうです。

ちなみに、似たようなものとして「男性が女性からお金を受け取る」ものもあります。これらは「ママ活」と言われますが、詳しい話はここでは割愛します。

パパ活は、契約として成立する?

パパ活では、男性側・女性側、双方合意のもとで金銭のやりとりが発生します。

そうすると、パパ活は契約として成立するのか?という疑問が湧くかもしれません。
一般的には、以下のように捉えられることが多いようです。

  • 月に数回、デートや食事をして、合意の範囲内で対価をもらう場合には、契約として成立する可能性があると見られています。
  • 一方で、肉体関係を伴ってお金を授受する行為は、民法にある「公序良俗に反する行為」とみなされ、契約は「無効」にあたるケースも多いようです。

ちなみに民法90条では、以下のように書かれています。

民法90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

とはいえ、肉体関係を伴うパパ活においては、状況によって意見が分かれる可能性もあります。
例えば、「パパが特定の一人だったら?」という場合、解釈の余地はあるとも言われています。

よくある質問:お金を返せと言われている

パパから貰ったつもりのお金やプレゼントだったのに、返せ、と言われました。どうすればいいですか?

例えば食事に行く約束をしていたがキャンセルしたい場合、その後のトラブルを回避するのであれば、キャンセルの意思を表示して返金するのが無難かと思います。
なお、法律的には性行為の対価としてお金を渡した場合、公序良俗に反し無効となると考えられるところ、理屈上は返さなくても済む場合もあります。

注意!パパ活に潜むリスク


女性にとっては手軽にお金を稼げる、男性にとっては女性と気軽に会えるメリットがあるパパ活ですが、それなりのリスクも伴います。
ここでは、パパ活に潜むリスクについてご紹介します。

女性にとってのリスク

女性側には、以下のようなリスクが多く発生しがちです。

お金を支払ってもらえない

男性に会った、食事した、性行為をしたにも拘らず、約束していたお金が支払われないケースです。いわゆる「ヤり逃げ」もここに含まれます。
こうしたケースの場合、被害額は数万円程度のことが多いようですが、泣き寝入りするしかないのが実情です。

体を触られた、無理矢理キスされた

「会うだけ」「食事をするだけ」のつもりだったのに、体を触られたり無理矢理キスされたりというのも、ありがちなトラブルです。
こうしたトラブルは、法律的に言えば「強制わいせつ」にあたる場合があります。とはいえ、目に見える形での被害を特定するのが難しい場合も多く、気をつけるに越したことがない、いうのが現実です。

気持ち悪いので会いたくない

「会う前にLINEをしていたが、怖くなってきたので会いたくない」
「会う前からやたらエッチな内容ばかりメッセージで送ってくる」
など、お金を前払いされたけれども、やっぱり会いたくない、という話もよくあります。
例えば食事に行く約束をしていたがキャンセルしたい場合、キャンセルの意思を表示して返金するのが無難でしょう。

パパ活中に盗撮された

パパ活中に裸の写真を取られた、盗撮された、ということもよくあります。
こうした場合、リベンジポルノに代表されるように、拡散されるリスクを考える必要があります。合意なく写真・動画を撮られた場合は、相手に写真・動画の削除を求めましょう。
自分だけで対応できない、という場合は弁護士に相談するのも一手です。

よくある質問:パパ活中の盗撮について

パパ活中に盗撮され、性行為を動画に撮られました。警察、あるいは弁護士に相談すべきでしょうか。

合意なく写真・動画を撮られた場合は、相手に写真・動画の削除を求めましょう。
とはいえ、相手が写真や動画を単純に所持しているだけであれば、警察が介入する問題としては扱われないことが大半かと思います。究極的にはパパ活の当事者が気をつけるしかない、というのが正直なところです。

何らかの脅しを受けている

「パパ活を続けなければ家まで押しかける」
「肉体関係を持たなければ殺す」
「性行為中の写真、動画をバラ撒く」
等、パパ活に関連して恐喝や脅迫、強要などの行為を受けている場合、不法行為に該当する可能性があります。
こうしたケースでは弁護士に相談することで解決できる場合があります。詳しいことは後で説明します。

男性にとってのリスク

女性側のリスクに焦点が当たりがちなパパ活ですが、男性側もリスクはあります。
以下は、よくありがちなリスクです。

お金を振り込んだのに会ってもらえない

「事前にお金を振り込んだが、結局会ってもらえなかった」
こうした話は結構あります。
厳密に「契約」と言えるかどうかはさておき、警察に言っても取り合ってもらえる可能性は極めて低いと考えられます。
また、被害額が数万円程度の場合、弁護士に依頼するとコスト的にはかえって持ち出しになります。気をつけるしかない、というのが本音です。

お金を持ち逃げされた

「デートや食事のはじめにお金を渡したが、その後目を離した隙に逃げられた」
「性行為をすると約束していたのに、その前に逃げられた」
こうしたトラブルもありがちですが、お金を取り戻すのは難しく、泣き寝入りするしかないのが実情です。

よくある質問:お金の持ち逃げについて

肉体関係を拒否されたので、相手からお金を返して欲しいです。

肉体関係を前提とした金銭の収受は無効です。
すでに支払っている場合でも、相手側に返還義務はないと考えられます。残念ながら、回収はほぼ不可能と思われます。

パパ活を盾に脅された

パパ活を盾に、男性が脅されるケースも結構あります。例えば以下のような事例です。

  • 奥さんや会社にばらすと言われた
  • 写真や動画をSNSでばらまくと言われた
  • ばらすことをネタに金銭を要求してくる

こうしたケースでは、パパ活に対する後ろめたさからか、誰にも相談せずに何とか自力で解決しようとする方も多いようです。
とはいえ、相手から法外な額を要求される場合があります。そうした時は弁護士に相談した方が良いこともあります。詳しくは後で説明します。

パパ活で問題発生!こんな時は弁護士へ


パパ活におけるトラブルの中には、大きな問題に発展しがちなものもあります。ここでは弁護士に相談した方が良い事例をご紹介します。

女性にとっての困りごと

以下のようなことが発生した場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

無理やり肉体関係を持たされた

「食事だけの約束だったのに、無理矢理ホテルに連れ込まれた」
「必要以上のお酒、睡眠薬を飲まされて、性行為をさせられた」
合意がないにもかかわらず性交渉を持たされた場合、強制わいせつや強制性交等の不法行為に当たる可能性が高いです。

会わないと裸の写真をバラ撒くと脅された

裸の写真等、公開してほしくない写真をSNSでばらまく行為やばらまくと脅す行為は犯罪に当たる可能性が極めて高いです。

パパ活で妊娠した

妊娠をしてしまった場合、まずは相手が誰か、いつの行為に基づくものか等、事実関係をはっきりさせましょう。
その上で相手方に連絡を取りましょう。
妊娠の事実を伝えた途端、音信不通になるケースも多いため、当人同士よりも弁護士を交えた方が、話としてはスムーズです。
このケースは複雑かつ重要な問題なため、詳細は後で説明します。

男性にとっての困りごと

男性側の困りごとで想定されるのは、次の通りです。

パパ活をバラされたくなかったらお金を払えと脅された

男性側に対して、パパ活をやっていることの後ろめたさにつけこみ、「家族に言う」「職場にバラす」等と言って、時に法外な金額を払うよう、女性側から要求されるケースがあります。
場合によっては、パパ活の相手方である女性だけでなく、女性の背後に別の人物がいて、脅しを仕切っていることもありえます。

こうした行為は、恐喝罪や脅迫罪などの犯罪に該当する可能性があります。相手に言われるがままにお金を渡すのではなく、弁護士や警察に被害相談することをおすすめします。
弁護士が入ることで、「一旦お金を払ったのに、さらに支払いを要求してくる」等、要求がエスカレートすることも防ぐことができます。

よくある質問:女性から脅されている

「パパ活を奥さんにバラされたくなかったらお金を払え」と脅されました。

言われるがままに、すぐお金を払うのは避けましょう。こうしたケースでは相手方が弱みにつけ込んで金銭を要求する、いわゆる「不当要求」に当たることが多々あります。
とはいえ、奥さんにバラされる事を恐れるあまり,言われるがままに支払いに応じてしまった等という事例も少なくありません。こうした事態を防ぐためにも、弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

ちなみに、仮にバラされて奥さんにパパ活行為が知られてしまったという場合、逆に女性側が不貞行為をもとに奥さんから慰謝料を請求される場合もあります。弁護士に依頼した場合、この辺りも勘案して交渉に臨みますので、バラす・バラさないという意味でも、一定の抑止効果は得られるかと思います。

手切れ金を渡さないと写真をバラ撒くと言われた

パパ活をしているとひと目で分かるような写真や、裸の写真など、公開してほしくない写真をSNSでバラ撒くと言って、男性側にお金を要求してくるケースもよくあります。
こうしたケースも自力で対応しようとせずに、弁護士に相談する方が安心です。

よくある質問:手切れ金を要求されている

手切れ金を渡さないと写真をバラ撒くと言われた。

不当に高い金額を言われるがまま、自分の判断でお金を払うことは望ましくありません。

場合によっては一回の支払いで終わらず、足元を見て追加の支払いを要求してくる可能性も考えられます。こうした場合は、さらなる問題を防ぐためにも、自分だけで解決しようとしない方が賢明です。弁護士に相談することも検討してはいかがでしょうか。

パパ活の相手が「妊娠した」と言ってきた

パパ活の相手と肉体関係を持っている場合、相手方の女性が「妊娠した」と言ってくることも考えられます。
この場合、まずは「本当に妊娠したのか」確かめましょう。

その上で、万が一「妊娠している」とわかった場合はどうしたら良いのでしょうか。
その場合は色々と複雑な問題が絡みますので、弁護士にご相談されることをおすすめします。詳しくは以下で説明します。

パパ活で万が一妊娠してしまった・させてしまったら?


パパ活の問題において、特に厄介なのは妊娠した・させた場合です。
妊娠が絡む場合、中絶費用、あるいは出産費用などの金銭的な話から、認知や相続といった問題まで、様々な項目について考えなければなりません。
この場合、何を誰に相談すれば良いのでしょうか。以下で解説します。

女性側:パパ活で妊娠!誰に相談すればいい?

パパ活によって妊娠したと気づいた時、誰に何を相談したらよいのでしょうか。

相手との話し合いが必要です

まずはパパ活の相手に妊娠の事実を伝えましょう。
妊娠は、相手方あっての問題であり、女性一人だけの問題ではありません。産む・産まないはともかく、一人で抱えることは望ましくありません。
女性の場合、特につわり等の体調の問題もありますので、この段階で代理人として弁護士を立てるのも良いでしょう。

よくある質問:相手との話し合いについて

パパ活で妊娠してしまいました。相手と何を話し合えば良いのでしょうか。

まず、近い将来の出費という観点でお話をすると、

  • 出産を望まないのであれば、中絶費用を請求できます。
  • 出産を希望する場合には、出産費用を請求できます。

 

次に、仮に産むことを選択した場合は、将来的なことを見据えたうえでの取り決めをしなければなりません。
子供が生まれた場合、男性に取って絶対に逃れられない義務は以下の二つです。

  • 子の認知
  • 子の相続権

加えて、場合によっては養育費の請求もありえます。こうした事柄については、きちんと取り決めもしておく必要があります。この辺りの話は複雑になりますので、弁護士を交えてお話されることをおすすめします。

弁護士に相談しましょう

妊娠した場合、重要なのは「できる限り早く対応すること」です。
というのも、仮に中絶を選択する場合としても、中絶できる期間は限られています。
なお、妊娠12週を過ぎて中絶した場合は、死産届を出さなければならないことが義務付けられています。

また、産む・産まない、いずれの場合でも、相手方が逃げてしまう可能性も考えられます。
特にパパ活の場合、「やり取りはLINEやカカオトーク等のSNSだけ」ということも多く、相手の素性がわからないまま行為に及び、妊娠した、という事例もあります。こうした状況では、逃げられる前に相手方を特定することが重要です。

早めに弁護士に相談することで、迅速かつ適切な対応をすることができます。早い段階で、一度相談してみましょう。

男性側:パパ活で妊娠させてしまった!

パパ活の相手が「妊娠した」と言ってきたとき、少なからずびっくり、うろたえてしまうかもしれません。どう対処すべきか、以下で詳しく見ていきましょう。

本当かどうか、確かめましょう

まずは妊娠の事実が本当かどうか、確かめましょう。
意外にあるのが「妊娠した」と言って、中絶費用を騙し取るケースです。
こうしたことも踏まえて、まずは本当に妊娠したのかどうか確認しましょう。

よくある質問:「妊娠」、嘘かホントか分からない!

相手が妊娠したと言ってきましたが、嘘か本当か、わかりません。

本当に妊娠したかどうかは、産婦人科の受診記録等である程度見当をつけることができます。
ただし、相手の女性が複数の男性と関係を持っていた場合、本当に自分の子かどうか判定するのは技術的にもなかなか難しい部分があります。その辺りも踏まえて、弁護士に相談することも検討されてはいかがでしょうか。

弁護士に相談しましょう

パパ活の相手から「妊娠した」と言われた場合、自分で相手に事実確認を行い、対処する事もできなくはありません。
しかしその場合、パパ活で妊娠した相手への対応に頭を取られて、生活の質が下がってしまうことも多々あります。こうした事態を防ぐためにも、最初から弁護士に相談・ご依頼することをおすすめします。

弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  • より迅速に、妊娠が確からしいか、あるいは嘘らしいかわかります。
  • 弁護士が入ることで、不当要求に応じてしまう事態は避けられます。本当に妊娠していた場合は何らかの金銭の支払いが発生しますが、たとえ「中絶費用」の名目であっても過剰な金銭の要求は不当要求であり、応じる必要がありません。
  • 法律的に見て妥当と思われる点で決着できます。もし相手方の女性が子供を産む場合、「認知」「養育費」「相続」等の問題が発生します。こうした問題は複雑になりがちですが、弁護士が入ることで問題が整理され、適切な解決が図れます。

弁護士に依頼した場合、その後の相手方との交渉はすべて弁護士が行います。依頼者の方は顔を合わせる必要も、連絡を取る必要もありません。
示談金等の金銭的賠償も、法律的に見て適正と思われる額で着地させることができるので安心です。

まとめ


パパ活は、女性側にも男性側にもそれなりのリスクを伴う行為です。
どんな問題が起こりがちなのか意識した上で、自分で気をつけられることはなるべく気をつけたいですね。
万が一、パパ活で恐喝・脅迫・強要などの犯罪行為、あるいは妊娠などの難しい問題に直面したら、警察あるいは弁護士等の専門家に相談することも検討してみてくださいね。

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