給付金詐欺の刑罰とは?持続化給付金などの不正受給について弁護士に相談すべき理由

刑事事件

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株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

「受給資格がないのに給付金を受け取ってしまった」
「詐欺グループに騙され、給付金詐欺に加担してしまった」

近年、給付金の不正受給に関する問題が多発しています。
あなたが誰かに指示通りに動いているだけだとしても、詐欺に加担したとされ、逮捕され懲役刑を科される可能性があります。

本記事で給付金詐欺の特徴や刑罰について理解を深めた上で、不安がある場合はできるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

▼この記事でわかること

  • 給付金詐欺によって科せられる刑罰がわかります
  • 給付金詐欺が成立する条件がわかります
  • 給付金詐欺の特徴と弁護士に相談するメリットがわかります

▼こんな方におすすめ

  • 持続化給付金を不正受給したかもしれないと気づき不安な方
  • 給付金を不正受給すると逮捕されるのか知りたい方
  • 給付金詐欺について弁護士に相談すべきか迷っている方

給付金詐欺とは

国や自治体が事業主や個人に支給する給付金を、虚偽の申請によって不正に受け取る行為が「給付金詐欺」です。
近年の例では、新型コロナウイルスで経済的損失を被った事業者が受け取れる「持続化給付金」などを、虚偽の申請によってだまし取る事例が頻発しています。
持続化給付金の詐欺がこれほどまでに拡大した理由としては、次のようなものが考えられます。

  • 緊急度が高く、申請件数が多かった支給要件を満たしているかのチェックが追いつかなかった
  • 受け取れる給付金額が最大200万円と高額だから詐欺グループが一気に高額を手に入れられると目をつけた
  • 不正受給者が増えていく構造が作られていたから詐欺の指南役が紹介制度などを作り、新たな不正受給者を生み出していた

持続化給付金詐欺は、給付金に詳しい人物が知識の浅い者をだまして給付金を申請させ、報酬として給付金の一部を受け取るという手口で頻発。
「給付金は誰でももらえる」「難しい手続きは代わりにやるから大丈夫」などと言われ、軽い気持ちで詐欺に加担した人が多く存在したのです。

給付金詐欺によって問われる罪


給付金詐欺は、刑法第246条の「詐欺罪」にあたります。
詐欺罪の刑罰は、1カ月以上10年以下の懲役刑とされており、罰金刑はありません。

詐欺罪に該当する要件

詐欺罪の要件は下記の表のとおりです。

欺罔行為(ぎもう) 「被害者をだますこと」
給付金をうけとるために加害者が嘘をつく行為
錯誤(さくご) 「被害者がだまされること」
給付金の場合、不正な申請にもかかわらず被害者が「真実だ」と信じてしまうこと
交付行為 「被害者が錯誤した結果、財産を差し出すこと」
被害者が給付金を支給する手続きをする
財産移転 「被害者の交付行為によって財産が加害者の手に渡ること」
給付金が被害者から加害者に振り込まれた

簡単にまとめると、加害者がついた嘘によって被害者がだまされ、実際に財産が加害者の手に渡った時点で詐欺罪が成立するということです。

詐欺が未遂でも刑罰の対象になる

先ほど、財産が加害者の手に渡った時点で詐欺罪が成立すると説明しましたが、もし途中で被害者が詐欺に遭っていると気づき財産を渡さなかった場合でも、刑法第250条の「未遂罪」に問われます。

例えば給付金詐欺の場合は、職員が手続きの途中で不正受給に気づいて給付金の振り込みを中止した場合には「未遂罪」が適用される可能性があります。
なお、未遂罪の場合にも、刑罰が1カ月以上10年以下の懲役刑というのは変わりませんが、減刑される場合があります。

給付金詐欺で逮捕された事例


ここでは、給付金の不正受給による逮捕事例をいくつか紹介します。

【家族ぐるみで約9.6億円を詐取し逮捕された事件】

給付金 持続化給付金
被害額 9億6000万円
概要 40代の夫婦と20代の子供二人が、コロナの影響で収入が減った事業主を装って給付金約300万円を詐取した。またこの家族を中心とした詐欺グループが、セミナーやSNSなどで受給資格のない者をそそのかして名義を借り、申請手続きを代行した上で報酬を受け取るという手口で計9億6000万円を詐取した疑い。海外逃亡した夫は指名手配され、他3名は逮捕された。

【東京国税局職員が逮捕された事件】

給付金 持続化給付金
被害額 約2億円
概要 東京国税局職員や証券会社の元社員など給付や税にまつわる知識が豊富な人物を含む詐欺グループが、およそ200人に不正受給をさせ、多額の持続化給付金をだまし取った疑い。主犯格の男が逮捕された。

【バー経営者が助成金詐欺で逮捕された事件】

給付金 緊急雇用安定助成金
(コロナ休業した事業者が雇用を維持するための支援制度)
被害額 約300万円
概要 40代のバー経営者が従業員19人分の助成金を申請して金銭を受け取った詐欺容疑で逮捕された。バーで実際に働いていたのは4〜5人で、過去に働いていた従業員の名前を許可なく使って申請していたとみられる。

【テレビ局部長らが補助金詐欺で逮捕された事件】

給付金 IT導入補助金
(中小企業のIT化支援のため、かかった経費の半分を補助する制度)
被害額 950万円
概要 ホームページ会社の取締役とテレビ朝日の部長ら5人が、虚偽の申請によってだまし取った補助金の半額を受け取り逮捕された。ホームページ会社は中小企業のIT化をサポートする立場だったが、事業者と共謀して1社につき100万円超の経費がかかったと嘘をつき申請していた。

給付金詐欺の特殊性

「給付金詐欺」は他の詐欺と比べても下記の通り特殊な点があります。

示談が望めない

一般的な詐欺罪の場合、被害者と示談をすることで穏便に解決できる場合もあります。

詐欺のような財産犯において刑罰の重さを決める上で一つ重要な要素は、被害金額です。
示談をした場合には、金額的な被害は解消されているを考えられるため、示談は刑罰を軽くする一つの要素となります。

給付金詐欺は公的機関が被害者のため、示談(=お金を払うこと)による解決が困難です。

そのため、示談の方法によって刑罰を軽くすることはできません。

初犯でも実刑判決を受ける可能性がある

給付金詐欺は、被害金額が高額になる場合が多いです。
そのため、初犯であっても実刑判決を受ける可能性があります。

また、指南役から話を聞いて軽い気持ちで犯罪に加担したケースの場合であっても、詐欺における立場や役割の重要度などによっては、主犯格ではなくとも実刑判決を受ける可能性もあります。

メディアの注目度が高い

持続化給付金の詐欺事件はニュースでも大きく取り上げられており、実名が報道されることにより自分の犯罪歴が広く知れ渡ってしまう可能性もあります。
前述した給付金詐欺の逮捕事例は、すべてテレビやネットニュースでも実名が公表され、顔写真が公開される場合もあります。

給付金を返還しても罪に問われる可能性がある

持続化給付金は2022年6月時点で1万5千件以上・160億円以上が自主返還されていますが、たとえ全額返還したとしても罪が消えたことにはなりません。
とはいえ、全額返還して反省している姿勢を見せることによって、逮捕を免れたり減刑される可能性はあります。
給付金を返還するタイミングも重要なので、不安に思った時点でなるべく早く弁護士に相談しましょう。

給付金詐欺について弁護士に相談するメリット


給付金詐欺は学生や主婦など一般人も大勢関わっており、決して他人事ではありません。
万が一詐欺に関与してしまったら、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
以下では、給付金詐欺を弁護士に相談するメリットを一つずつ見ていきましょう。

適切な解決方法の指示

給付金詐欺に関わってしまった場合、給付金の返還や警察への自首のタイミングを自分で判断するのはリスクが大きいと言えます。
詐欺に関わってしまった時点でいつ逮捕されてもおかしくありません。
弁護士の指示をあおぎ、適切な行動をとることによって減刑を望める可能性もありますので、弁護士への相談がおすすめです。

早期釈放に向けたサポート

もし詐欺罪で起訴されて裁判になれば、高確率で有罪となって懲役が科せられます。
そのため、最悪の事態を避けるためにも早期釈放に向けて動く必要があります。
弁護士がついていれば、検察官や裁判官に対して逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示した上で説得力のある主張をしてくれるため、早期釈放が期待できます。

不起訴処分のための主張

勾留された場合でも、起訴されなければ裁判は行われず、前科はつきません。
不起訴となるためには、取調べで自分に不利にならない言動をとることが重要です。
弁護士がついていた場合、取調べ時にどのような対応をとればよいかなど細かいアドバイスがもらえるため、非常に心強い存在となります。
あわせて、弁護士が検察官に対して不起訴処分になるよう訴えてくれるので安心です。

執行猶予獲得に向けた弁護活動

もし詐欺罪で裁判にかけられて有罪判決が出た場合は、懲役刑が科せられます。
ただし懲役が3年以下であれば、裁判の内容次第で執行猶予がつく可能性があります。
執行猶予を獲得するためには、給付金を全額返還していることや深く反省している姿勢などを示す必要があり、論理的かつ客観的に主張してくれる弁護士の存在は必須です。
実際に刑務所に入るのと執行猶予がつくのでは雲泥の差ですから、弁護士をつけることは大きなメリットといえるでしょう。

まとめ


いかがでしたでしょうか。
本記事では、給付金詐欺について詐欺罪が成立する要件や給付金詐欺の特徴などを紹介しました。
迅速かつ誠実な対応でその後の処遇が変わることもあり得ますので、「自分が詐欺に協力してしまったのではないか」と不安がある方は、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

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