刑事事件における示談交渉の基本的な流れや示談のメリット、示談金の相場は?

刑事事件

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株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

ご家族やご本人が刑事犯罪に問われ、被害者との示談を検討している方は必見です。
この記事では、示談をすべき理由や示談交渉の流れ、示談金の相場などを解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、示談交渉に向け参考にしていただければ幸いです。

▼この記事でわかること

  • 示談交渉をすべき理由がわかります
  • 示談交渉の基本的な流れがわかります
  • 示談書の基本的な書き方がわかります

▼こんな方におすすめ

  • 刑事犯罪に問われている方
  • 家族・友人が刑事犯罪に問われている方
  • 被害者との示談を検討している方

示談交渉できる犯罪とは?


示談交渉できる犯罪とは、以下にあげるような被害者が存在する犯罪です。

窃盗罪/強盗罪/詐欺罪/恐喝罪/横領罪、業務上横領罪/暴行罪/傷害罪/過失運転致死傷罪/危険運転致死傷罪/痴漢/盗撮/強制わいせつ罪/強制性交等罪(旧強姦罪)/児童買春/淫行罪など

ただし被害者が存在する犯罪であっても、被害者が拒否すれば示談交渉は成立できません。

被害者が存在しない犯罪では「贖罪寄付」が用いられる

犯罪には上記のような被害者が存在する犯罪がある一方、次のような被害者が存在しない犯罪もあります。

  • 道路交通違反(酒気帯び・酒良い運転、スピード違反など)
  • 薬物犯罪(大麻、覚せい剤、麻薬など)
  • 社会に影響を及ぼす犯罪(偽造罪、賭博罪など)
  • 国家的法益に影響を及ぼす犯罪(公務執行妨害罪、偽証罪、贈収賄罪など)

被害者の存在しない犯罪では示談交渉はできませんが、代わりに「贖罪寄付」という方法を取ることが可能です。
贖罪寄付とは、罪を認め、深く反省している思いを形にするため、一定の金額を弁護士会や慈善団体に寄付することです。
贖罪寄付すると弁護士会や慈善団体から証明書が発行され、罪を認め、深く反省していることを客観的に証明することが可能となります。

刑事事件において示談交渉すべき理由とは?


示談交渉が可能な状況であれば、早めに開始することに越したことはありません。
示談成立が早ければ早いほど、被疑者・被告人が受ける不利益を最小限に抑えることができます。
もっとも示談交渉は、被害者が交渉に応じてはじめて可能となるものです。
加害者からの一方的な都合で示談交渉を始めることはできませんので、注意が必要です。

具体的に刑事事件で示談交渉すべき理由について、解説します。

(被害届提出前の場合)事件化を回避できる

事件を起こしても、捜査機関(警察、検察)に事件を認知される前に示談交渉すれば、被害者から捜査機関に被害届や告訴状の提出をしないことを示談の条件とすることも可能です。
そして、その条件で示談できれば、被害者から捜査機関に被害届や告訴状が提出されることはなく、捜査機関への事件発覚を防ぐことができます。
捜査機関に事件が発覚しなければ、逮捕や厳しい取調べ、起訴を経たあとの刑事裁判、懲役・罰金などの刑罰を受けることはありません。

不起訴処分、微罪処分となる可能性が高くなる

示談は、検察官が刑事処分(起訴・不起訴)を決めるにあたって被疑者に有利に考慮される事情の一つです。
捜査機関に事件が認知されても、検察官が刑事処分を決める前に示談できれば、不起訴処分となる可能性があります。
また、警察が検察に事件を送致する前に示談できれば、一部の軽微な事件にかぎっては、微罪処分の対象となる可能性があります。
微罪処分になれば警察官の厳重注意などで終わるため、逮捕されたり、刑罰を科されることはありません。

早期釈放につながる可能性がある

基本的に示談交渉は「罪を認めていること」が前提となります。
そして罪を認めているということは、逃亡のおそれ、罪障隠滅のおそれがないと判断されやすいです。
逮捕や勾留の要件は身柄拘束の理由(罪を犯した疑い、逃亡のおそれ、罪障隠滅のおそれ)と必要性ですから、示談交渉すれば身柄拘束の理由が消滅して早期釈放につながる可能性があります。

量刑が軽くなる可能性が高まる

示談は、刑事裁判における量刑(実刑か執行猶予か、懲役・禁錮の期間、罰金の額など)を決める際の被告人に有利に働く事情のひとつです。
そのため、不起訴処分とはならず起訴され、刑事裁判で有罪の認定を受けても、実刑ではなく執行猶予(あるいは、一部執行猶予)となる可能性が高くなります。
また、懲役・禁錮の期間は示談してない場合に比べて短く、罰金の金額は低くなる可能性があります。

刑事事件における示談交渉の基本的な流れ


被疑者にとってはなるべく早く示談交渉を成立させることが理想的ですが、基本的に被害者が加害者との示談交渉に応じるケースは少ないです。
また仮に応じたとしても、感情のもつれなどから示談交渉が進展しない可能性が高いといえます。
示談交渉を成立させるために、まずは基本的な流れについて把握しておくことが大切です。

刑事事件における示談交渉の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 弁護士に示談交渉を依頼し、捜査機関から被害者の個人情報を入手する
  2. 被害者に反省と謝罪の意思を伝える
  3. 示談条件を交渉する
  4. 示談書を取り交わす

(1)弁護士に示談交渉を依頼し、捜査機関から被害者の個人情報を入手する

被害者と面識がなく、被害者の個人情報を知らない場合は示談交渉を進めることができません。
そこでまずは、捜査機関(警察、検察)から被害者の個人情報を聞き出す必要があります。

もっとも、捜査機関が加害者に被害者の個人情報を教えることはありません。
また法律上、加害者の代わりに被害者との示談交渉を行えるのは弁護士しかいません。
そのため、被害者と面識がなく、被害者の個人情報を知らない場合は弁護士に示談交渉を依頼することになります。
弁護士であれば個人情報を教えてもよい、示談交渉に応じてもよいという被害者は多いです。

(2)被害者に反省と謝罪の意思を伝える

示談交渉が可能になったとしても、いきなり示談交渉をもちかけると被害者の処罰感情を逆撫ですることになりかねず、その後の示談交渉がうまくいかなくなる可能性があります。
とくに、事件直後は事件の記憶が鮮明で被害者の感情が落ち着いていないことが多いため、慎重な対応が求められます。

そこで、まずは示談交渉を行う前提として、被害者に反省と謝罪の意思を伝えます。
具体的には加害者に直筆の反省文を書いてもらい、弁護士のチェックを経た上で、弁護士を通じて被害者に渡します。
そして被害者の処罰感情が落ち着いた頃を見計らって、示談交渉をもちかけます。

(3)示談条件を交渉する

被害者が示談交渉に応じる場合は、示談条件について話し合います。
示談条件のなかで話し合いでメインとなるのが示談金です。

まずは示談金の相場をベースとしながらも、事件の個別事情を加味しつつ、被害者の意向も尊重しながらお互いが合意できる金額を示談金とします。
その他、被害者との接触禁止、現住所からの引っ越しなど、被害者の希望を聞きながら条件を決めていきます。

示談金の相場はどのくらい?

おもな犯罪と示談金の相場は以下のとおりです。
なお、金額はあくまで目安ですので参考程度にとどめてください。

盗撮・痴漢 10万円~50万円程度
強制わいせつ 30万円~100万円程度
強制性交等罪 50万円~200万円程度
財産犯(窃盗)など 被害額+10万円~
暴行罪 5万円~30万円程度
傷害罪 10万円~100万円程度

実際の示談金は「犯行態様」、「被害結果」、「被疑者・被告人の反省の程度」、「被害者の処罰感情」などの事情を加味した上で決まります。
そのため、実際の金額が相場よりも低くなる可能性、高くなる可能性も十分考えられます。

(4)示談書を取り交わす

示談条件について合意できたら被害者用と加害者用の示談書(2部)を作成し、日付、住所、連絡先、氏名を署名(または記名)し、氏名の横に印鑑を押印します。

示談書の書き方

示談書には、必ずをつぎの内容を記載します。

  • 事件の内容(日時、場所、行為(態様)、被害の内容など)
  • 謝罪
  • 示談金の支払い
  • 清算条項

その他、事件の内容や被害者の要望等に応じて誓約事項、違約条項、宥恕条項などを盛り込みます。
例えば盗撮についての示談書の場合、つぎのような内容になります。

示談書

●●●●を甲、××××を乙として、甲と乙は、乙が甲に対し、令和〇年〇月〇日頃、~~所在の~~店内において、盗撮行為をした事件(以下、「本件事件」という)に関し、下記のとおり合意した。


第1条(謝罪)
  乙は、甲に対し、本件事件を起こした事実を認め、深く謝罪する。
第2条(誓約)
 1 乙は、甲に対し、今後、~~店に立ち入らないことを誓約する。
 2 乙は、甲に対し、甲に接触しないようにし、偶然見かけた場合でもその場を立ち去り、声をかける等の接触行為は一切行わないことを誓約する。
 3 甲及び乙は、本示談成立後は、本件事件について、相手方に対し、裁判上・裁判外を問わず、何ら異議申立て、請求、訴訟の提起等の一切の行為を行わない。
第3条(示談金支払等)
 1 甲及び乙は、乙が、甲に対して、本件事く件の示談金として、金20万円の支払義務があることを相互に確認する。
 2 乙は、前項の金銭を、本合意成立後、速やかに甲が指定する以下の口座に振り込む方法により支払う。
第4条(清算条項)
  甲及び乙は、本件事件については、本合意によって一切解決し、甲乙間には本合意で
定めるものの他に何らの債権・債務がないことを相互に確認する。
第5条(違約条項)
  甲及び乙のうち第2条の規定に違反した者は、相手方に対して、本示談における示談金と同額の金銭を一括して支払う義務を負う。
第6条(宥恕条項)
  甲は、本件事件について、乙から謝罪及び示談金の支払いを受けたことから、乙を許すこととし、乙の刑事処罰を求めない。

本合意を証するため、本書を2通作成し、各自1通を所持する。

令和〇年〇月〇日
(甲)
住所:
電話:
署名:

(乙)
住所:
電話:
署名:

まとめ


被害者と示談することにはさまざまなメリットがあり、そのメリットは示談のタイミングが早ければ早いほど大きくなります。
そのため、被害者側に示談意思がある場合は早めに弁護士に相談し、対応を依頼した方がよいでしょう。
事件の加害者になってしまった、またご家族が犯罪をおかしてしまったなどの場合は、いち早く弁護士へのご相談を検討してください。

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