セックスレスを理由に離婚はできる?慰謝料請求は可能?準備すべきことなど解説

離婚・男女問題

この記事の監修

大阪府 / 大阪市西区
弁護士法人かがりび綜合法律事務所
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離婚を考えるきっかけは色々ありますよね。
そのひとつとして、セックスレスの問題があげられます。

セックスレスを理由にした離婚は、法的には必ずしも認められるわけではありません。
しかし裁判所の判断によっては理由として認められることもあり、判例も残っています。

ただいざ離婚するとなると、生活様式が変わり、経済的にも厳しくなってしまう可能性もあります。
そのため相手に大きな不満やトラブルがあっても離婚を避ける方向で頑張ってしまう方もいるでしょう。

ただ、不満のある生活は苦しいものです。
あとから後悔しないためにも、セックスレスの不満は離婚理由になり得ること、それが認められる条件など、まずは正しい情報を知ってこれからのことを考えていきましょう。

セックスレスは離婚理由になる?


セックスレスが離婚理由として認められるかについては、いくつかの判断基準があります。

まず、性の不一致が争点となります。
性の不一致とは、夫婦間で性的関係がうまくいかないことを指し、これが原因で結婚生活が破綻することはありえます。
そして、セックスレスを理由に裁判で離婚を請求する場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当するかどうかが重要です。

目安として、一般的に1年以上のセックスレスが続くと、夫婦関係の破綻を示すひとつの要素となりえます。
ただし、具体的な期間は裁判所の判断に委ねられるため、一概に何年間セックスレスであれば認められるとは言えません。

「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかは、性の不一致がどの程度深刻であるか、夫婦間での性交渉拒否が合理的な理由なく長期間続いているかなどが判断基準となります。
また、性交渉の拒否が一方的であり、相手方が深刻な精神的ダメージを受けている場合なども考慮されます。

これらの要素を総合的に考慮して、裁判所が離婚が認められるかどうか判断します。

セックスレスによる慰謝料請求はできる?


ここからは、セックスレスによって慰謝料がもらえるのかどうかについて、具体的な事例をご紹介していきます。
慰謝料が発生するかどうかについては、これらのケースを参考にしてください。

セックスレスによる離婚・慰謝料請求ができるケース

法律上、夫婦は互いに協力し合う義務があります。
そのため、夫婦の片方が一方的に性的関係を拒絶している、または不倫をしている場合、セックスレスが離婚や慰謝料請求の正当な理由として認められることが多いでしょう。
以下で具体的に解説いたします。

夫婦どちらかが一方的に拒絶している

夫婦のどちらかが一方的に性的関係を拒絶している場合、夫婦間の性の不一致が深刻であると判断され、セックスレスが離婚や慰謝料請求の理由となることがあります。
例えば、妻が夫に対して一方的に性的関係を拒絶し続けた場合、夫は性的欲求を満たすことができず、精神的なストレスや苦痛を感じることもあるでしょう。
このような状況が長期間続くと、夫婦関係の破綻が認められる可能性が高まり、離婚や慰謝料請求が正当とされることがあります。

不倫をしている

セックスレスの状態が続く中で夫婦のどちらかが不倫をしている場合は、当然離婚や慰謝料請求の理由となります。
不倫は「不貞行為」として、裁判で認められる法定離婚事由にも定められています。
例えば、夫が妻との関係を避けて他の女性と関係を持っていた場合、妻は夫の不貞行為に対して精神的苦痛を受けたとして、離婚を求めることができます。
あわせて、不貞行為に対する慰謝料を請求することが可能です。

セックスレスによる離婚・慰謝料請求が難しいケース

セックスレスが離婚理由になるのは、夫婦の一方が不満を抱え、関係が悪化した場合です。
しかし、双方が納得していた、あるいは病気などの正当な理由があった場合には、裁判所が離婚や慰謝料請求の理由として認めない傾向があります。

互いに欲求がなく性交渉をしなくなった

夫婦が互いに性欲がなく、合意の上で性交渉をしなくなった場合、セックスレスを理由に離婚や慰謝料請求が認められることはほとんどありません。
夫婦双方が同意している場合は、性的関係の欠如が婚姻生活の破綻を招いたとは見なされにくいからです。

病気で性交渉ができない

病気や身体的な問題で性交渉ができない場合も同様です。
例えば、一方が重大な病気や障害を抱えている場合、裁判所はその事実を考慮します。
このケースでは、健康上の理由から性交渉ができないことが、夫婦間の信頼や協力関係を損なうものとは見なされないことが多いです。

セックスレスの慰謝料相場


セックスレスの慰謝料の相場価格は、一般的に50万円から200万円程度です。
金額の幅は、夫婦間の状況や関係の破綻度合い、さらに個別の事情によって大きく異なってきます。

セックスレスの慰謝料が高額になるケース

セックスレスの慰謝料が高額になるケースとしては、以下のような例が挙げられます。

  • セックスレスが長期間続いている
  • 配偶者が不貞行為をしている
  • その他の不法行為(DV・モラハラなど)が伴う
  • 配偶者が身体的に性行為不能であることを隠していた

このように、セックスレスによって配偶者が精神的に大きな苦痛を受けた場合は、高額な慰謝料が請求される傾向があります。
その際、精神的苦痛の程度は、証拠や医師の診断書などによる証明が求められます。
さらに、セックスレスが原因で他の問題、例えば配偶者の不貞行為や暴力行為が発生した場合には、慰謝料の金額はさらに高額になる可能性があります。

セックスレスを理由に離婚するための手順


セックスレスが原因で離婚すると決めた場合、どのように行動すればいいのでしょうか?
離婚後の生活も考え、勢いで動いてしまって後悔しないように、有利に離婚するための準備を進めていきましょう。

  • セックスレスの証拠を集める
  • 協議離婚の交渉をする
  • 離婚調停を提起する
  • 離婚裁判を提起する

以下で詳しく解説します。

セックスレスの証拠を集める

まず、セックスレスの事実を証明するために証拠を集めることが重要です。
具体的には、日記やメールのやり取り、カウンセリングの記録などが役立ちます。
これにより、長期間にわたって性行為が行われていないことや、性交渉を拒否された状況を具体的に示すことができます。

日記やメモ

日記やメモを残す場合、日常的にセックスレスだったという状況を詳細に記録することが重要です。
日付や時刻、どのような状況でセックスレスが発生したのか、具体的なエピソードを含めて書き留めておくと良いでしょう。
この記録は後々、裁判所に提出する際に有力な証拠となります。

メールやメッセージのやり取り

配偶者とのメールやメッセージのやり取りも証拠として有用です。
セックスレスについて話し合った内容や、それに関連するやり取りを保存しておきましょう。
特に、セックスレスを理由に不満を伝えた際の反応などが記録されていると、証拠として認められやすいです。

カウンセリング記録

セックスレスについて専門家に相談した場合、その記録も証拠となります。
夫婦カウンセリングや心理療法士とのセッションで得られたアドバイスや診断書を保管しておきましょう。
この記録があると、夫婦間の問題がどのくらいの期間続いているかを証明できます。

協議離婚の交渉をする

離婚を考えている場合、まずは当事者間で話し合いをし、協議離婚の成立を目指します。
協議離婚では、双方が合意すれば必ずしも離婚事由に該当しない場合でも離婚できます。
この段階で、財産分与や子どもの親権、養育費などの条件を話し合い、合意内容を「離婚協議書」にまとめておきましょう。
この協議書を公正証書として作成しておくと、離婚後のトラブルを防ぐことができます。

離婚調停を提起する

協議離婚が成立しない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停では、裁判所が選任した調停委員が間に入り、夫婦の話し合いをサポートします。
調停の申立てには、調停申立書と収入印紙、戸籍謄本が必要です。
調停は通常月に一度のペースで行われ、数回の調停を経て合意が形成されます。

離婚裁判を提起する

調停でも合意に至らなかった場合は、離婚裁判に進みます。
離婚裁判では、裁判官が証拠を基に判断を下します。
この際、セックスレスであった証拠が非常に重要になります。
審議の結果、裁判所が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認める場合に限り、セックスレスを理由とした離婚が認められます。

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セックスレスを理由に離婚したい場合、証拠を体系的に集めることが重要です。
証拠集めに関しては、弁護士などの専門家に相談することで、より確実な方法を知ることができます。
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まとめ


セックスレスによる離婚は、民法第770条1項5号に規定される「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する場合、裁判所によって認められます。
セックスレスが長期間続き、夫婦関係が破綻している場合、離婚が認められる可能性は高いでしょう。
また、セックスレスを理由に慰謝料を請求する場合、具体的な金額は、セックスレスの期間、精神的苦痛の程度など様々な要素により決定されます。
また、離婚のためにセックスレスの証拠を集める場合は、日記やメモ、メールやメッセージのやり取り、カウンセリング記録等が有効です。
これらの証拠があれば、離婚や慰謝料請求の際に有利になる可能性があります。
現在離婚をお考えの場合は、どんな証拠が必要なのか、どのような手順を取るべきかなど、弁護士などの専門家に相談して進めていくことをお勧めします。

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