高齢の両親が「離婚したい」と言ってきた!子が親のために弁護士に相談していい?

離婚・男女問題

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ある日突然、親が「離婚したい」と言ってきた。熟年離婚が増えている昨今、「親の離婚」は他人事ではないかもしれません。
両親が「離婚する」と言い出した場合、子供としては何を心得ておくべきなのでしょうか。万が一の「親の離婚」に備えて、知っておくべきことを紹介します。

増加し続ける「熟年離婚」

熟年離婚の増加が止まりません。
令和元年の厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、20年以上連れ添った夫婦の離婚件数は約40万件で、前年比+4.8%の増加となっています。長期的に見てもこの傾向は変わらず、昭和60年の離婚件数のおよそ倍近くになります。

熟年離婚が増え続ける中、「両親の離婚」も他人事ではないかもしれません。
特に両親が高齢のときは、子であるあなたが必要な手続き等をお願いされるかもしれませんし、場合によっては間を取り持つこともあるかもしれません。場合によっては、親と一緒に弁護士に相談する局面もありえます。
そこで以下では、「親が離婚する際、話し合っておくべきことは何か」に焦点を当てて解説をします。

「親の離婚」で決めるべきこと、考えるべきこと

親の離婚で決めるべきこと、また、考えておくべきことのうち、主なものは大きく分けると以下です。

  • 財産分与
  • 相続
  • 親の健康状態(特に認知症の場合)

「熟年離婚」「両親の離婚」というと何か特別な印象を受けるかもしれませんが、実は一般的な離婚のプロセスとそれほど変わりはありません。
ただし高齢ということで、離婚とは別の問題が付随してきます。「相続」は分かりやすいかもしれません。このあたりは「親の離婚」とはいえ、子供であるあなたにも大きく関係する問題です。
また、親が認知症を患っているという場合は、離婚のプロセスにおいてもそれなりに考慮すべき点が出てくる可能性があります。
以下では、それぞれの項目についてもう少し掘り下げて見ていきます。

親の離婚における「財産分与」

財産分与についての考え方

財産分与制度とは、夫婦が共同生活を送る中で形成した財産を公平に分配するために、離婚をしたものの一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。
財産分与は、調停・審判・訴訟の場において、基本的には「2分の1ルール」に従って行われます。これは共働きの場合であっても、あるいは専業主婦家庭などで一方が仕事をしていなくとも変わらず、原則は等分するよう命じられることが多いです。
そのため、当事者同士の話し合いの場、いわゆる「離婚協議」においても、財産は2分の1ずつ分配される、と考えて話し合うことが基本です。

熟年離婚をする際、例えば預貯金が豊富にあるなど、老後の生活のために十分な資産があればあまり心配はないでしょう。しかし、そうした場合ばかりとは限りません。

財産分与のために、場合によっては住んでいる自宅等を売却して換金し、分与せざるを得ない場合もあります。そのため、分与の方法によっては、離婚後の生活様式が大きく変わり、引っ越し費用、家賃等の新たな出費が発生してしまいます。

高齢の両親にとって、生活環境が変わることは大きな負担でしょう。一方で、財産分与のやり方には「正解」はありません。できる限りご両親にとっての負担が少なく、離婚後も両親が安定した生活を送れるような分割方法が理想的です。
そのためには子であるあなたが、財産分与の話し合いに参加することを考えても良いかもしれません。また、場合によっては弁護士に相談することで、より良い方策が見つかるかもしれません。親御さんのために、弁護士への相談も検討してみても良いでしょう。

年金分割とは

老後の「安心」のために。年金分割

年金分割とは、離婚する際、婚姻期間中に納付した年金保険料を夫婦で折半するに近い形となるよう、分割する制度です。
年金分割は2種類あり、合意分割というのが平成19年4月1日以降に離婚をする夫婦について設けられた制度です(「3号分割」という、2号被保険者の被扶養配偶者を対象にした分割制度は平成20年4月1日以降)。
もともとは存在しない制度でしたが、専業主婦など、他方配偶者よりも収入が少なく年金保険料の納付額が少ない結果、将来受領できる年金の金額が配偶者よりも少なくなってしまうという問題を是正するために設けられた制度です。

年金分割には、「将来の収入である年金も平等に受け取れる形にすることで、離婚後の生活の安定を図る」というメリットがあります。
財産分与では、離婚する一時点での資産を分割することで、両親のそれぞれが一定の資産を持つことができます。しかし、「さらに年を取った時に何が起こるかわからない」という不安には答えることができません。大病をして、持っている資産を切り崩すだけではお金が足りなくなることもあるでしょう。
とはいえ、高齢の両親が離婚する場合、新たに働き口を探すのは困難な場合が多いでしょう。そのため、キャッシュフローが確保できるという年金分割は(特に専業主婦にとって)大きなメリットがあります。

合意分割の際は、手続きとして、公正証書を作成したり、調停を行ったりしなくてはならないことがあります。スムーズに年金分割を進めるためにも、弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。
※3号分割の場合は厚生労働大臣等に対する年金分割請求のみで、当然に2分の1に分割されます。

退職金も分割対象

退職金は、会社勤めによる長年の功労を報い、その対価として支給されるものです。
とはいえ、報われるべきは「会社勤めをしていた本人」だけでなく、それを支えた「内助の功」のおかげでもある、というのが一般的です。
そのため少なくとも、退職金の前提となる在籍期間のうち、「婚姻期間に相当する期間に対応した金額の半分」は配偶者の貢献によるものだったとして、財産分与の対象になります。

退職金はまだ支給されていないけど、支給間近だった場合はもらえないのでしょうか?

まだ支払われていない退職金の場合、必ず財産分与の対象になるとは限りません。
ただ、支給間近である場合には、財産分与の対象に含めることが可能な場合もあります。
個別事情の積み重ねもとで判断する事項になりますので、弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

注意!財産分与にも時効がある(除斥期間)

財産分与を請求する際、一つ気をつけたいのが「除斥期間」です。
財産分与を請求できるのは離婚から2年間です。それを過ぎると、財産分与請求権は消滅してしまいます。
当面の生活には困らないからと言って後回しにしていると、後々トラブルになった際、片方の生活が苦しくなることも想定されます。そのため、離婚の際にしっかり取り決めておくことが重要です。

なお、仮に財産分与請求権が除斥期間によって消滅したとしても、当事者間で話し合って任意に財産分与を行うことは可能です。その場合には、子が両親の仲を取り持ち、又は説得して、両者が生活に困ることのにないようにしてあげることが考えられます。

親の離婚で、相続はどうなる

両親が離婚した場合、子であるあなたの相続分はどうなるのでしょうか。

親が離婚。自分は相続できるのか

両親が離婚した場合であっても、親と子の関係は変わりません。
そのため、両親が離婚したとしても、子供は従前どおり、両親の相続人となります。

他方、両親は離婚によって婚姻関係がなくなるため、お互いにお互いの相続人ではなくなります。つまり離婚が成立した後は、片方が亡くなっても「元夫」あるいは「元妻」の財産は、相続することができません。

両親が別の相手と再婚した場合も相続できるの?

再婚の有無に関わらず、親子関係が消滅することはありません。
再婚によって相続人が増えることで、相続できる財産の割合は減少する場合がありますが、相続人の立場でなくなることはありません。

親が認知症の場合は要注意

高齢の両親が離婚、ということで、程度の差こそあれ、どちらかが認知症を患っているという場合も考えられます。こうした場合は何に注意をしたら良いのでしょうか。

軽微な認知症の場合

認知症と言っても症状が軽微で、意思疎通に問題がない場合には、認知症になっていない場合と同じように話し合いで離婚の手続きをすることができます。
もっとも、認知症の進行の程度の判断は素人では難しいものです。
また、後々認知症の症状が進行していたことを理由に「離婚の取り消し」などの争いがないとも限りません。そのため、病院で診断を受けるなどして、症状の進行度合いを含めて診断書を書いてもらうと安心かもしれません。

認知症が一定程度進行している場合

認知症が進行している場合、話し合いによって離婚や財産分与等の話し合いをすることが難しくなります。
この場合には、裁判所に離婚等の判断をしてもらうしか有りませんが、当事者の一方、あるいは両方に認知症が進行している場合には、裁判手続きを自力で行うことができないと判断されてしまいます。
そのため、離婚の裁判に先行して後見開始の審判を申し立てることで、成年後見人を選任する必要があります。
この場合には離婚の手続きとは別に、成年後見に係る手続きがプラスされます。手続きが多い分、離婚成立までのプロセスが複雑になっているため、どのような手順で進めるのが良いか、弁護士と相談することをおすすめします。

まとめ

「親の離婚」と言うと、びっくりしたり、多少なりともショックを受けられる方もいるかもしれません。
しかし、両親にとってより良い未来が待っているのであれば、子としてできる限りの後押しをするのもまた、親孝行と言えるかもしれません。両親の離婚に際して悩まれている方の、解決への緒となるようでしたら幸いです。

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