住宅ローンで借金地獄に陥らないために!払えないなら個人再生の検討を

借金・債務整理

この記事の監修

福岡県 / 福岡市中央区
弁護士法人米盛法律事務所
事務所HP

住宅ローンは一般的に長期での返済を前提に契約しますが、様々な要因で支払いが苦しくなってしまう場合があります。
住宅ローンの支払いができなくなった場合、自分で新たに借入をしてしまうと多重債務に陥り、さらに状況が悪化してしまうこともあります。ローンの支払いが難しい場合は、個人再生や自己破産などの債務整理を行って適切に借金を減らす必要があります。
そこで今回は、住宅ローンの支払いが苦しくなる原因をご紹介するとともに、自分でやってしまいがちなNG行動や、住宅ローンを支払えないときにやるべきことについて解説していきます。

▼この記事でわかること

  • 住宅ローンの支払いが苦しくなる原因を知ることができます
  • 住宅ローンの支払いが苦しい場合にやってはいけない行動を知ることができます
  • 住宅ローンの支払いが苦しい場合にやるべきことを知ることができます

▼こんな方におすすめ

  • 住宅ローンの支払いが苦しく家を手放そうか悩んでいる方
  • 住宅ローンの支払が苦しくて多重債務に陥っている方
  • 転職やコロナなど外部環境の変化で住宅ローンの支払が辛い方

住宅ローンの支払いが苦しくなる原因

住宅ローンは、契約当時は支払える見込みがあっても、様々な理由によって後に支払いが難しくなることがあります。
ここでは、住宅ローンが支払えなくなる主な原因を5つ紹介します。

環境の変化

住宅ローン契約当初は支払いができると思っていても、環境の変化で支払いができなくなってしまうケースがあります。

例えば、会社の経営状況が悪化し、給料やボーナスが減らされてしまった場合、今までのように住宅ローンを支払うことが難しくなることがあります。
また、転職・転勤や雇用形態の変化によって収入が減り、当初予定していた支払いができなくなってしまうこともあります。
その他には、離婚や別居によって生活状況が変化し、自宅が今後も必要か検討を要する場合もあります。

オーバーローン

オーバーローンとは、預金を上回る借り入れのことを言います。いわゆる「貸出超過」状態のことです。
住宅ローンの文脈においては、「担保物件の価値<借り入れ金額」である住宅ローンを「オーバーローン」の状態である、と言うことが一般的です。

住宅ローンがオーバーローンになる場合、物件価格に以下の費目(いわゆる「諸費用」)を上乗せした金額で、金融機関から融資を受けている場合が多いです。

【物件価格以外の借り入れ根拠となる費目の例】

  • 火災保険料
  • 保証会社へ支払う保証料
  • 不動産取得税などの税金
  • 印紙税
  • 仲介手数料

通常、住宅を購入する際は物件価格ばかりに目が行きがちです。
しかし実際は、住宅を購入する際は火災保険料や税金などの「諸費用」がかかります。これらの負担はときに数百万単位にも上るため、住宅の購入者にとってはかなりの負担になります。オーバーローンでの借り入れは、この「諸費用」についての手前の負担を軽くしてくれるというメリットがあります。

しかし、オーバーローンは借入金額が増えるため、長期の返済であっても月々の負担が大きくなります。そのため、オーバーローンで住宅ローンを組んだ場合、後に家計を圧迫する原因になることがあります。

家計のための借金

借金は、住宅のためだけとは限りません。
生活費の足しにと、住宅を購入する以外の理由で他で借りた借金が膨らみ、住宅ローンが返せなくなってしまうケースもあります。

家計のための借金は、カードローンやクレジットカードのリボ払いなどから膨らむケースも多く、気づいたら借金を返せなくなっていたというケースは少なくありません。
また、住宅ローンも含めた借金の返済の困り、資金を調達するためにさらに借金をすると、多重債務に陥ります。いわゆる「借金地獄」の状態です。

ギャンブルで住宅ローンの支払いが滞る

借金は、必要に迫られた場合だけ、とは限りません。
ギャンブルで住宅ローンの返済ができなくなるケースもあります。ギャンブル依存症で後先を考えずにお金を使ってしまい、住宅ローンの支払いに充てるお金も浪費してしまうという人もいます。

教育費は住宅ローンの支払いを圧迫する要因

教育費は住宅ローンの支払いを圧迫する要因になります。
住宅ローンを契約した当初よりも子どもが増えたり、私立大学やお金のかかる学部への入学、留学などがあると、教育費は増加します。
住宅ローンの契約をする家庭の多くは子どもがいる家庭のため、教育費が増えると、その分住宅ローンの返済が厳しくなります。

住宅ローンが支払えないときにやってはいけないこと

住宅ローンの支払いができない場合、そのまま放っておいたり、新たに借金をすると大きなリスクが生じることになります。ここでは、これらのケースでどのようなリスクが生じるのか解説します。

住宅ローンの督促を無視してはいけない

住宅ローンが支払えないからといって、督促を無視し続けてはいけません。
住宅ローンの支払いを滞ると、金融機関から住宅ローンに関する督促状や催告書が届くことになります。この段階で対応すれば事態の悪化は防ぐことができますが、遅くても3か月程度督促や催告を無視すると、金融機関は保証会社に対して住宅ローンの一括支払い請求をし、保証会社は住宅ローン債務者が滞納している借入残高を代わりに返済します。

その後、保証会社からは立て替えた分を一括で支払え、と「一括請求」をされることになります。
しかし、一括請求は大きな金額になっていることが多く、滞納していた方が支払えるケースはほとんどありません。一括請求の支払いに応じられない場合、自宅を競売にかけられる可能性が高まります。

また、別の話として、住宅ローンの「遅延損害金」についても注意が必要でしょう。
住宅ローンの支払いを遅延した場合、損害賠償として、遅延損害金を支払う必要があります。
遅延損害金は契約にもよりますが、法律で定められた年14.6%の利息が元金にかかるため、滞納期間が長ければ長いほど余計に負担も増えてしまいます。

新たな借入は「借金地獄」のリスクも

住宅ローンの支払いができない場合、ローンの支払いに充てるために新たに借金をしてしまう方がいます。しかし、これはいわゆる多重債務に陥るリスクがあるため危険です。

多重債務に陥ると、複数の貸金業者に利息を含めて返済をしなければなりません。結果として借金総額が膨らみ、ますます事態が悪化してしまうケースがあります。近いうちにまとまった収入が見込めたり、大幅に支出を削減できる見込みがない限り、その場しのぎで新たに借金をすることは避けた方が賢明と言えるでしょう。

住宅ローンが支払えないときにやるべきこと

住宅ローンが支払えない場合、何をしたら良いのでしょうか。
根本的な解決策は、債務そのものを減らす債務整理を検討することです。ここでは、任意整理・個人再生・自己破産について解説します。

任意整理で月々の支払を減らしてもらう

住宅ローンの支払いがキツくなった場合、まずはじめに検討しうるのが任意整理です。
任意整理とは、債権者との話し合いにより月々の支払額を減らし、負担の少ない返済プランに変更してもらう法的手続きです。
一般的には、利息をカットしてもらったり、支払期間を長期化してもらうことで、月次の返済額を抑えます。

注意したいのは、任意整理は債権者と合意が成立した場合にのみ可能、ということです。
返済期間が短い場合、返済総額が少ない場合、依頼者の収支状況に照らして返済が困難な場合、直近ですでに返済方法の相談をしていた場合等のケースでは債権者が合意を拒否することもあるため、このような場合には任意整理ができないことになります。

特に住宅ローンに関しては、貸し手である銀行が任意整理に応じてくれない場合も多いようです。
債権者にしてみれば、住宅ローンが支払えないのであれば、貸し手が抵当権を実行して担保の所有権をもらい、その後売却、とするほうが、資金の回収という意味ではスムーズだと考えるフシがあるようです。

個人再生で住宅ローンだけはそのまま支払う

個人再生は、借金の返済が難しい場合に、裁判所に申し立てて借金を大幅に減らすことができる手続きです。
個人再生には「住宅資金特別条項」、いわゆる「住宅ローン特則」という制度が用意されています。この制度は、住宅ローンだけは減額せずにそのまま支払いを続けることで、持ち家は処分せずに住み続けながら借金を整理できる、というものです。

住宅ローンの支払いが困難な方の中には、住宅ローン以外にも借金をしており、その借金が住宅ローンの支払いを圧迫する要因になっている人もいます。
「他の借金を減らすことができれば住宅ローンを支払うことができる」という方は、個人再生の住宅ローン特則を活用して自宅に住みながら借金を整理する方法が有効です。
自宅を所有している方が債務整理を行う場合は、個人再生を行うことが一般的です。

自己破産で住宅ローンをゼロにする

自己破産とは、すべての借金をゼロにする債務整理の手続きです。
裁判所からの許可が下りれば、住宅ローンの支払いも免除されることになります。

持ち家がある状態で自己破産の申請を行うと、裁判所が任命した「破産管財人(多くは弁護士)」が持ち家の処分を行います。
破産管財人は、破産者が持つ資産を処分して債権者に分配する立場を与えられます。そのため、持ち家を持ったまま自己破産すると、持ち家を競売するか、あるいは任意売却で一般市場に売るかは破産管財人が判断することになります。
自己破産は資産を失うなど、いくつかデメリットはありますが、どうしても借金の支払いができない方にとっては根治療法となりえます。「個人再生で借金を減額しても住宅ローンを支払いきれない」という方は、自己破産も検討してみましょう。

債務整理は弁護士に相談

住宅ローンは滞納が長引くとどんどん事態が悪化します。
そのため、支払いができないとわかったら、なるべく早く弁護士に相談する、というのも一手です。また、早期に着手することで複数の選択肢から適切な手続を選択することができます。
個人再生や自己破産などの債務整理は、多くの場合、弁護士に依頼すれば手続きをすることができます。どちらの手続きが良いか、ほかに良い手段はないかなど、弁護士から適切なアドバイスを受けることもできるでしょう。

まとめ


住宅ローンは収入源や失業などによって、支払いが難しくなることがあります。
しかし、支払いが難しいからと督促を無視して滞納を続けると、持ち家の競売などの手続きを取られる可能性が高まり、結果として生活に大きな影響を及ぼしかねません。
また、目先の支払いのために他から借金をしてしまうと、多重債務に陥りさらに借金が膨らんでしまう恐れもあります。

住宅ローンの支払いが難しい場合は自分だけで解決しようとせず、早めに弁護士に相談することも考えてみましょう。
弁護士であれば、個人再生や自己破産など債務整理の手続きを進めることができます。どの手続きが適切か、弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修

福岡県 / 福岡市中央区
弁護士法人米盛法律事務所
事務所HP
タイトルとURLをコピーしました