任意整理とは?利用条件やメリット・デメリット、手続きの流れについて解説

借金・債務整理

この記事の監修

株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

「利息の返済ばかりで、なかなか借金の元本が減らない…」とお悩みではありませんか?
借金の悩みを解決する方法は、自己破産だけではありません。
任意整理なら、デメリットを最小限に抑えて簡単な手続きで借金を減額できます。
一歩踏み出して、無理なく借金を返済できる生活を手に入れましょう。

▼この記事でわかること

  • 任意整理を利用できる条件やできないケースがわかります
  • 任意整理のメリット・デメリットがわかります
  • 任意整理の具体的な手続きの流れがわかります

▼こんな方におすすめ

  • 毎月借金の利息分のみを返済していて、元本が減らせない方
  • 家族や職場にバレないよう、なるべく簡単な手続きで債務整理をしたい方
  • できるだけデメリットの少ない方法で債務整理をしたい方

任意整理とは?

任意整理とは債務者が債権者と直接交渉することによって毎月の返済額を減らす、債務整理の方法です。
一般的に、合意に至りやすい任意整理の条件は以下の通りです。

  • 3〜5年程度での分割による元本の返済が現実的に可能であること

上記は一般的な場合です。
債権者として最も避けたい状況は、自己破産されてしまい借金のほとんどが未回収となることです。
そのため「何回に分割して支払うか?」「いくら減額できるか?」という条件は個々によって異なり、上記に限らず様々な条件で合意できる可能性があります。

自己破産や個人再生との違い

自己破産や個人再生は「法的整理」と呼ばれ、「任意整理」とは区別されます。
自己破産や個人再生は法律で定められた制度なので、裁判所を介して手続きが行われます。

一方で任意整理は、債務者が債権者と任意に交渉することで解決を図ります。
裁判所を介する方法と比べて簡易な手続きで行えるため、債務整理を検討している人がまずはじめに考える方法になっています。

任意整理 自己破産 個人再生
借金について 利息・遅延損害金等のカット(交渉による) 返済義務がなくなる 借金総額の5分の1まで減額できる
財産の処分 なし あり 一部あり
資格制限 なし あり なし
ブラックリスト 5年間 10年間 10年間
官報 掲載されない 掲載される 掲載される
手続き期間 1~6ヶ月 3~12ヶ月 6~12ヶ月
弁護士費用の着手金の目安 1社あたり数万円 数十万円 数十万円
会社・家族への発覚 可能性は低い 状況によって可能性あり 状況によって可能性あり

上記の表からわかるように、任意整理は借金の減額幅が小さい代わりに、現在の生活を変えずに簡易な手続きで返済の負担を軽くできる方法なのです。

任意整理の注意点

手軽に手続きできる点やスピード対応が可能な点から選ばれやすい任意整理ですが、いくつか注意点もあります。
ここでは、任意整理する前に知っておきたいことを紹介します。

借金の支払い義務はなくならない

任意整理でできることは、あくまでも「借金の減額」です。
自己破産のように借金がゼロになるわけではなく、手続き後も一定期間支払いは続きます。
そのため、今すぐ全ての借金から解放されたいと考えている人には適していません。

借金の大幅な減額はできない

任意整理は借金がゼロになったり大幅にカットされることはありません。
可能な範囲で返済計画を見直すことで、完済までの道筋が見えるので、比較的少額の借金で「利息ばかり返済していて元本が減らない」という方にとって有効な方法です。

債権者が交渉に応じてくれない可能性もある

任意整理の方法や条件が法的に決まっているものについては、債務者と債権者の話し合いによって進められます。
そのため、任意整理の交渉に応じてもらえるかどうかも、債権者の自由です。
一般的には交渉に応じてもらえるケースが多いですが、一切交渉に応じない業者も存在するため、必ず減額できるわけではない事を肝に銘じておきましょう。

税金や公共料金など、任意整理できない債務もある

任意整理は、文字通り「任意」の交渉によって債務整理する手法です。
交渉に応じるかどうかは相手次第になるため、税金や公共料金などは国や地方自治体が管理しているため、元本の減額には応じてもらえないことが多いです。
また養育費や慰謝料については、相手方との交渉により減額できる可能性はあります。
ただ、養育費についてはこれを減額すると子供の養育に支障が出る可能性があり、慰謝料その他の賠償金については、減額することで損害の補填ができなくなる可能性があるため、減額の交渉に応じてもらえる場面は少ないのではないかと思います。
なお、養育費については、法的整理(自己破産・個人再生)を行った場合、原則減額・免責されることはありません。

任意整理をするための条件

任意整理は、債権者に新たな返済計画を受け入れてもらうことで成立します。
そのため、債権者に「減額すれば返済が見込める」という条件が揃っている事が大切です。
ここからは、任意整理できるのはどんなケースなのか詳しく紹介していきます。

借金額が高額すぎない

任意整理によって減額された借金は、3年から5年程度で完済する旨の合意がなされることが一般的です。
そのため、もともとの借金が高額すぎると減額しても返済は難しく、任意整理できない可能性があります。
目安として、借金額が年収の3分の1を超えている場合は任意整理できない可能性があると考えておきましょう。

一定の安定した収入がある

任意整理後も数年間は支払いが続くため、安定した収入があることが大事です。
毎月安定して返済できる収入があるならパートやアルバイトでも交渉に応じてもらえる可能性はありますが、無職もしくは生活保護受給者などの場合は難しくなります。

返済する意思がある

任意整理は、債権者と債務者の間で交わされる新たな返済計画の約束です。
「減額に応じてもらえればしっかり支払います」という意思が感じられないと、債権者も新たな返済計画には合意してくれないでしょう。

具体的には、今までほとんど返済実績がない場合や任意整理の手続き中に借金の返済が滞った場合は、「返済する意思がない」とみなされて交渉に応じてもらえない場合があります。

任意整理をするメリット

ここまでは任意整理するための条件や注意点などを紹介してきましたが、ここからは任意整理するとどんなメリットがあるのかについて見ていきましょう。

利息・遅延損害金をカットできる

任意整理は、基本的に元本は減額されませんが、将来かかる「利息」や今まで延滞した分の「遅延損害金」が免除される可能性が高いです。
任意整理の中で過去に支払いすぎた借金(過払い金)が判明し、手元にお金が戻る可能性もあるのもメリットです。

督促や取り立てがなくなる

弁護士に任意整理を依頼すると、弁護士が受任通知を送った時点で債権者からの取り立てはストップします。
借金の取り立てで精神的に追い詰められていた人にとって、心の平穏を取り戻すことができるのは大きなメリットです。

手放したくない財産を残せる

自己破産とは違い、手放したくない財産を残すことができるのも、任意整理の大きな特徴です。
マイホームや車などを失うことを避ける返済計画について合意する余地があるので、家族に負担をかけることもありません。

家族や会社にバレにくい

裁判所を介さない任意整理は、家族や会社にバレにくい債務整理方法です。
弁護士に依頼すれば、書類等が自宅や会社に届かないよう調整することも可能です。
また法的整理(自己破産や個人再生)では避けられない、官報への掲載もありません。
「借金を整理していることを周囲に知られたくない」という人にはおすすめの方法です。

手続きに手間がかからない

任意整理は裁判所を介さないため、複雑な手続きは必要ありません。
さらに弁護士に依頼すれば、新たな返済計画の立案や債権者との交渉などすべての手続きを代行してもらえるため、自身の負担が非常に軽いのが特徴です。
「仕事が忙しくて手続きに時間がとれない」という人でも安心して進められます。

任意整理を行うデメリット

任意整理は簡易な手続きで家族にバレずに借金を減額できるなどメリットの多い方法ですが、もちろんデメリットもあります。
任意整理を行うかどうか決める前に、懸念点もしっかり把握しておきましょう。

5年間ブラックリストに登録される

任意整理を行うと、借金を完済してから5年間は信用情報機関にブラックリストとして登録されてしまいます。
ブラックリスト期間は、新たにローンを組んだりクレジットカードを新規作成できなくなるため注意が必要です。

完済から5年が経過すれば、ブラックリストからは削除されて自由に借り入れもできます。
ブラックリスト掲載期間は、生活を立て直すために与えられた期間だと前向きに捉えましょう。

今後同じ債権者から借金できない可能性が高い

任意整理した場合、同じ債権者相手に再度借金をしたり任意整理を行ったりすることは難しくなります。
一回目で完済できなかった場合は、再度の減額交渉に応じてもらえる可能性は低いのです。
また相手側としては、本来なら利息カットせずに回収できたはずの借金を仕方なく減額しているため、再び借金できる可能性は著しく低いと考えた方が良いでしょう。

任意整理の流れ

最後に、任意整理の基本的な流れを紹介します。
一般的な任意整理は手続きに時間がかからないケースが多く、1~6ヶ月で完了すると言われています。
また、弁護士に依頼すると全ての手続きを弁護士が行うため、自身の負担はほとんどないのも特徴です。

(1)弁護士に相談・依頼

まず、弁護士に任意整理の相談・依頼をします。
自分ひとりで行うこともできますが、個人で債権者と交渉しなければならないため、難易度が高くなります。
そもそも個人からの交渉に応じない業者もいるため、弁護士に依頼するのがおすすめです。

(2)受任通知の送付

依頼を受けた弁護士が、業者へ受任通知(任意整理を行うことを知らせる書類)を送ります。
債権者が受任通知を受け取ると、借金の督促が止まります。

(3)取引履歴開示請求

次に、弁護士が債権者に取引の履歴を開示するよう請求します。
具体的には、借入額や返済額、それらの年月日など過去どんなやり取りが行われたのかが記載された書面が必要です。

(4)利息制限法に基づく残高を算出

開示された取引履歴を見ながら、弁護士が利息制限法の上限金利に基づいて引き直し計算を行い、借金の額を決定します。
この時、もし過払い金があれば、あわせて過払い金請求を行うことも可能です。

(5)交渉・和解の成立

弁護士が、算出結果に基づいて毎月の返済額や返済期間の案を作成します。
そして、作成した返済計画案を債権者に提示し、受け入れてもらえるよう交渉します。
債権者が交渉に応じれば、合意書を作成して和解の成立となります。

債務者本人は、弁護士との打ち合わせの他には和解案に合意するかどうかの返事や署名を行うだけで手続きが完了するため、負担はほぼないと考えて良いでしょう。

まとめ

本記事では、債務整理方法のひとつである任意整理のメリット・デメリットや、基本的な流れについて紹介しました。

家や車を手放さず、簡単な手続きで借金を減額できる任意整理は、多くの人に選ばれています。
ただし、個人で新たな返済計画を立てたり債権者と交渉するのはとても難易度の高い作業です。
弁護士に依頼することで時間も手間も最小限に抑えられるため、まずは任意整理に詳しい弁護士に相談しましょう。

この記事の監修

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