家は差し押さえの対象?競売を避ける方法を解説

借金・債務整理

この記事の監修

株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

借金を滞納した場合、財産が差し押さえられることがあります。では、家は差し押さえの対象になるのでしょうか。
本記事では、どのようなケースで家が差し押さえられるのかを解説するとともに、差し押さえから競売までの流れを具体的に紹介します。
また、借金問題を抱えて家が差し押さえられそうになった場合の解決方法についてもご紹介します。

▼この記事でわかること

  • 家が差し押さえの対象になるのか知ることができます
  • 競売までの流れを知ることができます
  • 自宅の差し押さえを回避する方法を知ることができます

▼こんな方におすすめ

  • 差し押さえ通知が来た方
  • 差し押さえによる家の競売を阻止したい方
  • 差し押さえで家を出ていかなければならない時期を知りたい方

家は差し押さえの対象になる

差し押さえは、給料や銀行口座の預金だけでなく、家も対象になりえます。
特に以下の3つのパターンでは注意が必要です。

住宅ローンを滞納している場合

住宅ローンを滞納している場合は、家が差し押さえられるリスクがあります。

住宅ローンの契約時には、金融機関が住宅に抵当権を設定します。
住宅ローン利用者がローンを返済できなくなった場合、保証会社が債権者である金融機関などに「代位弁済」というかたちで返済を行います。
これにより、保証会社は代位弁済した分の支払い請求権を取得します。

代位弁済とは

代位弁済とは、本来の債務者に代わって第三者が債権者に対してお金を支払い、債務を消滅させること、その結果、第三者が債務者に対して支払ったお金の分を返してもらう権利を獲得することを言います。

つまり、もともとあった債務は第三者の支払いによって消えてなくなります。しかし、本来の債務者は、今度は支払いを肩代わりした第三者に対して、お金を返す義務を負うことになります。

金融機関で住宅ローンを組む際、たいていの場合は保証会社が入ります。
住宅ローンを組んだ人が住宅ローンを滞納した場合は、保証会社が代位弁済します。その結果、住宅ローンを組んだ人は、今度は保証会社に対してお金を返済しなければなりません。

保証会社は代位弁済後、債務者に返済の請求をしますが、債務者が支払えない場合、保証会社は家を差し押さえて競売にかけることになります。

 

借金を滞納して判決で支払い命令が出た場合

借金を長期間滞納すると債権者から訴訟を起こされますが、裁判所の判決で支払い命令が出ても応じない場合、債権者は家を差し押さえる可能性があります。

裁判で判決が下った、ということは、家を差し押さえる手続きを進める段階にあるため、近いうちに家を差し押さえられてもおかしくありません。
こうなると、債務を負っている人が取りうる選択肢は非常に限られます。
できれば裁判に持ち込まれる前、債権者から催促を受けたり一括請求を受けた段階で対応したいものです。

税金や社会保険料を滞納している場合

税金や社会保険料を滞納している場合も、家を差し押さえられる場合があります。

一般的な借金であれば訴訟を起こさなければ差し押さえはできませんが、税金や社会保険料を滞納した場合は訴訟のプロセスを経ずに差し押さえが可能なため、保険料や税金の滞納は十分な注意が必要です。

特に、自営業者は税金や社会保険料を自分で支払う必要があるため、資金繰りに苦しんでいたり、支払い忘れなどの理由で滞納のリスクがあります。
家を差し押さえられてしまうと生活に大きな影響があるため、支払い期限を確認し、絶対に滞納しないようにしてください。

家が差し押さえられるまでの流れ

家が差し押さえられるまでの流れは、大きく分けて2つのプロセスがあります。
違いは「抵当権が設定されているかどうか」です。

抵当権が設定されている場合の差し押さえの流れ

抵当権が設定されている場合、住宅ローンを半年くらい滞納した頃に保証会社が債権者に代位弁済を行うことが一般的です。

代位弁済が行われると、保証会社は支払った金額を債務者に一括請求します。代位弁済の中身は、元本と利息、滞納時や代位弁済後に発生した遅延損害金も含まれているため、債務者が一括返済できるケースはまれです。
債務者が一括請求に応じない場合、保証会社は抵当権に基づいて家を差し押さえます。

抵当権が設定されていない場合の差し押さえの流れ

抵当権が設定されていない場合は、借金を長期間滞納していても、債権者がアクションを起こさない限り差し押さえはされません。
借金を長期間滞納すると債権者は訴訟を起こし、裁判所の判決で支払い命令が確定すると、はじめて差し押さえが行われる恐れが生じます。

ただし、税金や社会保険料などは訴訟を経ずに差し押さえを行うことができるため、注意が必要です。

家を差し押さえられてから競売にかけられるまでの流れ

家を差し押さえられた後は、家が競売にかけられることになります。
売却手続きまでは以下のような流れで進められます。

家の売却基準価格が決められる

まずは、売却対象の家にどのくらい価値があるのか調査されます。
競売にかけられることが決まると、1~3か月程度で裁判所の職員が家の現況調査を行います。
裁判所の職員は家の写真撮影を行ったり、家の所有者に必要な情報を聞き出します。調査後は、集められた情報をもとに家の売却基準価格が決定されます。

一般公開から入札まで

家の売却基準価格が決定されると、一般公開が行われます。
所有していた家が一般公開されると、不動産会社などが実際に家を確かめに来たり、裁判所で物件情報を確認したりすることで、入札に向けて準備します。

その後入札が開始され、入札期間内に購入希望者は入札を行います。入札後は、最高額で入札した購入希望者に売却許可決定が出されることになります。

家の所有権が移転する

入札後は、買受人が売買代金を裁判所に納め、その日に家の所有権が移転します。

差し押さえされた後、競売にかけられ、売却、所有権の移転までには、おおよそ8~12か月程度の時間を要します。
家が差し押さえられてもその時点で退去しなければならないわけではありませんが、所有権が移転すると住み続けることはできません。差し押さえられる前に転居する準備が必要です。

家の差し押さえや競売を避ける方法

家を差し押さえられると、最終的には立退く必要があるため、生活に重大な影響が出ます。
そのため、早めに対処して差し押さえや競売を回避することが大切です。

借金を返済する

当然ですが、借金を返済することができれば家を立退く必要はありません。
また、競売は債務を返済するために行われるものなので、その前に残債をなくすことができれば、競売にかけられることを回避できます。

滞納してから日が浅ければ、一部を返済するだけでも差し押さえを回避することができます。借金を返せる見込みがある場合は、まずは督促や重要書類を無視せず、返済の意思を示すことが大切です。
しかし、借金問題を抱えている人の場合、すでに借金で首が回らない状況にあることも多く、ほとんどの場合は一括での返済などはできません。

債務整理を行う

借金はどんなに節約や副業をしても返済できないこともあります。
自力で借金を返済することができなさそうなら、債務整理を検討しましょう。

債務整理は、借金の元金や利息を減らしたり、月々の返済額を抑える法的な手続きです。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産があり、借金の状況に応じて使い分けることが大切です。

任意整理では、利息のカットや月々の返済額の見直しが可能です。利息や毎月の負担に苦しんでいる場合は、滞納する前に活用してみましょう。
個人再生は、借金の元金を大幅にカットできます。また、「住宅ローン特則」という制度を活用することで、自宅を手放さずに住み続けたまま借金を減額することが可能です。
自己破産は借金をゼロにできますが、それと引き換えに、多くの財産を手放さなければなりません。多くの場合、自宅も例外ではありません。
借金を滞納つづけた結果、差し押さえのリスクが高まった。それでも自宅に住み続けたい、という方は、早めに任意整理や個人再生を行った方が良いでしょう。

家が差し押さえられそうになったら弁護士に相談しよう

家が差し押さえられたり、競売にかけられることを防ぐためには、早めに弁護士に相談することが大切です。

個人再生なら家に住み続けながら完済できる

先に触れたとおり、家に住み続けながら借金を返済したいなら、個人再生の住宅ローン特則を利用することを考えてもよいでしょう。
個人再生は借金を大幅に減額できる可能性があるほか、自宅を維持することで生活への影響も最小限に抑えることができるため、持家に住み続けたい方には適した手続きです。

ただし、個人再生は裁判所への申し立てが必要なため、任意整理よりも手続きが複雑です。そのため、申請を考えているならば弁護士に相談するのも良いでしょう。
弁護士に依頼すれば、書類の作成やアドバイスを任せることができるため安心です。

まとめ

家は差し押さえの対象になります。
差し押さえは督促や一括請求に応じない場合に行われ、最終的には競売にかけられて出ていかなければならなくなります。

差し押さえは、最初に家の売却基準価格が決められ、一般公開と入札、所有権の移転という流れで行われます。
これらの手続きはおおよそ1年以内には完了するため、早めに対処しないと家を失ってしまうことになります。

家の差し押さえ競売が怖いのであれば、早めに債務整理を行い、借金問題を解決することをおすすめします。特に、個人再生であれば家に住んだまま借金を減額できるため、生活を大きく変えることなく完済に向けて前進することができます。

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