養育費はいつまで払う?義務がなくなるまでの期間や減額する方法を徹底解説

離婚・男女問題

この記事の監修

大阪府 / 大阪市北区
みずほ法律事務所
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子どもの父母には扶養義務があり、離婚後は養育費を支払う必要があります。
養育費は子どもが生活するために必要なお金であり、一方的に支払いを中断できません。
子どもの大切なお金とはいえ、支払いが家計の負担になっている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、養育費の支払い義務がなくなるまでの期間や、減額する方法について解説します。

養育費はいつまで払う?義務がなくなるまでの期間


親が子どもの養育費を払う期間は、子どもが20歳になるまでが一般的です。
法律上に「養育費は子どもが〇〇まで支払う」といった定めはありません。
そこで、子どもが経済的に自立可能である年齢として、20歳が目安とされています。
あくまで目安なため、両親の合意があれば年齢の変更が可能です。
たとえば、「4年制大学卒業後の22歳まで」「高校卒業後に子が働くので18歳の3月まで」と期限を設定できます。

養育費の支払い義務がある理由

民法877条にもとづき、親は子を経済的に支援する「扶養義務」を持ちます。
さらに、親は子に対して扶養義務のうち「生活保持義務」も負います。
親から子への生活保持義務とは、親と同じ生活水準を子どもにも用意する義務です。
子どもがかろうじて生活できればいいわけではないため、親の経済状況にかかわらず一定の養育費を支払う義務が発生します。
そのため、親は破産したり再婚したりしても、子が満20歳になるまで養育費を支払う義務は消えません。

民法改正による養育費の支払い期間への影響はない

2022年4月1日の民法改正により、成人年齢は18歳へと引き下げられました。
しかし、民法の改正後も変わらず、養育費の支払い期間は子どもが20歳になるまでが目安です。
親の扶養対象はあくまで「未成熟子(社会的・経済的に自立できない子ども)」であり、法律上の「未成年者」ではありません。

再婚しても支払い義務は消えない

子どもの親権者および非親権者のどちらかが再婚しても、子どもへの養育費の支払い義務は続きます。
ただし、新たな子どもの増加や、連れ子との養子縁組などの理由があると、養育費の減額が見込めます。
詳しくは、後章「養育費の支払い義務がなくなる・減額されるケース」にて解説します。

子どもの成人後も養育費の支払いが必要なケース


子どもの成人後も養育費の支払いが必要になるケースは、次の通りです。

  • 大学や専門学校に在籍している
  • 病気・怪我・障害により就労できない

20歳以上の子どもでも、経済的に自立できない理由がある場合は扶養義務が継続します。

養育費の支払い義務がなくなる・減額されるケース


原則として養育費は20歳までは払う義務がありますが、支払い義務がなくなる・減額されるケースも存在します。
具体的には、次の4つです。

  • 子どもが就職・結婚した
  • 親権者が再婚し子どもが養子縁組をした
  • 非親権者が再婚し子どもを持った
  • やむを得ず収入が減った

それぞれ理由を解説します。

子どもが就職・結婚した

20歳未満の子どもであっても、子ども自身が就職・結婚した場合は養育費の支払いが終了します。
たとえば、子どもが高校卒業後・18歳で就職した場合、支払い期間は「満18歳の3月まで」とできます。
一方、子どもが20歳未満で結婚しても、経済的・社会的に自立していると判断されます。
子どもが働かず専業主婦(夫)になる場合も同様です。

親権者が再婚し子どもが養子縁組をした

養育費を受け取る側である親権者が再婚し、さらに子どもが再婚相手と養親縁組をすると養育費が減額・免除される可能性があります。
子どもが再婚相手と養子縁組を結ぶと、非親権者よりも再婚相手の扶養義務が優先されます。
したがって、単に親権者が再婚しただけでは、養育費は変更されづらいでしょう。

非親権者が再婚し子どもを持った

養育費を支払う側である非親権者が再婚し、以下のように子どもを持つと養育費が減額・免除されやすくなります。

  • 再婚相手との子どもが誕生した
  • 再婚相手の連れ子と養子縁組をした

親権者のケースと同じく、再婚しただけでは養育費の支払い義務に影響はありません。

やむを得ず収入が減った

養育費を支払う側である非親権者の収入がやむを得ず減ると、養育費の減額・免除が認められる場合があります。
やむを得ない理由として、以下の例が挙げられます。

  • リストラや勤務先の倒産によって失業した
  • 病気や怪我により就業できなくなった

反対に、「収入をわざと減らす」「働けるのに働かない」といった理由では認められません。

養育費の算出方法


現在の養育費が高いと感じるのであれば、適正金額を上回っているかもしれません。
養育費の適正金額を算出する際は、裁判所が公開している養育費算定表を利用しましょう。
養育費算定表とは、子どもの人数・年齢と親の年収による養育費の相場をまとめた一覧表です。
以下の手順で、自身に該当する養育費相場を確認できます。

  • 養育費算定表の一覧から、合致する子どもの人数・年齢の表をクリック
  • 表の縦軸【義務者】から、養育費を支払う側の年収を探す
  • 表の横軸【権利者】から、養育費を受け取る側の年収を探す
  • 2と3の交差する箇所の養育費相場を確認する

養育費の相場からかけ離れている場合、減額できる可能性があります。

※参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所

養育費の支払い期間・金額を抑える方法


養育費の支払い期間や金額は、離婚時に元配偶者と話し合って合意します。
合意後に養育費の内容を変更したい場合、以下3つの手順で元配偶者と交渉しましょう。

  1. 相場と交渉材料を把握する
  2. 元配偶者に相談する
  3. 弁護士に依頼する

具体的な方法を説明します。

相場と交渉材料を把握する

元配偶者に相談を持ちかける前に、養育費算定表で養育費の相場を調べてみてください。
現在支払っている養育費が相場よりも高い場合、交渉を有利に進めやすくなります。
加えて、養育費の合意内容を変更してほしい理由も明確にしましょう。
「再婚相手と子どもができた」「リストラされた」など、具体的な理由を提示すれば変更に納得してもらえる可能性が高まります。

※参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所

元配偶者に相談する

元配偶者へ養育費の変更について相談しましょう。
とはいえ、養育費の減額・短縮は、子どもだけでなく元配偶者の生活にもかかわります。
簡単に同意してもらえるとは限らないため、具体的な理由を丁寧な姿勢で伝えることが大切です。
相談により合意できたら、合意内容を書面にまとめます。
さらに、書面を公正証書にすることで、約束を反故にされるトラブルを防げます。

弁護士に依頼する

当事者間の話し合いで解決できない場合、弁護士への依頼がおすすめです。
元配偶者との交渉が決裂したら、家庭裁判所へ調停を申し出る必要があります。
調停でも解決できない場合は、裁判へと進まざるを得ません。
調停の段階で弁護士に相談すれば、調停を長引かせることなくスムーズな決着が期待できます。

養育費を支払わないとどうなる?


2020年4月1日に改正民事執行法が施行され、強制執行により未払いの養育費を回収しやすくなりました。
養育費の支払いを放棄すると、親権者側から裁判所へ強制執行を申し立てられるおそれがあります。
強制執行が行われれば、給与や預貯金はすみやかに差し押さえられる仕組みです。
さらに、離婚時に「強制執行認諾文言」付きの公正証書を作成している場合、強制執行のリスクはとりわけ高いでしょう。

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まとめ


養育費の支払い義務は、原則として子どもが20歳になるまで続きます。
ただし、再婚して子どもができたり、やむを得ず収入が減ったりしたケースは、養育費の支払い内容を変更できます。
元配偶者と話し合いで解決できない場合、弁護士への依頼がおすすめです。
調停を有利に進めやすくなり、早期解決が期待できます。

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