借金が返せないとどうなる?催促・支払通知・給与差し押さえの対応方法

借金が返せないとどうなる?催促・支払通知・給与差し押さえの対応方法 借金・債務整理

この記事の監修

借金問題は、今の生活を揺るがしかねない大きな事柄です。
放っておかず、早めに向き合うことがより良い解決への第一歩となります。
こちらの記事では、もし借金を返せなくなってしまったらどうなるのか、解決するにはどうしたら良いのかを弁護士の監修の下、ご紹介いたします。

▼この記事で分かること

  • 借金を返せないと、どうなるのかがわかります。
  • 借金について、いわゆる「ヤバい」状況を知ることができます。
  • 債務整理の主な手段について知ることができます。
  • 借金に関するありがちな疑問を解消できます。

▼こんな方におすすめ

  • 金融業者など、貸し手からの催促が止まない方
  • 裁判所から通知が来た方
  • 貸し手の弁護士から手紙がきた方
  • 「債務整理=自己破産」と思われている方
  • 借金問題で悩んでいるが、どこに相談すれば良いかわからない方

借金、返せないとどうなる?

借金、返せないとどうなる?
積もり積もった借金、なんとかしなければ・・・と思いつつも、なかなか手をつけられずにいる方も多いことでしょう。
とはいえ、借金を放っておくとどうなるのでしょうか。こちらでは「借金を放っておくとどうなるのか」、ご紹介します。

債権者からの催促が止まらなくなる

債権者から、返済の催促が止まらくなることがあります。
ちなみに、債権者とは、サラ金業者や銀行、お金を貸している個人など、「金の貸し手」を指します。

裁判所から通知が送られてくる

ある日突然、裁判所から郵送で通知が送られてくることがあります。
この通知は、「訴状」または「支払督促」と呼ばれるもので、債権者からの申し立てで、簡易裁判所などから送られてくる書面です。
支払督促には、「この借金を支払いなさい」という債権者からの請求が記載されています。これを放っておくことがどれだけ良くないことなのか、については、後ほどご説明します。

訴訟を起こされる

相手方は借金を回収しようと、訴訟を起こしてくることもあります。
要するに、裁判で訴えられるということです。

訴訟を起こされてしまった場合、こちらも無視することはおすすめできません。
訴訟を無視しつづけて、裁判にも出席せず何の答弁もしないと、自動的に「敗訴」が確定してしまいます。
その結果、強制執行となり、保有している財産が差し押さえられてしまうこともあります。
万が一訴訟を起こされた場合は、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。

給与を差し押さえられる

支払督促に応じない、あるいは訴訟されて敗訴が確定した場合、相手方は強制執行に乗り出す可能性があります。
それにより、例えば債務者(=借金を払う人)の給与を差し押さえられてしまうことも考えられます。

借金、放っておくとNG!の例

借金、放っておくとNG!の例
こちらでは、借金を放っておいてはいけない状況をご紹介します。

▼放っておくとNG!な例

  • 裁判所から通知が来た!
  • 債権者の代理人(弁護士)から手紙が来た!
  • リボを利用していて、利息だけしか返せてない
  • 借金で借金を返していたが、借りられなくなった!

裁判所から通知が来た!

上でもご紹介しましたが、裁判所からの通知が来てしまった場合、いわゆる「支払督促」が送られてきた場合、そのまま放っておくのはよくありません。
仮に支払督促が本物であった場合、無視をし続けてしまうと、次に「仮執行宣言付支払督促」が送られてきます。
更にそれを無視してしまうと、仮執行宣言付支払督促が確定し、確定判決と同一の効力を取得してしまいます。
その結果、強制執行(=国家による強制的な借金の取り立て)をされてしまうこともあります。

ではどうすれば良いのでしょうか。

  • 全く身に覚えのない通知であれば「詐欺」を疑いましょう。
    近年では、裁判所の名を騙って葉書を送りつける詐欺が横行しています。この葉書に書かれている連絡先に連絡すると、「訴訟の取り下げ」名目などと言って、逆にお金を支払うように要求される場合がありますので、要注意です。
  • 身に覚えがある場合は、しかるべき対応を取りましょう。
    基本的には「金銭を払う」「督促異議の申し立てをする」の二択ですが、「支払うお金がない!」という場合もあるでしょう。
    その場合は債務整理が必要です。詳しくは以下をご覧ください。

債権者の代理人(弁護士)から手紙が来た!

弁護士から手紙が来てしまった場合も無視をするのは好ましくありません。

債権者、つまりお金の貸し手が弁護士に相談したということは、裁判を起こすなどの法的措置を取る準備をしていることの表れとも言えるからです。
借り手の側も弁護士に相談するなどの対応をとることが望まれます。

リボを利用していて、利息だけしか返せてない

クレジットカードの「リボ払い」を利用していて、利息だけしか返せていない場合、大抵は債務整理が必要な可能性が高いです。
利息だけしか返せていないということは、借金がいつまでもなくならないことを意味します。
こうした場合、例えば任意整理などの債務整理を行わなければ、完済はおろか、ちょっと気を許すとむしろ借金が膨らんでしまうことも起こりえます。早めに債務整理へと進んだ方が良さそうです。

借金で借金を返していたが、借りられなくなった!

そもそも借金で借金を返しているような場合、自力で借金の全額を返すのが難しい状況であることが大半です。
中でも「借りられなくなった!」という場合は要注意です。
この場合、返済が遅れておりブラックリストに載っている可能性が極めて高いです。速やかに債務整理へと進むことをおすすめします。

「債務整理」=「自己破産」?

「債務整理」=「自己破産」?
債務整理をする、というと、すなわち自己破産?と思われている方もいるのではないでしょうか。
実は、債務整理の手段は一つではありません。こちらでは、債務整理の3つの手段【自己破産】【任意整理】【個人再生】についてご紹介します。

自己破産

自己破産とは、財産が少なく借金の返済が難しいことを裁判所に認めてもらい、借金の支払いを免除してもらう手続きを言います。

メリット

原則、借金をなくすことができます。
今まで、払うべきだった借金を全て免責することができるのは、大きなメリットです。
もちろん、免責許可決定後には債権者に強制執行されるようなことも起こりません。

デメリット

  • 家や車などの財産を失うことがあります
  • 破産してから、通常は7年間、再び借入をすることができません
  • 破産した本人の、住所と氏名が「官報」に載ります
  • 警備員や保険募集人など一定の職業は、破産手続き中に資格制限を受けます

Q&A

だれでも自己破産できますか?

基本的には誰でもできます。

 

ちなみに、ギャンブルや浪費などで作った借金の場合、自己破産ができないことがあります。これらを「免責不許可事由」と呼びます。

しかし、巨額の債務残高があるにもかかわらず自己破産ができなければ、借り手はどんどん追い込まれて、時に思いつめた行動に出てしまう可能性もあります。
そこで、免責不許可事由に当たる場合でも、個々の状況を加味して「裁量免責」という形で自己破産できる制度があるのです。

 

なお、私がこれまでに担当した事案については、裁量免責を含めると、自己破産を希望する方のほとんどが免責許可決定を得て終えられています。

パートナー(夫・妻)が自己破産したのですが、私はローンを組めますか?

パートナーが自己破産しようとも、ご本人はローンを組むことができます。
しかし、自己破産した人は連帯保証人になれないため、配偶者が破産した場合は、その方に連帯保証人となってもらうことはできません。

任意整理

任意整理とは、債権者(=お金を払って欲しい人)に弁護士が直接交渉し、借金の総額を減らしてもらうことで、日々の収入に見合った返済プランを立て直すものです。

メリット

将来利息をカットできます。
その結果、支払い総額が減ります。

デメリット

  • 自己破産とは違って、借金が無くなる訳ではありません
  • ブラックリストに登録されます
  • 収入がないと任意整理はできません
  • 債権者と合意できない場合、任意整理はできません

任意整理の場合、特に注意が必要なのは、お金が借りられない期間が自己破産よりも長くなることです。
仮に自己破産であれば、破産手続きが終了してから7年間が「ブラック期間」、つまりお金が借りられない期間となります。通常、破産手続きは半年〜1年、資料収集などに時間がかかり長くなったとしても2年程度ですので、そこから7年間は借りられない、ということになります。

具体的には、仮に破産手続きが1年、とすると、借りられない期間は

1+7=8年間

ということになります。

一方、任意整理の場合、ブラック期間は「払い終えてから」7年間です。

つまり、返済期間が5年として、そこから7年間は借りられない、ということですので、借りられない期間は

5+7=12年間

となります。

また、任意整理はあくまで交渉によるものであり、必ずしも実現できるものではありません。そこも注意が必要です。
仮に交渉が決裂した場合、債権者側が訴訟を起こしてくることも考えられます。

Q&A

任意整理した後に返済が難しくなったらどうすればいいですか?

自己破産をするのが一般的です。場合によっては、個人再生という手段も考えられます。
なお、最初に債務整理をする段階で返済が難しそうだ、という場合には、手続きを慎重に選択し、最初から自己破産を提案します。

個人再生(民事再生)

個人再生(民事再生)とは、裁判所での手続きで債務を大幅に減らしてもらい、返済プランを立てるものです。

メリット

  • 任意整理より借金の総額を減らせる場合が大半です。
  • 持ち家がある場合、条件次第で家を残せます。
  • 警備員や保険募集人の方など自己破産によって資格制限を受ける方は、自己破産でなく個人再生を選択することで、その制限を受けずに済みます。

デメリット

自己破産や任意整理と比べると、要件が厳しい傾向があります。

要件のなかで、特に押さえておきたいのが「5000万円要件」です。
これは、不動産ローンなどを除いて、債務が5000万円を超えると個人再生できないというルールです。特に債務残高が大きい方は注意が必要です。

債務整理について、よくある質問

債務整理について、よくある質問
こちらでは、債務整理に関してよくある質問をまとめました。
いざ借金の相談をする際に「直接は聞きづらいけど知りたい」内容に弁護士が答えます。

弁護士費用の支払い方法はどうなるのでしょうか?

大抵の方は、分割払いで問題なくお支払いいただいています。
債務整理を開始すると、原則として全ての債務について一斉に支払いを停止します。その結果、今まで借金の返済に回していたお金が手元に残ります。
そのため、それまでの生活よりも金銭的に少し余裕ができます。その余裕ができた部分から、分割払いで弁護士費用をお支払いいただきます。

 

ちなみに、生活保護を受けられている方などは法テラスの制度を利用することもできます。こちらもご参考になさってみてください。

 

▼法テラスに相談する
法テラス 公式ホームページ

誰にも知られずに借金を整理することはできますか?

誰にも知られずに債務整理が完了することもありますが、お約束はできません。

 

例えば、訴状が本人宛、自宅に届いたり、金融業者から電話がかかってくることも考えられます。
また、自己破産の場合は、裁判所によっては同居している人全員の預金通帳などの書類を全て提出する必要があります。こうしたことを考えると、同じ家に住む家族に絶対にバレないようにすることは、なかなかハードルが高いというのが実情です。

時効かどうか、どうやって調べればよいのでしょうか?

弁護士に相談すれば、債権者に取引の履歴を開示してもらうことができますのですぐに分かります。
5年以上経っていそうだと感じた場合は弁護士に相談することをおすすめします。

過払い金があるかどうか知りたいのですがどうすれば良いでしょうか。

案件ベースで、過払金に関するご相談は今ではあまり見かけません。
そもそも過払金は、10年以上前(平成20年以前)から継続的に借りては返してを繰り返している場合でないと、ほとんど発生しないと思われます。
なお、仮に弁護士に依頼して債務整理の途中で見つかれば、大抵の場合、まとめて対応してもらえます。

事業を営んでいるのですが、破産を検討しています。

弁護士にご相談下さい。
事業者の場合は負債が大きかったり、権利関係が複雑になりがちなので、破産管財人の下、時間をかけて段階的な手続きを踏む必要があります。受任通知を債権者に発送するタイミングや、雇用している従業員の関係など、ご本人で対応するのは不可能です。会社のお金がゼロになってしまってからでは破産手続きをすることが困難になりますので、危機状況に至りそうだと思った時点で、弁護士にすぐに相談して下さい。

弁護士にご相談して、依頼を断られる場合はありますか?

大きく2つの状況で、断られることが考えられます。
まずは、個々の弁護士の意向で「任意整理はやりません」「個人再生はやりません」といった場合です。
ちなみに、私は債務整理の手段によってお断りすることはなく、任意整理・自己破産・個人再生、すべてお受けしています。

 

もう一つの状況は、相談者と信頼関係が上手に築けなかった場合です。
極端な例で言えば、例えば依頼者の方が、弁護人に対して脅迫や恐喝などの犯罪行為を意図的に行った場合等が挙げられます。

 

また、ご本人にとって後ろめたいようなことを話そうとしない場合、弁護士は代理人としての務めを果たしきれないと考え、辞任に至ることはありえます。
ちなみに破産の場合、どんなに後ろめたいことでも明らかにしていただかなければ、裁判所から破産の許可が降りません。それでも、ご心配は無用です。弁護士は依頼者の代理人として最大限お守りする役目ですので、正直に話すことで依頼者の方が不利益を被ることはありません。むしろ、きちんとお話いただくことが依頼者の方ののためになります。
なお、債務整理の手続きに際して、意図的に話さない内容があれば、詐欺破産罪に該当することもあるので注意が必要です。

破産したら一文無しになってしまうのでしょうか?

裁判所の決定が間に入りますが、99万円までの財産は自由財産として残せる可能性があります。
(破産法第34条)

 

特に、この99万円の中には、金銭的な価値が認められないものは入りません。日常生活で使用している、一般的な茶碗やテーブル等といったものは、通常は価値がないとみなされますので、そもそも「持って行かれてしまう」等と心配をする必要はありません。

まとめ

まとめ
ここまで、借金への対応が必要な場合はどんなときか、債務整理にはどのような手段があるのかをご紹介してきました。
借金は放っておくと、どんどん膨らんでしまう可能性があります。
無視してはいけない状況に該当していた場合、速やかな対応を取ることをおすすめします。

この記事の監修

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