不倫の慰謝料請求の時効はいつ?消滅時効の更新・完成猶予の方法

離婚・男女問題

この記事の監修

東京都 / 豊島区
弁護士法人若井綜合法律事務所
事務所HP

「以前不倫され一度は許したが、再び関係を持っていたようなので慰謝料を請求したい」
「数年前の不倫に対して慰謝料を求めたら、相手から時効だと言われた」

あなたは現在、このようなお悩みを抱えていませんか?
不貞の慰謝料請求には時効がありますが、かなり前の不倫だから慰謝料請求できないだろうと、すぐに諦める必要はありません。

本記事で不貞慰謝料を請求できる期間や時効を止める方法などの知識をつけて、時効を迎える前に慰謝料を確実に受け取りましょう。

▼この記事でわかること

  • 不貞慰謝料請求の時効期間や起算日がわかります
  • 不貞慰謝料請求の時効を一旦止める方法がわかります
  • 不貞慰謝料請求の時効が過ぎてしまった時の対応方法がわかります

▼こんな方におすすめ

  • 何十年も前に不倫されたことに対して慰謝料請求をしたい方
  • 慰謝料請求の時効が迫っているためすぐにでも時効を止めたい方
  • 不倫相手に慰謝料請求したい場合の時効が何年か知りたい方

不貞の慰謝料請求の時効とは


配偶者が不倫していたことを知った場合、配偶者や不倫相手へ慰謝料請求を考える方が多いと思いますが、不貞慰謝料を請求する際は時効に注意しなければなりません。

【不貞慰謝料の時効の種類】

  • 不倫行為及び不倫相手を知った時から3年間
  • 不倫行為から20年間

不貞慰謝料を請求する場合は、上記のどちらか早い方が適用されます。
なお、2020年4月1日に民法が改正されるまでは不倫行為から20年間は「時効」ではなく「除斥期間」とされており、この改正によって被害者が慰謝料請求できる範囲が広がったと言われています。
具体的にどのような変化があったのか、次章で見ていきましょう。

「時効」と「除斥期間」の違い

それでは「除斥期間」と「時効」の違いについて解説していきます。
まずはそれぞれの特徴を記載した以下の表を見てみてください。

時効
  • 期間中でも完成猶予(ストップ)と更新(リセット)が適用される
  • 相手から時効の援用(主張)がなければ債務は消滅しない
除斥期間
  • 期間中はストップやリセットはできない
  • 期間が経過すれば自動的に債務が消滅

例えば、十数年前の配偶者の不倫に後から気がついた場合、弁護士への相談や証拠集めなどに時間がかかることを考えて一旦時効の進行を止めたくなると思います。

そのようなケースにおいて、2020年3月までは「除斥期間」扱いだったため、途中で進行を止めることができないうえ、不倫から20年が経過すると無条件に慰謝料請求できなくなる状態でした。

しかし2020年4月以降は「時効」扱いとなったため、しかるべき手段をとれば一旦時効の進行を止めることができるようになりました。
また、不倫から20年以上経ったとしても「時効を過ぎたから慰謝料は支払わない」と相手から主張されない限りはいつでも慰謝料請求できるようになり、被害者側が慰謝料を受け取れる範囲が広くなったといえます。

ただし法改正後に慰謝料請求する場合でも、2020年3月31日までに不貞行為から20年が経過している場合は除斥期間が適用されるので注意しましょう。

慰謝料請求の時効の起算日

慰謝料請求する上では時効の存在に注意が必要だとお話しましたが、そもそも時効のカウントが始まる日は請求する相手や離婚の有無によって変わります。
自身の状況に当てはめながら、時効の起算日(カウント開始日)を確認しましょう。

配偶者に慰謝料請求をする場合

配偶者に慰謝料請求する場合、「離婚慰謝料」と「不貞慰謝料」が存在する関係で、離婚するかしないかで時効起算日が変わります。

【配偶者への慰謝料請求の時効】

  • 離婚する場合⇒離婚した日から3年
  • 離婚しない場合⇒不倫行為と不倫相手を知った日から3年
  • 不貞行為から20年

もし離婚する場合、「離婚慰謝料」と「不貞慰謝料」を両方もらえるのか疑問に思う方もいますが、不倫だけが原因で離婚する場合は両方もらえる可能性は低いでしょう。
もしDVやモラハラなど離婚原因が他にもある場合は両方請求できる可能性がありますので、弁護士に相談してみてください。

不貞相手に慰謝料請求をする場合

不倫に対する慰謝料は、不倫相手に請求することも可能です。

【不倫相手への慰謝料請求の時効】

  • 不倫行為と不倫相手を知った日から3年
  • 不貞行為から20年

ただし不倫相手へ請求できる慰謝料の名目は「不貞慰謝料」のみで、もし不倫が原因で離婚に至ったとしても「離婚慰謝料」を請求することはできませんので注意しましょう。
※例外として、単に夫婦の一方との不貞行為にとどまらず、当該夫婦を離婚させるために不当な干渉をするなどして離婚に至らしめた場合には、不倫相手に対する離婚慰謝料を認める旨を示した判例はあります(最判平成31年2月19日判決)。

不貞の慰謝料請求の時効の更新・完成猶予の方法


ここでは、不倫で慰謝料請求を考えている場合に時効の進行を止める方法を紹介します。
時効の進行を止める方法には「完成猶予」と「更新」があります(民法第147条1項)。

完成猶予 時効の進行を一時的に止めることで実質延長できる
更新 時効をリセットして新たに時効のカウントが始まる

上記のように完成猶予と更新の意味は異なりますが、いずれも時効の進行を止められる手段ですので、配偶者との関係性や緊急度などによって最善の方法を選ぶことをおすすめします。

内容証明郵便で慰謝料を請求する

ここでいう内容証明郵便とは慰謝料を請求する旨が明記された通知書のことで、書類を相手に送付してから6カ月間は一時的に時効を止めることができます(民法第150条)。
6カ月を過ぎると止まっていた時効のカウントが再開しますので、期間内に当事者間で解決するか裁判を提起する流れとなります。

内容証明郵便は送付時点で法的効力が認められるのに加え、送った日時・宛先・内容などの履歴が郵便局に残って証拠になるため、時効を止める際によく使われます。

内容証明郵便は自身で作成することも可能ですが、法的に間違いのない内容で送りたい場合や急いでいる場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

裁判所に慰謝料請求を訴える

裁判所に慰謝料請求の訴えを提起すると時効は一旦止まり、確定判決が出ると時効のカウントがリセットされて再び始まります(民法第147条)。

裁判を提起する場合は訴状を作成して裁判所に提出しますが、事務手続きや裁判での主張・立証などを一人で対応するのは非常に困難なため、一般的には弁護士に依頼してから進めます。

相手と協議を行う合意をする

時効の進行は、相手との話し合いでも止めることができます(民法第151条)。
ただし慰謝料請求の協議をする旨を書面で合意する必要があり、口頭のみでの合意は法的効力がないため注意が必要です。
また、合意後は以下のうち一番早いときまで時効が止まりますが、その後は再び時効の進行が再開するため、早めに協議を進めましょう。

  1. 協議に合意してから1年経過したとき
  2. 合意時に協議期間(1年未満の場合)を定めた場合は、その期間を過ぎた時
  3. 一方が協議を拒否する書面を通知した場合、通知から6カ月経った時

相手が慰謝料の支払いを認める

慰謝料の支払いについて相手が認めた場合は、時効がリセットされます。
相手が「慰謝料を支払う」という意思を示した場合は、証拠を残すためにも慰謝料支払いに関する書類に署名押印してもらいましょう。
また、実際に慰謝料が支払われた場合や支払い期限の延長や減額を頼んできた場合も慰謝料の支払いを認めたと見なされるため、時効がリセットされます。

相手が慰謝料の支払いを認めたにも関わらず支払ってくれない場合は、強制執行や仮処分、仮差押などの法的措置をとれる可能性がありますので弁護士に相談しましょう。

不貞の慰謝料請求の注意点


ここでは、不貞慰謝料を請求する前に知っておきたい注意点を紹介します。

時効を過ぎても慰謝料請求は可能

不倫の慰謝料請求には3年と20年の時効があるとご説明しましたが、20年以上前の不倫であっても慰謝料請求を諦める必要はありません。

何十年も前の不倫に後から気がついた場合も慰謝料請求自体は可能ですし、相手が支払いに応じればいつでも慰謝料を受け取ることができます。
民法改正以前の「除斥期間」は20年が経過すると自動的に慰謝料請求権がなくなる制度でしたが、「時効」は相手から時効の援用がない限り請求権が消えないのです。

この場合の時効の援用とは、不倫した側が「時効が過ぎているので慰謝料は払わない」と主張することです。
慰謝料を請求する側がされる側に時効の存在を知らせる必要はありませんし、慰謝料の支払いが済んでから「時効が過ぎていたからお金を返せ」と言われても返す必要はありません。

なるべく早く証拠を集め、慰謝料請求をする

慰謝料請求の時効が過ぎてしまった場合、相手が時効の存在を主張すれば請求できなくなるため、時効が切れる前に確実に請求することが大切です。

さらに、慰謝料請求する上では不倫の事実やどのくらい精神的苦痛を被ったのかを裁判官に納得してもらうための証拠が必要ですが、その証拠集めは意外に時間がかかるものです。

「慰謝料請求の時効まであと3年もあるんだから大丈夫」と思っていても、自ら仕事や家事等をこなしながら慰謝料請求に十分な証拠を集めるのは負担が大きく、あっという間に時効寸前になってしまうケースもあります。

このような事態を避けるためにも、経験豊富な弁護士に依頼し、限られた時間の中で有力な証拠を集めて迅速に手続きするのがおすすめです。

不貞の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット


最後に、不貞慰謝料の請求を弁護士に依頼するメリットをいくつか紹介します。

相手に真剣度が伝わりやすくなる

弁護士に依頼する1つ目のメリットは、慰謝料請求の真剣度が相手に伝わることです。

不倫をした側は「謝れば許してもらえる」「あくまでも家庭内の問題だ」と不倫を軽視しがちで、慰謝料を請求すると言っても本気にしないケースもあります。

しかし弁護士から内容証明郵便が届けば、法的手段を使って慰謝料を請求するつもりなのだと本気度が伝わり、態度を改めて誠実に対応するかもしれません。

慰謝料を増額できる可能性がある

弁護士に依頼する2つ目のメリットは、慰謝料を最大額とれる可能性があることです。

慰謝料は弁護士に頼らず自分で請求することもできますが、高額慰謝料を獲得するチャンスを逃してしまうかもしれません。

なぜなら自分一人では「裁判にどんな証拠が必要なのか」「今回のケースでは慰謝料相場がいくらなのか」などの法的知識が乏しい場合が多いからです。

慰謝料の金額は法律で明確に定められているわけではなく、精神的苦痛の程度や個別の事情によって認められる金額が変わってきます。
そこで、弁護士のアドバイスをもとに法的に有利になりやすい証拠を集め、過去の判例や慰謝料相場を踏まえて主張することで、自分でも想像しなかったような高額な慰謝料を獲得できる可能性があるのです。

相手との交渉や裁判手続きなどを一任できる

弁護士に依頼する3つ目のメリットは、相手との交渉や事務手続きを任せられることです。

不倫された側は相手と話すだけでもストレスが溜まりますし、怒りや悲しみで感情的になってしまい、話し合いが余計こじれるケースも少なくありません。

もし弁護士に依頼すれば、自分の主張が相手に正確に伝わりますし、当事者間では話しづらい慰謝料額も交渉してもらえます。
さらに裁判で争う場合は、訴状の作成や申立てなどの事務手続きはもちろん、自分の代わりに裁判で論理的に主張してくれる非常に心強い存在になります。

まとめ

本記事では、不貞慰謝料請求の時効について紹介しました。

不倫された場合の慰謝料請求には時効があるものの、2020年の民法改正によって、相手から時効を主張されない限りは何年前の不倫でも慰謝料請求ができるようになりました。
とは言っても、相手が時効を知るリスクはあるため、時効を迎える前に確実に慰謝料請求するに越したことはありません。

慰謝料請求する際は、自分一人で対応するよりも弁護士に依頼した方が、相手に本気度を示せる・高額な慰謝料を獲得しやすいなどのメリットがあります。
また、不倫で傷ついている中で相手との話し合いや裁判の手続きに追われるのは負担が大きいため、弁護士のサポートを受けることで心身ともに楽になるでしょう。

不倫でお悩みの方は、ぜひ一度離婚分野に詳しい弁護士に相談してみてください。

この記事の監修

東京都 / 豊島区
弁護士法人若井綜合法律事務所
事務所HP
タイトルとURLをコピーしました