自己破産をするデメリットとは?基礎知識から破産手続の流れまで徹底解説!

借金・債務整理

この記事の監修

福岡県 / 福岡市中央区
弁護士法人米盛法律事務所
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「自己破産すると家も仕事も交友関係も失い、人生が終わってしまうのでは…?」
「戸籍に自己破産したことが載ってしまう…?」
「今後の就職に影響がある…?」

このような考えで、借金が膨らんでも自己破産になかなか踏み切れないという方は多くいます。
マイナスイメージを持つ人は多いですが、本来自己破産は借金で苦しむ人のために国が定めた救済制度です。
破産法には破産手続の目的について「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」との規定もあります。
もっとも、いくつかのデメリットもありますが、何より「借金の返済義務がなくなる」という最大級のメリットが得られます。
過度に恐れず、正しい知識をつけて道を切り開きましょう。

▼この記事でわかること

  • どんな人が自己破産できるのかわかります
  • 自己破産手続きの流れがわかります
  • 自己破産のメリットとデメリットがわかります

▼こんな方におすすめ

  • 今の状況で自己破産できるのか知りたい方
  • 自己破産をした際の周囲への影響が気になって踏み切れない方
  • 自己破産手続きにどのくらいの時間と手間がかかるのか知りたい方

自己破産をするための条件


借金を抱える人にとって、自己破産はとても有効な債務整理方法です。
しかし、全ての人が手続きできるわけではありません。
どんな条件を満たした人が自己破産できるのか、詳しく見ていきましょう。

支払不能である

まず裁判所に自己破産の申し立てが認められるには、客観的に「借金を支払うことができない」と判断されなければなりません。
債務額と内容・資産額と内容・収入・家族構成・年齢などから「本当にこの人は支払えないか」を総合的に判断するのです。
具体的なケースによるので一概にはいえませんが、債務の総額を月々分割して返済して3年間で返済することが客観的に可能かどうか、年収と比較して負債総額の方が多いどうかというのが目安となります。

免責不許可事由にあてはまらない

破産申し立てが認められ、破産手続きを開始したあとも、免責を許可されなければ借金は免除されません。
「免責不許可事由になる」ということは、借金理由に問題があり本人が返済すべきだと判断されることです。
具体的には、つぎのようなケースの場合、免責不許可事由になります。

  • 借金した理由がギャンブル・浪費・株式投資など
  • 自己破産の免責を過去7年以内に受けている
  • 自分に支払い能力がないとわかっていて債権者と金銭取引をした
  • 財産を隠して申し立てる、裁判所に虚偽報告する

ただし、ギャンブルや浪費による借金でも裁判所による裁量免責によって自己破産できたケースはあります。多額の借金を負ってしまった方は、その過程で免責不許可事由があることが少なくないため、むしろ、裁量免責を審理し結果的に免責が認められるというケースが多いのが実情です。
自己破産が可能かどうか知りたい場合は、まず弁護士に相談してみましょう。

非免責債権ではない

自己破産が認められれば基本的にすべての借金が免除されますが、非免責債権に該当する場合は、たとえ破産が認められても必ず支払わなければいけません。
つぎのようなものは、非免責債権に該当します。

  • 税金
  • 公共料金
  • 社会保険料
  • 慰謝料
  • 養育費
  • 罰金 など

ただし公共料金の中でも、民間企業が提供している上水道料金・電気料金・ガス代は免除の対象となります。

自己破産のメリット・デメリット


自己破産をすることで自分の生活や関係する人々にどんな影響をもたらすのでしょうか。
ここからは、自己破産をするメリットとデメリットを紹介します。

自己破産のメリット

冒頭でも触れましたが、自己破産は生活再建のための救済制度として、法律で認められた債務整理方法です。
漠然としたマイナスイメージが先行しがちですが、決してそれだけではありません。
自己破産のメリットを一つずつ見ていきましょう。

借金が全額免除される

自己破産は、複数ある債務整理方法の中で唯一、借金をゼロにすることができる可能性のある方法です。
「借金が膨らんでどうしようもない」と悩んでいる方にとって、苦しい返済生活から解放されること以上のメリットはないのではないでしょうか。

借金の取り立てが止まる

自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、債権者へ受任通知が送られます。
そしてこの受任通知が債権者に届いた時点で、債権者は直接債務者に取り立てができなくなるのです。
この手続きは、最短即日〜1週間程度で完了します。
督促電話や郵便、自宅への押しかけなどで悩むことがなくなるのは大きなメリットです。

一部の財産は残せる

「自己破産すると全財産を手放さなければいけない」と思っている方もいるかもしれませんが、そうとは限りません。
破産した後にも、最低限生活するための財産は手元に残すことができるのです。

  • 99万円以下の現金
  • その他、生活に必要と裁判所に認められた最低限の財産

これらは自己破産をしても手放す必要はありません。なお、各裁判所の運用基準に従った取り扱いとなりますので、詳しくはお住まいの管轄の裁判所の運用基準に精通する弁護士に相談することをおすすめします。
また自己破産の破産手続開始決定後に働いて得た収入などは、全て自分のものになります。

自己破産のデメリット

借金が全額免除される自己破産には、もちろんデメリットもあります。
自分の生活だけでなく家族など身近な人への影響も出てくる場合があるので、正しい知識をつけて慎重に検討しましょう。

財産が換価・処分される

自己破産をすると、債務者の財産が換金されて債権者への返済にあてられます。
そのため、以下のような財産の換価・処分は避けられません。

  • 家や車など20万円以上の価値がある財産
  • 99万円以上の現金

マイホームや保険の返戻金なども対象になるため、家族に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
換価対象になる財産は各裁判所によっても異なるので、事前に弁護士に相談してみると良いでしょう。

保証人に借金支払い義務が移行する

自己破産によって返済義務がなくなるのは本人だけです。
そのため、自己破産後は借金の保証人や連帯保証人になってくれた方が支払いを求められることになります。
最低限の礼儀として、自己破産をする前に状況説明・謝罪するなどの対応が必要になることが多いでしょう。

ブラックリストに載る

自己破産すると、ブラックリストとして信用情報機関に個人情報が登録され、約5〜10年間は新たな借入ができなくなります。
クレジットカードを新しく作ったりローンを組むことができなくなるので注意が必要です。

官報に載る

「官報」とは、国が発行している機関紙のことです。
自己破産すると官報に住所や氏名が載りますが、一般の人は閲覧しないものなので、生活する上で問題が生じることはほとんどありません。

就業できなくなる職業がある

自己破産手続き中は、以下の特定の職業に就けなくなります。

  • 士業(弁護士、税理士、宅地建物取引士など)
  • 警備員
  • 生命保険募集人
  • 建築業経営者
  • 旅行業務取り扱いの登録者 など

ただし就業できない期間は、自己破産手続を開始してから免責を得るまでの間のみで、資格が剥奪されるわけではないので安心してください。
もし「この期間に就業できないと困る」という場合は、自己破産以外の方法を検討する必要があります。

自己破産の基本的な流れ


ここからは、弁護士に自己破産を依頼した場合の流れを見ていきましょう。
自己破産するためには「破産(財産を換金し債権者に分配する)」と「免責(返済義務をなくす)」という2種類の手続きを行う必要があります。
状況によって必要な手続きや期間が異なってくるので、詳しく見ていきましょう。

(1)債権者に受任通知書を送付

受任通知とは、債務者に代わって弁護士が債務整理をすることを債権者に知らせる書面です。
弁護士から債権者に受任通知書が送られると、債権者から債務者へ直接連絡できなくなります。

(2)破産申立てに必要な書類の準備、作成

次に、弁護士の指示に従って破産申立てに必要な書類の準備に取りかかります。  
具体的には住民票・戸籍謄本、給与明細書、預金通帳のコピー、源泉徴収票などになりますが、提出書類は各裁判所によって異なるため、事前にご確認ください。
書類の準備と合わせて、基本的には弁護士が自己破産申立書、陳述書の作成をします。

(3)破産申立て

書類等の準備が整ったら、裁判所へ破産申立てをします。
弁護士へ依頼している場合、必要な書類を弁護士に渡し、すべてお任せすることができます。

(4)裁判所で破産の審議

裁判所で破産に関する面談が行われます。
基本的に裁判官・本人・弁護士の三者で行われますが、本人は出席しなくて良いケースもあります。
「なぜ借金したのか」などの質問に対して自己破産に至った経緯を説明し、「同時廃止事件」か「管財事件」かが決定します。

同時廃止事件と管財事件とは?

自己破産の種類には「同時廃止事件」と「管財事件(少額管財事件を含む)」の2種類があります。
また、自己破産は債権者に財産を配当するのが目的でもあるので、換金できる財産がある「管財事件」を前提に考えられています。

同時廃止事件
  • 一定の財産(目安としては20万円以上)がないケース
  • 手続きにかかる期間は約3~4ヶ月
管財事件
  • 一定以上の財産(目安としては20万円以上)があるケース
  • 手続きにかかる期間は約6~12ヶ月

同時廃止事件の場合、債権者に分配できる財産がないため、破産手続きの開始=破産手続きの廃止となります。
そのため、このあと紹介する財産の処分などは行われません。

一方で管財事件は財産の処分など様々な手続きが必要なので、同時廃止事件より期間が長くなります。
また、管財事件の中でも特に財産が少ない場合は「少額管財事件」となります。

(5)財産の処分・債権者集会(※管財事件の場合)

管財事件の場合、裁判所が指定する破産管財人が中立の立場で債務者の財産を処分して債権者に配当し、債権者集会で財産の調査結果を報告します。

(6)免責審尋

財産の処分が終わると、最後に裁判所で裁判官と面接する「免責審尋」が行われます。
免責にあたって信頼できる人物かどうかを見られるため、嘘をついていないかなどを確認されます。
また、どのような点を反省しているか、今後の生活の立て直しとしてどのように考えているかなどを質問されることもあります。

(7)免責許可決定

免責審尋からおよそ2週間経過後に「免責許可決定書」が送られ、自己破産の全手続きが完了します。
これで免責が許可されたら、借金の返済義務がなくなるのです。

まとめ


本記事では、自己破産のメリット・デメリットや基本的な流れについて解説しました。
自己破産の手続きはとても複雑で、裁判所とのやり取りも必要になるため、自分ひとりで対応するのは難しいでしょう。

弁護士に依頼すれば、代理人としてそれらの手続きを全て引き受けてもらえるため、負担がとても軽くなります。
さらに借金の取り立てが止められる、残せる財産などを教えてもらえる、自己破産以外の債務整理方法を提案してもらえるなどメリットも豊富です。
自己破産するべきか悩んでいる方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

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