婚約破棄で慰謝料請求する方法│事実証明のための行動、増額要因になる事項とは

離婚・男女問題

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株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
株式会社ココナラ

婚約していた相手から突然結婚の約束を取り消され、悲しみや怒りなどの精神的な被害はもちろん、式場のキャンセルや指輪の購入費用など経済的な影響から損害賠償を請求する人は少なくありません。
実際に婚約破棄においては、300万円以上もの慰謝料が認められるようなケースもあります。
婚約破棄で慰謝料をとれる条件や相場、集めるべき証拠などの知識をつけ、納得感のある解決を目指しましょう。

▼この記事でわかること

  • 婚約破棄の相手に慰謝料請求できるのはどんなケースかわかります
  • 婚約破棄の慰謝料請求に必要な証拠についてわかります
  • 婚約破棄された場合の慰謝料相場がわかります

▼こんな方におすすめ

  • 相手の浮気やDVが原因で婚約破棄することになった方
  • 自分が高額な慰謝料をとれるケースに当てはまるのか知りたい方
  • 婚約破棄で相手に慰謝料を請求したら「婚約していない」と言われた方

婚約破棄とは


そもそも「婚約破棄」とは、結婚の約束をしていたのに一方的に婚約を取り消すことです。

婚約破棄されてしまった場合、合意なく婚約を取り消されるのですから、悲しみや怒りから慰謝料を請求したいと思うことは自然な感情かもしれません。
ただし婚約破棄した相手から慰謝料をもらうには、一定の条件を満たす必要があります。
ここからは、どのような場合に婚約破棄で損害賠償を請求できるのか見ていきましょう。

婚約破棄で損害賠償請求できる場合とは


婚約破棄に至った時、相手に損害賠償請求するために必要なのは「婚約の事実が存在すること」と「婚約破棄について相手方に帰責事由があること」です。
では、それぞれの条件について詳しく確認していきましょう。

(1)婚約の事実が存在する

損害賠償請求するための一つ目の条件は「婚約の事実が存在する」ことです。
「結婚しようね」という口約束だけでも婚約は成立しますが、争いになった場合には客観的な事実で証明しなければなりません。

【婚約事実を証明できる可能性があるもの】

  • 同居している住居の契約書(続柄に「婚約者」と記載されているもの)
  • 結婚式場や披露宴の証明書
  • 婚約指輪購入時の書類
  • 双方の親に挨拶に行った事実

(2)婚約破棄について相手方に帰責事由がある

損害賠償請求するための二つ目の条件は「相手側の責めに帰すべき事由がある」ことです。
もし婚約破棄した正当な理由がある場合は、帰責事由が否定されて損害賠償請求できない可能性があります。

正当な理由が認められる(損害賠償請求できない)例

どんなケースが婚約破棄の正当な理由だと見なされるかは、法定の離婚事由に該当する場合に当てはめるとわかりやすいです。

【婚約破棄が正当な理由と見なされるケース例】

  • 相手が不貞行為をしていた
  • 悪意の遺棄
  • 相手に重度の精神病がある
  • その他重大な理由(相手からのDVや暴言、多額の借金、犯罪歴など)

また、離婚事由に当てはめると「3年以上の生死不明の場合」も該当しますが、婚約中の場合は考えづらいため、婚約破棄の理由としてはあまり用いられません。

上記ケース例のように「婚約破棄されても仕方がない」と思われる事情があった場合、婚約破棄された側から損害賠償請求するのは難しいでしょう。

正当な理由が認められない(損害賠償請求できる)例

一方で、婚約破棄に正当な理由が認められない場合とはどんなケースなのでしょうか。

簡単に言えば、前項に記載したケース以外の場合は損害賠償請求できる可能性があります。
例えば「結婚する気がなくなった」「他に好きな人ができた」「親や友人から反対された」「性格が合わず嫌になった」などの理由は、損害賠償請求できる可能性があると考えられます。

婚約破棄による損害の内容


次に、婚約破棄によって生じる損害賠償の中身についてご説明します。
婚約破棄されたときは「傷つけられた」という感情はもちろん、経済的な被害についても請求する事が可能です。

次項では、婚約破棄で請求できる「財産的損害賠償」と「精神的損害賠償(慰謝料)」についてどのような場合が該当するのかご説明します。

財産的損害賠償

財産的損害賠償とは、婚約したことによりかかった費用全般に対する損害賠償です。

【婚約破棄で請求できる財産的損害賠償の例】

  • 結婚式の予約金やキャンセル代
  • 新婚旅行のキャンセル代
  • 新生活のための新居・家具などの購入費
  • 結婚指輪の購入費
  • 退職したことによる収入減少分

結婚式のキャンセル代や結婚指輪の購入費などはわかりやすい損害金ですが、婚約していなければ得られていたはずの収入も認められる場合があるので、婚約に伴って退職した方は覚えておきましょう。

精神的損害賠償

精神的損害賠償とは、精神的な苦痛を伴ったことに対する慰謝料のことです。
婚約破棄に伴う慰謝料請求でよくあるケースを以下に紹介します。

不貞行為による慰謝料

婚約者の不貞行為によって婚約破棄に至った場合、婚約者だけでなく浮気相手にも慰謝料請求ができますが、浮気相手への慰謝料請求が認められるには「婚約中だと知った上で肉体関係を持っていた」ということを立証する必要があります。

精神的・身体的DVなどによる慰謝料

言葉の暴力や身体的なDVによる婚約破棄で慰謝料請求する場合は、録音や録画、診断書など暴力の事実が客観的にわかる証拠が必要です。

婚約破棄による請求金額の相場は?


婚約破棄の慰謝料相場は、50万〜200万円程度だとされています。
しかし実際は「婚約破棄によってどのくらい精神的苦痛を受けたか」によって最終的な金額が決められるため、なかには300万円以上の慰謝料が認められた事例もあります。

より多額の慰謝料が認められる例

婚約破棄の慰謝料は、婚約期間や婚約破棄に至った理由、婚約中に起こった出来事などさまざまな事情が考慮されるため、高額になるケースもあります。
実際に高額の慰謝料が認められやすい例はつぎの通りです。

交際期間が長い

交際期間や婚約期間が長く、周囲も公認の仲だった場合や結婚適齢期を過ぎてしまった場合は、精神的苦痛が大きいと見なされる可能性があります。
また、長期間同棲していた場合はより悪質とみなされる場合があります。

結婚に向けて大きな変化があった

結婚準備として退職、引っ越し、式場の予約など大きな変化があり、その損害が大きい場合、慰謝料が高額になる可能性があります。

妊娠・中絶をした

婚約破棄に至る時点で妊娠している、または中絶を余儀なくされたケースは、その精神的苦痛は非常に大きく、女性の将来に多大な影響を及ぼす可能性があるため、300万円以上の高額な慰謝料が認められやすい傾向にあります。

相手の年収が高い

もし慰謝料を請求する相手の社会的地位や年収が高い場合は、トラブルを起こさずに解決したいと考え、相場より高額な慰謝料を獲得しやすくなるケースもあります。

婚約破棄された際に必要な準備


ここでは「相手から婚約破棄の慰謝料をとりたい」と思ったときにどんな準備をすればよいのか、ポイントと注意点を紹介します。

(1)証拠をできるだけ多く集める

婚約破棄で慰謝料をもらうには、前述したように「婚約の意思があったこと」「婚約破棄の理由が不当であること」の両方の証明が必要です。
ただしいずれも「この証拠さえあれば証明できる」と法律で定められているわけではないため、証拠をできるだけ多く集めることが慰謝料をもらいやすくするポイントです。

婚約の意思があった証拠

婚約の意思について有力な証拠と見なされるためには、婚約の事実が当事者同士だけでなく周りにも伝わるものかどうかがポイントになります。
具体的に婚約の意思があったことを証明する証拠例は、つぎの通りです。

  • 婚約のあいさつがあったという親族からの証言
  • 結婚指輪の購入証明書
  • 新居の契約書
  • 結婚式場の予約履歴
  • 寿退社の事実 など

正当な理由を否定する証拠

ここでは、婚約破棄に正当な理由がないと証明する証拠例を紹介します。
正当な理由とは、前述の通り不倫・悪意の遺棄・精神病・DVやモラハラなどを指します。そのような事実がないのに身勝手な理由で婚約破棄されたと証明したい場合は、「気が変わったから」「親から反対されたから」など婚約破棄理由が明記された相手からのメールやLINEが有力な証拠となります。

損害内容に関する証拠

ここでは、財産的損害賠償、精神的損害賠償それぞれの証拠について紹介していきます。

財産的損害賠償は、婚約のためにかかった費用をそのまま請求することができます。
下記のように具体的な費用が記載された書類を集めましょう。

【財産的損害賠償の証拠例】

  • 結婚式場の予約金が明記された証明書
  • 新婚旅行のキャンセル代がわかる書類やメール
  • 婚約指輪の値段が記載された証明書や保証書 など

精神的損害賠償においては、受けた精神的苦痛について「本当にその事実があった」とわかる具体的な証拠が必要です。
また、精神的苦痛の度合いによって金額が決まるため、より詳細な内容だと望ましいです。

【精神的損害賠償の証拠例】

  • 不貞行為の場合→写真やビデオ、事実を認めた会話の録音、メールやLINE、不倫相手と宿泊したホテルの領収書など
  • 悪意の遺棄の場合→経緯がわかるメールやLINEのやり取り、生活費が未入金の預金通帳など
  • DVやモラハラの場合→公的機関への相談記録、医療機関の受診履歴、ケガの写真、双方の姿もしくは名前がわかる映像・音声、暴力の内容が詳しく書かれた日記など

<​​h3>(2)弁護士に確認する

前項でお話した通り、婚約破棄で相手から慰謝料をとりたい場合は多くの証拠集めが必要ですが、具体的事案によって必要な対応は異なるため、弁護士から適切なアドバイスをもらうことも重要です。
「恋愛関係の話だし、自分で解決できるのでは」と思いがちですが、損害賠償請求となれば有効な証拠のほか法的根拠にもとづいた交渉力なども求められ、一人で対応するのは大きな負担となります。

【弁護士に依頼するメリット】

  • そもそも相手に損害賠償を請求できるのかわかる
  • 確実に支払ってもらえる損害賠償の適正額がわかる
  • どんな証拠を提出すればよいか明確に教えてもらえる
  • より多額の慰謝料を請求できる可能性がある
  • 婚約破棄してきた気まずい相手と話さなくて済む

また慰謝料の請求には時効があるため、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

まとめ


本記事では、婚約破棄で慰謝料を請求する方法に関してまとめました。

一方的に婚約破棄されるとショックで取り乱してしまいがちですが、冷静にできるだけ多くの証拠集めをすることが慰謝料をもらうために大切なことです。

また多くの事例を見てきた弁護士に相談することで、あなたの場合の慰謝料相場や集めるべき証拠について明確にアドバイスしてもらえるので安心です。
婚約破棄で傷ついているなかで、絶対的な味方となって実務的にも精神的にもサポートしてもらえるのは大きなメリットだといえます。
婚約破棄されて悩んでいる方は、話しやすい弁護士を見つけて一度相談してみましょう。

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