「夫からの暴言がストレスになっている」
「家事や育児について細かく指摘され、精神的につらい」
近年、モラハラによる精神的苦痛で悩む方は増え続けています。
モラハラが常態化してしまい、なかなか「離婚」の一歩を踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、モラハラ夫と離婚するための手順・証拠の集め方・慰謝料の相場などについて解説します。
モラハラが精神的な負担になってしまっている方はぜひご一読いただき、一刻も早く明るい未来を目指しましょう。
▼この記事でわかること
- 自分の夫がモラハラに当てはまるかどうかわかります
- モラハラ夫と離婚する手順がわかります
- モラハラ夫から高額慰謝料をとれるケースがわかります
▼こんな方におすすめ
- ひどいモラハラを受けていて離婚できそうにないと悩んでいる方
- モラハラ気質のある夫と関係改善を試みるか離婚するか迷っている方
- モラハラで離婚した場合にどのくらいの金銭が受け取れるのか気になる方
モラハラとは
モラハラとは、「モラル(道徳や倫理)ハラスメント(いやがらせ)」の略称で、主に身体的ではなく精神的な苦痛を与えるDVの一種と言われています。
以前はモラハラという言葉自体浸透していませんでしたが、近年では離婚原因の上位にランクインするまでになっており、決して他人事ではありません。
この章では、モラハラ夫を作り出す原因は何なのか、そもそもモラハラ行為とは具体的にどんなことを指すのかなど根本的な部分を見ていきましょう。
モラハラをする人に多い傾向
まずはモラハラをしてしまう人に多い傾向について紹介します。
あくまで以下のケースは一例ですので、参考程度に見てみてください。
高学歴で社会的地位が高い
高学歴で就職後も社会的地位が高い立場にいる場合、成功者であるという自覚からプライドが高くなりやすい傾向があります。
そして「相手より自分のほうが立場が上だ」という思考から、相手の主張を認めなかったり自分の物差しで考えたりするモラハラ夫に発展するケースがあるのです。
幼少期の家庭環境
子供の頃に親の過保護や愛情不足などを感じていた人は、大人になってからパートナーに対する愛情表現にゆがみが生じてしまう場合があります。
また、小さい頃に親からモラハラを受けていたことが原因で、大人になってからモラハラをしてしまうケースもあります。
仕事のストレス
仕事が忙しすぎたり人間関係がうまくいかなかったりしてストレスが溜まり、パートナーへモラハラ行為をすることでストレス発散しているケースも存在します。
モラハラ夫になる原因はこのほかにもさまざまな背景が考えられ、長い時間をかけて作り上げられた人格である可能性も高いです。
改善することは難しく、場合によっては諦めざるを得ない状況もあることを認識しておきましょう。
モラハラ行為の具体例
モラハラは具体的にどのような行為のことを指すのでしょうか。
状況や程度、受け手の感じ方によっても印象が変わるため定義が難しいですが、よくある具体例について紹介していきます。
【モラハラ具体例】
- 学歴や職歴、容姿、人格などを否定する
- 理由もなく長時間無視する
- 周囲の人に対しパートナーを馬鹿にした発言をする
- 理由もなく突然激怒する
- 大きな音を立てて物にあたる
- パートナーを束縛しようとする
(外出を認めない、全ての行動を管理する、パートナーがお金を使うと激怒するなど) - 二面性があり、外面は良い など
なかには「夫と結婚当初のような関係に戻りたい」と関係改善を考える方もいらっしゃいますが、前述の通りモラハラ行為を是正してもらうことは難しいです。
モラハラ行為に耐えられない場合は、相手と距離をとる選択肢についても検討してみましょう。
モラハラ夫と離婚するための手順
モラハラは、法定離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまります。
たとえ離婚についての話し合いがもつれ裁判に移行したとしても、モラハラ行為の証拠を裁判所に提示して、認められれば離婚することも可能です。
ここからは、どんな流れで離婚まで進むのかを順番に見ていきましょう。
(1)モラハラの証拠を集める
モラハラ夫と離婚するために重要なのは「証拠集め」です。
モラハラは浮気やDV(身体的暴力)に比べて証拠を残しにくい傾向があります。
相手がモラハラを否定し、明確な証拠がなければ離婚できない可能性もあるため、モラハラされていると客観的に判断できる証拠を集める必要があるのです。
【モラハラの証拠となる例】
- モラハラ発言の録音
- 物にあたっている破壊行為の録画
- LINEのトーク履歴や着信履歴
- 日記やメモに詳細を記録
- 医師の診断書
- モラハラ夫に対して改善をお願いする書面やメール
できれば証拠集めのタイミングから弁護士に相談し、適切なアドバイスをもらいましょう。
弁護士に依頼すれば、話し合いもスムーズに進めやすくなります。
(2)離婚協議
初めは夫婦間で(もしくは弁護士などを交えて)話し合い、離婚を協議するのが一般的です。
ここで離婚が成立できれば問題ありませんが、モラハラを原因とする離婚の場合は「そもそもモラハラの自覚がない」「自覚があっても絶対に認めない」ところから始まるケースが多いです。
モラハラをする人が、この段階で自身の非を認めて離婚に応じる可能性は低いと考えておきましょう。
ただし、夫婦以外の第三者をはさむことでモラハラ夫の対応が変わる可能性はあるため、経験豊富な弁護士に間に入ってもらうことを検討しましょう。
(3)離婚調停
離婚協議がうまくいかなかった場合は、離婚調停に進みます。
離婚調停では家庭裁判所から選ばれた調停委員を交えて離婚について再度話し合います。
ただし調停に強制力はないため、もしモラハラ夫が「離婚しない」と言えば離婚は成立せず、裁判に進むこととなります。
(4)離婚裁判
離婚裁判では、モラハラ夫が「離婚したくない」と言ったとしても裁判所が離婚できるという判決さえ出せば離婚が成立します。
ただし判決を勝ち取るためには、裁判所から「モラハラが法定離婚事由(婚姻を継続し難い重大な事由)に当てはまり、夫婦関係が破綻している」と認めてもらう必要があります。
この時に、事前に集めてきたモラハラの証拠が有力となるのです。
モラハラ夫との離婚で請求できる慰謝料
モラハラ夫と離婚する際に、今まで受けてきた精神的苦痛に対して慰謝料を請求したいと考える人も少なくありません。
実際にモラハラによる精神的苦痛で請求できる慰謝料の相場は数十万〜300万円のケースが多く、一般的にはそこまで高くならない傾向にあります。
高額慰謝料を獲得できる可能性があるケース
モラハラをされていた状況などによって、慰謝料をより多く獲得できる可能性があります。
過去の判例などをふまえ、高額慰謝料が認められやすいポイントを詳しく解説していきます。
モラハラの回数が多い・期間が長い
モラハラが長期間にわたって頻繁に行われていると認められれば、その分被害者の精神的苦痛も甚大だと判断され、慰謝料が高額になる可能性があります。
モラハラが原因で精神疾患になってしまった
モラハラが原因で精神疾患を発症した場合は高額要因となります。
病名がついていなくても、病院を受診しているだけで有利になる可能性があります。
夫婦の婚姻期間が比較的長い
婚姻生活が何十年にも渡る場合は、離婚することで今まで長く続いていた環境が一気に変わってしまうため、精神的負担の大きさから高額な慰謝料の獲得が期待できます。
夫婦間に子供がいる
夫婦間に年齢の低い子供がいる場合や子供が複数人いる場合は、離婚による環境変化が大きく、精神的苦痛も大きいと見なされる可能性があります。
モラハラ夫の資産や収入が多い
慰謝料は相手の支払い能力に合わせて請求する側面もあるため、高収入の仕事に就いていたり豊富な資産を持っている人には高額な慰謝料請求が期待できます。
モラハラ離婚を弁護士に依頼すべき理由
モラハラ離婚の場合、弁護士に依頼するメリットが非常に大きいため、我慢して現状を受け入れたり一人で離婚に向けて動くより、弁護士への早期相談をおすすめします。
なぜ弁護士へ依頼するのがおすすめなのか、その理由を以下で具体的に紹介していきます。
モラハラ夫との離婚は長期化するケースが多い
家庭内の問題はできるだけ自分たちで解決したいと考える方は多いですが、前述したように多くのモラハラ夫は自らに非があることを認めない傾向にあります。
そのため妻から話し合いを持ちかけても応じてもらえず、最終的に調停や裁判に発展するケースが多いのです。
弁護士へ依頼することによって、法的根拠をもとに相手方と交渉でき、話し合いをスムーズに進めやすくなります。
適切な証拠集めを指示してもらえる
モラハラ離婚では証拠集めが重要だとお話しましたが、自己判断で証拠を集めるよりも、豊富な経験を持つ弁護士から「どんな証拠をどのようなことに気をつけて集めればよいのか」などの的確なアドバイスをもらってから集めた方が圧倒的に有利です。
例えば、LINEの履歴は日時を表示させてスクリーンショットするなど、一人では気づきづらい細かいアドバイスも期待できます。
自分の主張を的確に伝えられる
弁護士への依頼によって、相手方の発言に左右されず法的根拠をもとに正当な主張ができるようになり、調停や裁判に発展した際も有利に働くことが多いです。
十分に準備しておくためにも、早期から弁護士に相談しておくことをおすすめします。
より高額な慰謝料をとれる可能性がある
弁護士に依頼すれば慰謝料を獲得するための証拠集めなどを指示してもらえるのに加え、相手がDVや浮気もしていた場合はまとめて高額な慰謝料を請求できる可能性もあります。
また、慰謝料以外の財産分与や養育費について任せられるのも大きなメリットです。
まとめ
本記事では、モラハラ夫の特徴や離婚までの手順などを紹介しました。
モラハラによる精神的苦痛から身体に不調をきたしてしまう方もいますし、夫婦間に子どもがいる場合は子どもにも悪影響を及ぼしかねないため、早期解決をおすすめします。
もし離婚する場合は、慰謝料請求の他にも財産分与や養育費、親権などについても話し合う必要があります。
少しでも悩んでいる方は、モラハラ離婚に知見のある弁護士を探して相談してみましょう。