慰謝料請求をされたけどお金がない場合はどうなる?対処法やポイントを解説

離婚・男女問題

この記事の監修

愛知県 / 名古屋市東区
法律事務所光琳
事務所HP

不倫等が原因で離婚する場合、相手から慰謝料を請求されることもあるかもしれません。
しかし、状況の変化によって、慰謝料を支払う経済的余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。

「自分に非があって慰謝料を請求されているわけだから、借金してでも支払わないといけない」
「支払えないものは支払えない。無視しておけばなんとかなるだろう」
このようにさまざまな考えが思いつくかもしれませんが、対応の仕方によっては、さらなる深刻なトラブルに発展してしまう恐れもあります。

そこで本記事では、慰謝料を請求されたがお金がない場合の対処法やポイントを解説します。

慰謝料請求をされたがお金がない場合の対処法

慰謝料を請求されたけれども、どうしてもお金がなくて支払いたくても支払えないこともあるはずです。
そういった時の対処法としては、以下の4つのような方法があります。

  • 減額交渉をおこなう
  • 分割払いを依頼する
  • 親や兄弟、親戚などに立て替えてもらう
  • 自己破産することで免責の対象になる

この項では、「慰謝料請求をされたけれども、お金がなくて支払えない場合の対処法」について詳しく解説します。
自分や相手の状況などを、総合的に考慮して最適な選択をおこないましょう。

減額交渉をおこなう

慰謝料の請求をされた場合、その金額は妥当なのか、請求内容は正当性のあるものなのか、精査しながら減額交渉をおこなうとよいでしょう。
相手は「精神的苦痛を受けた」と感じているため、慰謝料を請求しているわけですが、感情が高まっており、適正金額よりも高くなってしまっていることも考えられます。

減額交渉の時は、支払えない理由とともに支払い可能な金額を根拠づけて提示しましょう。
場合によっては、相手は納得してくれるかもしれませんし、根拠が確かなものであれば、減額される可能性があります。

分割払いを依頼する

慰謝料の減額交渉をうまく進めることができない場合、分割払いを依頼することをおすすめします。
依頼する時のポイントは以下の4つです。

  • 手元にお金がないことについて誠意をもって説明する
  • 月々の支払い金額を書面に明記して相手に提示する
  • 支払い終える時期の目途を提示して計画性があることを伝える
  • もし支払いが遅れた時の措置についても説明する

交渉の際、相手には分割払いならば毎月支払い続けて完了できる見込みがあることを強調しましょう。
また、手持ちのお金が少しあるようなら、全額を分割払いにするのではなく、まとまった金額を前金として一度支払って、残りの分だけ分割払いにしてもらうよう依頼する方法もあります。

親や兄弟、親戚などに立て替えてもらう

親や兄弟、親戚などに頼めるようなら、立て替えてもらうのも一つの手です。
親族間での相談の場合、関係性によっては無利子で対応してもらえることもあるでしょう。

慰謝料を請求されるような事実があることを親や兄弟、親戚などに事情を話すのは気が引けるかもしれませんが、慰謝料を支払えない状況だと正直に話せば力になってくれる可能性もあります。
そういった配慮をしてくれそうな身内がいるなら、相談してみてください。

自己破産する(免責の対象になる)

慰謝料の支払いが難しい場合は、最終手段として自己破産をするという手があります。
自己破産とは、慰謝料等を支払える見込みがない旨を裁判所に申し立て、審尋を経て免責許可をもらうことです。
持ち家など自身の財産の大半を失いますが、慰謝料の支払い義務は免れます。

ただし、DVで相手にケガをさせてしまった等、悪意で加えた不法行為に対する慰謝料は、自己破産しても免責とならない可能性があります。
さらに、子どもがいる夫婦が離婚した場合、子どもの養育費を支払う義務があると認定されたら、自己破産しても免責とはなりません。

また自己破産をする前に、自己破産を考えていることを相手に示しつつ、再度減額等の交渉をしてもよいでしょう。
自己破産をすると相手は1円も受け取れなくなるため、一度は難しいと判断された減額や分割払いを受け入れてもらえることもあるかもしれません。

慰謝料を請求された時にチェックすべきこと


ここからは、慰謝料を請求された時にチェックすべきことを3つ挙げます。

  • 本当に慰謝料を支払う必要があるか
  • 慰謝料の金額は妥当か
  • 慰謝料請求の「内容証明」は誰から届いたか

慰謝料請求されたからといって必ずしもすべてを受け入れる必要はないケースもあります。それぞれで何をどうチェックすべきか解説します。

本当に慰謝料を支払う必要があるか

まず、慰謝料を請求された場合、その根拠を確かめましょう。

たとえば以下のような場合は、慰謝料を請求されても支払う必要がない可能性があります。

  • 妻ではない女性と深い関係にあっても肉体関係やそれに準ずる行為がない場合
  • 不倫関係になった時点で婚姻関係がすでに破綻していた場合
  • 離婚成立から3年経過していて支払い義務の時効が成立している場合

慰謝料請求をされた時はその根拠をきちんと確認し、納得できない点がある場合は弁護士に相談することをおすすめします。

慰謝料の金額は妥当か

次に、慰謝料の金額は妥当か確認してください。慰謝料の相場は以下の通りです(特殊な事案ではこの幅に収まらないこともあります。)。

不倫(相手夫婦が別居に至らない場合) 50万円~100万円
不倫(相手夫婦が不倫により別居した場合) 100万円~200万円
不倫(相手夫婦が不倫により離婚した場合) 150万円〜300万円
セクシャルハラスメント 数十万円~1200万円
名誉棄損や侮辱(インターネットへの書き込みなど) 数十万円~1550万円
婚約破棄 30万円~200万円

相場よりも明らかに高額ならば、減額交渉の余地があります。
ただし、同じ不倫であっても、悪質さやその時の夫婦の状況や関係性などによって、慰謝料の金額は変動します。
自分のケースは、どのくらいの金額なら妥当なのか知りたい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

慰謝料請求の「内容証明」は誰から届いたか

慰謝料請求の内容証明書郵便は誰から届いたか、という点も重要です。

差出人としては慰謝料を請求する本人か、(請求者から依頼を受けた)弁護士が考えられます。

慰謝料を請求する本人の場合

慰謝料を請求する本人から内容証明郵便が届いた場合、弁護士等の専門家に相談していないことが考えられます。
そのため、法的根拠に基づき前述した「慰謝料を支払う必要性」と「慰謝料の金額の妥当性」を検討してください。
また相手は何を望んでいるか、読み取ることも大切です。
場合によっては、誠心誠意の謝罪や偽りない事実の説明を求めているだけかもしれません。

弁護士の場合

対して、弁護士から内容証明郵便が届いた場合、確実に慰謝料を受け取りたい意思が垣間見えます。

もし相手が弁護士に依頼している場合、調停や裁判などの法的手段も辞さない考えがみえます。
法律の専門家である弁護士を相手に個人が減額や分割の交渉を有利に進めるのは難しいため、自身も弁護士に依頼することをおすすめします。

お金がない状態で慰謝料を請求された場合のNG行為


ここからは、慰謝料を請求されたけれども、お金がなく支払う余裕がない時のNG行為について解説します。
考えられるNG行動は以下の2つです。

  • 消費者金融で借金をする
  • 請求を無視する

それぞれが、なぜNG行為なのか、その理由について解説します。

消費者金融で借金をする

周囲に金銭的援助を頼れる人がいないと、消費者金融で借金することを考えてしまうかもしれませんが、その行為はおすすめできません。

消費者金融は、審査さえ通ればスムーズにお金を貸してくれ、便利に感じるかもしれませんが、金利が高く、結果的に自身を苦しめる原因になることも考えられます。

消費者金融で借金する前に、減額あるいは分割の交渉などを検討してみてください。

請求を無視する

慰謝料の請求を無視すると、慰謝料の条件によっては遅延損害金が発生し、より支払う金額が増えてしまう可能性もあります。
連絡がつかない状態が続けば両親や会社の同僚などと直接連絡をとろうとして、慰謝料で揉めていることを知られたくない人に知られてしまうリスクが高まります。

また、そもそも相手はおおごとにするつもりがなくても、無視し続けられることによって、裁判を起こすこともあるでしょう。
もし裁判所からの通知も無視すると、相手の請求を認めたこととして扱われ、強制執行を受ける可能性もあり、さらに事態を深刻化させる可能性が高くなってしまいます。
まずは自分の状況を正直に伝え、誠意ある行動をとることが大切です。

慰謝料を請求された時は、弁護士に相談しよう


慰謝料を請求された時は、弁護士に相談することを検討しましょう。
弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。

  • 専門家からのアドバイスをもらえる
  • 示談や交渉を任せられる
  • 精神的に支えられる

それぞれについて、さらに詳しく解説します。

専門家からのアドバイスをもらえる

法律の専門家である弁護士からアドバイスがもらえるため、減額や分割の余地があるか、慰謝料の金額は妥当か、などを冷静に判断してもらうことができます。

意外に多いのが、慰謝料を支払わなくてもよいというケースです。
肉体関係がなかったり、すでに慰謝料請求権の消滅時効が完了していたりするなら、慰謝料を支払う必要はないことがほとんどです。

弁護士であれば、慰謝料の支払いを拒否できるかどうかを客観的な立場から適切に判断してくれます。

示談や交渉を任せられる

弁護士であれば、慰謝料の交渉の代理人になってくれ、安心して任せられます。

直接、相手と示談や交渉をするのは精神的に負担が大きいですし、もし相手が弁護士を立ててきたら、こちらも弁護士に依頼しないと、不利な条件で進められてしまう可能性も高いでしょう。

弁護士に依頼するには費用がかかりますが、得られるメリットが多いのであれば検討してみてください。

精神的に支えられる

慰謝料を請求されるという、人生で一度あるかないかの経験は、何をどうしたらよいか不安になり、焦ってしまうこともあるかもしれません。

法律について詳しく、今まで慰謝料問題を扱った経験を持つ弁護士は心強く感じるでしょう。
弁護士に交渉などを一任することもできるため、精神的に支えられる一面もあります。

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まとめ


本記事では、慰謝料を請求されたがお金がない場合の対処法やポイントをまとめました。
慰謝料請求をされた場合、通知に対して無視などはせず、まずは冷静に慰謝料の金額の妥当性を確かめたうえで、相手に誠意ある態度を示し、慰謝料の減額や分割の交渉をしましょう。

最適な慰謝料がわからなかったり、個人間での解決が難しそうであれば、法律の専門家である弁護士への依頼を検討してみてください。
トラブルを先延ばしにせず、慰謝料トラブル解決への一歩を踏み出しましょう。

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