過払い金請求ができるケースとは?手続きの流れやメリット・デメリットなど解説

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CMなどで「過払い金請求」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
払いすぎた利息が戻ってくるというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は過払い金請求には時効があり、何もせずに放置していると本来戻ってくるはずだったお金を受け取れなくなってしまう可能性もあります。

そこでこの記事では、過払い金請求できる可能性がある方のために、請求できる条件や手続き方法について紹介します。
過払い金請求を取り戻したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

過払い金請求とは


「過払い金」とは、貸金業者に「返し過ぎてしまった利息」のことです。
金利は「利息制限法」という法律により、借入金額に応じて15%〜20%が上限と定められています。
この上限を超えて返してしまった利息が「過払い金」で、条件を満たせば返還を求めることができるのです。

現在返済中の借金・返し終わっている借金はもちろん、すでに亡くなっている方の借金についても過払い金は請求できます。
また、ギャンブルや浪費などを目的とした借金など、自己破産が認められない借金であっても、過払い金については請求可能です。

なお、過払い金が発生する可能性があるのは、カードローンやクレジットカードのキャッシングによる借金です。

過払い金が発生した経緯

ここからは過払い金が発生した経緯・仕組みについて紹介します。
利息の上限を定める法律は「利息制限法」と「出資法」の2種類が存在します。
一般的な借金の利息上限は利息制限法によって15%〜20%と定められていますが、2010年6月以前は、この上限を超えたとしても、出資法の上限である年利29.2%以内なら必ずしも違法とは認められず、グレーな状態とされていたのです。
そのため、この15%〜20%を超えた利息は「グレーゾーン金利」と呼ばれています。

以前から利息制限法を超える利息は無効とされていたものの、貸金業者は簡単な条件を満たせばグレーゾーン金利によって受け取った利息も返還する必要がありませんでした。
この利息分は元本の返済にも充当されないため、返済を続けているにも関わらず借金が減らないという状況の原因にもなります。
そして全国で200万人以上もの多重債務者が発生し、ついに利息返還を求める訴訟が相次ぎました。

結果として、最高裁が「利息制限法で定められた利率を超える部分の利息は返還請求が可能」と2006年に判断し、その後2010年の法改正によりグレーゾーン金利は廃止されたのです。
現在では出資法の上限利率も利息制限法と同様とされ、さらに借金問題を解決するための「貸金業法(旧貸金業制限法)」も存在します。

こうした法改正により、過払い金(払いすぎた利息)の返還を請求できるようになったのです。

過払い金請求ができる可能性があるケース


現在もなお、利息を払い過ぎたまま返還されていない方も少なくありません。
とくに次のようなケースに該当する方は、過払い金請求の対象となる可能性があるため、一度ご自身の返済状況を確認してみてください。

  • 2010年6月17日以前に借入れしているケース
  • 過払い請求権の時効の期限内であるケース

具体的な調べ方とあわせて、それぞれ詳しく解説します。

2010年6月17日以前に借入れしている

2010年6月18日以降に契約した借金の金利については、先述した法改正によって最高でも15%〜20%で設定されています。
つまり法改正以降、闇金などを除き、ほとんどのケースで過払い金は発生していません。

そのため過払い金が発生しているとしたら、2010年6月17日以前の借金です。
2010年6月17日以前に借入れした方は、契約書に記載された金利を確認してみてください。

過払い請求権の時効の期限内である

過払い請求権には時効もあるため注意しなければなりません。
2020年4月1日より前に完済した場合の時効は、最後の返済日から10年で成立します。

一方、2020年4月1日以降に完済した借金については、法改正により次のいずれかが時効とされます。

  • 最終返済日から10年
  • 過払い金を請求できると知ってから5年

従来より時効が短くなるケースもあるため、過払い金が発生していることが分かったら、速やかに返還請求することが重要です。

過払い金請求ができないケース


法律で定められた上限金利(15%〜20%)で返済していた場合、そもそも過払い金は発生していないため、返還請求はできません。

また、先述した時効が成立している場合も返還請求権がないため、請求が認められないことも留意すべき点です。

さらに貸金業者が倒産してしまっている場合も、現実的には金銭が返還されない可能性があります。

過払い金請求の流れ


さて、過払い金を請求する方法は、次の2パターンに大別されます。

  • 任意整理の一環として請求
  • 借金完済後に請求

それぞれの流れについて詳しく解説します。

任意整理の一環として過払い金請求をする場合

債務整理の一つである「任意整理」とは、債権者との交渉で「将来利息」や「遅延損害金」をカットし、元本部分について3年〜5年で返済していく制度です。

弁護士に任意整理を依頼し、貸金業者へ受任通知を送付してもらうことが最初のステップです。
そして取引履歴を開示し、過払い金の有無を調査・計算してもらいます。

もし過払い金があれば、残債の支払に充当されます。
過払い金で残債を完済できれば、手続きは終了です。

過払い金を充当しても残債がある場合には、その後の返済スケジュールについて交渉し、和解成立を目指します。

弁護士に依頼してから過払い金が返還(残債に充当)されるまでの期間は3か月〜半年程度です。

借金を完済している場合

すでに借金を返し終わっている場合は、貸金業者との交渉・訴訟によって過払い金を返還してもらわなければなりません。

交渉の場合は任意整理時と同じように、弁護士が取引履歴を開示し、過払い金を算出して返還を請求します。
貸金業者との和解が成立すれば翌月〜数か月後には返還されるため、過払い金請求の中でも最も早く解決できる手段です。

貸金業者が交渉に応じない場合は訴訟へ

ほとんどの貸金業者は過払い金請求に応じますが、中には交渉に応じない業者も存在します。
このような業者に対しては、裁判(訴訟)によって過払い金を請求しなければなりません。

弁護士に依頼して訴訟準備を進め、裁判所へ必要書類を提出してもらいます。
その後、裁判所から貸金業者へ訴状が送られ、期日決定、裁判、判決と進みます。

なお、訴訟まで発展する場合、解決までに1年以上かかるケースが多いことには注意してください。

過払い金請求のメリット


過払い金請求のメリットとしては、次の4点が挙げられます。

  • 払い過ぎた利息を返還してもらえる
  • 時間や費用の負担が少なく解決できる
  • 周囲にバレる心配がない
  • 完済後は手続きをしてもブラックリストに載らない

これらの点に魅力を感じる方は、ぜひ過払い金請求を検討してみてください。

払い過ぎた利息を返還してもらえる

第一のメリットとしては、払い過ぎた利息を返してもらえることが挙げられます。

過払い金請求先への借金を完済しているのであれば、戻ってきた過払い金の使い道は自由です。
生活費として利用することはもちろん、他のカードローンの返済にも充てられます。

時間や費用の負担が少なく解決できる

ほとんどの貸金業者は、弁護士から過払い金請求の通知が届けばスムーズに交渉に応じてくれます。
他の債務整理のような複雑な交渉も不要で、時間もかからず手続きが終了するため、小さな負担で解決できることもメリットです。

なお、任意整理の一環として過払い金請求したとしても、訴訟に比べれば時間も費用もかかりません。

周囲にバレる心配がない

自己破産・個人再生などで債務整理した事実は、官報に掲載されるため、周囲に知られてしまう可能性があります。

一方、過払い金請求は債務整理ではなく、官報に掲載されることはありません。
貸金業者とのやり取りも弁護士が代行するため、郵便物などから家族にバレてしまう可能性も低いこともメリットの一つです。

完済後は手続きをしてもブラックリストに載らない

任意整理によって過払い金請求する場合、「任意整理した事実」はブラックリストに掲載されます。

しかし完済後に過払い金請求する場合は、その事実がブラックリストに載ることはありません。
なお、過払い金請求で返還されたお金で借金を完済できた場合は、ブラックリストに載らないこともあります。

過払い金請求のデメリット


過払い金請求にはメリットばかりではなくデメリットやリスクも存在します。
とくに次の2点は承知しておくべきです。

  • 満額返還される保証はない
  • 返済中の場合はブラックリストに載る可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

満額返還される保証はない

たとえ過払い金を請求しても、満額返金されるとは限りません。
請求先の貸金業者の経営状態によっては、満足な額が返還されない可能性もあります。

返済中の場合はブラックリストに載る可能性がある

借金返済中に過払い金を請求し、返還額が残債よりも多い場合、過払い金請求が「債務整理」とみなされ信用情報に記録される可能性、つまりブラックリストに載る可能性があります。

ブラックリストに掲載されてしまうと住宅ローンや自動車ローンを組むことはもちろん、クレジットカードの利用も難しくなるため注意してください。

過払い金請求を弁護士に依頼すべき理由


自分で過払い金請求することも可能です。
しかし次のポイントをふまえると、過払い金請求は弁護士に依頼すべきといえます。

  • 貸金業者と交渉してもらえる
  • 書類作成や手続きを任せられる

なぜ過払い金請求を弁護士に依頼すべきなのか、詳しく解説します。

貸金業者と交渉してもらえる

自分で過払い金請求する場合、貸金業者と自ら交渉しなければなりません。
借金していた相手に対して「払いすぎた利息を返してほしいと」伝えることに、少なからず精神的負担を感じる方も多いのではないでしょうか。
弁護士に依頼すれば貸金業者との交渉をすべて任せられるため、ストレスを感じることもありません。

また、法律のプロである弁護士が交渉すれば、相手がスムーズに応じてくれやすいこともメリットの一つです。

書類作成や手続きを任せられる

過払い金請求にあたっては、返還を求めるための書類を作成しなければなりません。
利率が関係するため計算方法も単純ではなく、難しいと感じる方も多いでしょう。

さらに任意整理などが関係する場合、その書類作成だけでも多大な手間を要します。
法的な要件に則った書類にする必要もあるため、法律に詳しくない方が作成するのは現実的ではありません。

弁護士に依頼すれば交渉のみならず、書類作成やその後の手続きまですべてを一任できる点もメリットです。

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まとめ


もし過払い金が発生している場合には、時効を迎える前に請求しなければなりません。
とくに2010年6月17日以前にキャッシングが消費者金融での借金の経験がある方は、契約内容について一度確認してみてください。
もし金利が15%~20%を超えていれば、過払い金を請求できる可能性があります。

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