交通事故に遭った場合は、加害者に対して治療関係費や休業損害、入通院慰謝料などの損害賠償金を請求できます。
しかし、適切な損害賠償を受けるには交通事故に関する法律の知識や交渉力が必要であり、自力で解決を目指すのはおすすめできません。
自身の負担を軽減し、きちんと損害を回復するには、法律の専門家である弁護士への依頼がおすすめです。
とはいえ、どのような基準で弁護士を選べばよいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、交通事故の被害者に向けて、弁護士の探し方や選ぶ際のポイントについて解説します。
交通事故を依頼すべき弁護士の選び方
交通事故に遭う機会は、一生の中でも滅多にありません。
ゆえに、どのような基準で弁護士を選べばよいのかわからない方も多くいるでしょう。
ここでは、弁護士選びの基本について解説します。
交通事故の解決実績が豊富
ひとくちに「交通事故」といっても事故によって被害の状況はさまざまで、どのような解決が適切かは異なります。
交通事故の解決実績が豊富にある弁護士は、多種多様な事案に対応できるでしょう。
また、各種手続きもスムーズに進められ、示談交渉のノウハウも有しています。
交通事故で有利な結果を得るには、裁判事例や医学、後遺障害等級認定、保険など、多岐にわたる知識をもった弁護士に依頼することが大切です。
多くの法律事務所はホームページを設けており、相談件数や解決件数、解決事例、お客様の声を掲載しています。
複数の弁護士の解決実績を比較してみるとよいでしょう。
自身と相性が良い
納得感をもって解決を目指すには、弁護士との相性も重要です。
「希望を伝えにくい」「質問しにくい」「話が噛み合わない」など、弁護士の言動に違和感や不信感をもっていると、後々トラブルに発展するおそれがあります。
自身との相性を確かめるために、初回相談時に「気軽に何でも相談できるか」「わかりやすく説明してくれるか」などを、コミュニケーションを通じて確認しましょう。
「専門用語が多くて話がわかりにくい」「一方的に話をしてくる」といった場合は、依頼を避けたほうが無難です。
また、法律事務所によっては、初回相談時に対応した弁護士と依頼後に実際に事件処理にあたる弁護士が変わる可能性があるため、一貫して対応してもらえるのか確認しておくことも大事です。
費用やリスクについて丁寧に説明してくれる
交通事故を弁護士に依頼すれば、相談料や着手金、成功報酬などの費用がかかります。
弁護士報酬は法律事務所によっても異なりますが、事案によっては高額になるケースもあるでしょう。
弁護士に依頼して損害賠償金を獲得できても、弁護士報酬のほうが高額であれば費用倒れになります。
経験豊富で親切に対応してくれる弁護士であれば、法律相談の段階でかかる費用や想定されるリスクについて丁寧に説明してくれます。
交通事故への対応体制が充実している
交通事故に注力している法律事務所であれば、対応体制が充実しており、スピーディかつ細やかな対応に期待できます。
例えば、顧問医と提携している法律事務所であれば、弁護士は医学の専門的な意見を取り入れながら事件を進めることが可能で、より良い解決が見込めます。
交通事故を依頼する弁護士を選ぶ際のポイント
弁護士の選び方にもポイントがあります。
ポイントを知らないまま、やみくもに弁護士を探すのは賢明ではありません。
ここで紹介する5つのポイントを押さえ、弁護士を選んでみてください。
口コミ評価だけでなく、実際に相談して相性をみる
口コミを確認することは、弁護士を選ぶ際の重要なポイントです。
掲載された口コミを見ることで、弁護士の人柄や対応の仕方などを把握できます。
とはいえ、交通事故の類型や被害内容はさまざまで、ホームページに掲載された口コミが自身のケースに当てはまるとは限りません。
依頼する前に口コミを確認することは大事ですが、直接相談してみて相性を確かめることも大切です。
なお、口コミに「弁護士の対応が悪かった」「依頼前後で言っていることが違う」「騙された」など、ネガティブな内容が多く記載されている場合は、依頼を敬遠したほうがよいでしょう。
事前に弁護士費用の相場を把握しておく
費用倒れのリスクを防ぐためにも、弁護士費用の相場を知っておくことが大事です。
弁護士費用に明確な規定はなく、料金体系は法律事務所によって異なりますが、相場はあります。
例えば、示談交渉を依頼する際は着手金が10〜20万円(無料のケースもあるが報酬に上乗せされていることもある)、報酬金は経済利益の10〜30%が弁護士費用の相場です。
弁護士費用が相場を大幅に上回るようであれば、依頼を慎重に検討したほうがよいでしょう。
「弁護士費用が高い=サービスの質が高い」とも限りません。
後遺障害等級認定の実績を重視する
交通事故によって後遺障害が生じた場合は、障害の程度に応じて逸失利益や慰謝料が支払われ、賠償金額が大きく変わる可能性があります。
きちんと損害賠償を受けるには、適切な後遺障害等級認定を受けられるかどうかが重要です。
適切な後遺障害等級認定を受けるには、意見書の記載や資料集めにおいて弁護士の専門知識や経験が問われます。
つまり、弁護士の力量によって後遺障害等級認定の結果が変わることも少なくありません。
後遺障害がある場合は、弁護士の解決実績の中でも「後遺障害等級認定」について細かくチェックしましょう。
事務所へのアクセスはあまり重視しなくてよい
「弁護士へ相談する」となると、自宅から近い法律事務所を探すのが一般的です。
とはいえ、交通事故の対応は電話やメールなどの遠隔で行えるケースも多いため、法律事務所へのアクセスを重視する必要はありません。
最寄りで任せたい弁護士がいない場合は、遠方の法律事務所も選択肢に入れてみてください。
過去に懲戒処分を受けている弁護士は避ける
リスクを避けるのであれば、懲戒処分された経験がある弁護士への依頼は避けたほうがよいでしょう。
弁護士が懲戒処分を受ける例としては、「利益相反行為」「事件放置」など、さまざまです。
「弁護士懲戒処分検索センター」から、過去に懲戒処分を受けた弁護士を調べられます。
弁護士に相談する前に、一度検索をかけてみるとよいでしょう。
自分に合った弁護士を見つける方法
弁護士を選ぶ際の基準やポイントがわかっても、具体的にどのようにして弁護士を探したらよいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、自分に合った弁護士を見つける方法について解説します。
事務所の公式サイト・弁護士ポータルサイトから調べる
弁護士を探すスタンダードな方法は、インターネットを活用して事務所の公式サイトや弁護士ポータルサイトから調べる方法です。
「〇〇県(自分の住んでいる地域) 弁護士」「交通事故 弁護士」などで検索をかけ、ヒットした法律事務所を一つひとつ調べてみるのもよいでしょう。
交通事故に注力している法律事務所は、交通事故専門のサイトを作成していることもあります。
複数の弁護士を比較検討したい場合は、弁護士ポータルサイトがおすすめです。
弁護士ポータルサイトでは、地域や取扱分野、対応体制ごとに弁護士を検索できます。
交通事故に注力している弁護士を一覧形式で表示させることが可能です。
複数の弁護士へ相談する
納得感をもって解決を目指すためにも、気になる弁護士を複数ピックアップし、直接相談してみることをおすすめします。
複数の弁護士と直接話してみることで、特徴や自分との相性、費用などを比較検討できます。
法律事務所によっては初回相談を無料で実施しているケースがあるため、調べてみてください。
また、弁護士だけでなく、受付スタッフや事務員の対応も注意深く観察するとよいでしょう。
家族や友人・知人からの紹介
信頼できる家族や友人から弁護士を紹介してもらうのも手です。
紹介してくれる弁護士の人柄や対応の仕方など、リアルな評価を聞けることから安心感をもって依頼できるでしょう。
ただし、家族や友人がおすすめする弁護士が、自分に適した弁護士であるとは限りません。
紹介してもらう弁護士は選択肢のひとつにとどめ、自身でもインターネットでほかの弁護士を調べて検討するとよいでしょう。
弁護士会や自治体の法律相談
弁護士会やお住まいの自治体が主催している法律相談会に参加するのも良いでしょう。
ただし、相談担当弁護士が直接受任ができないパターンもありますのでご依頼までご希望の場合は事前にご確認ください。
また、このような場から依頼する弁護士を探す場合には、どの弁護士に相談・依頼するかを自分で選べないのが難点です。
交通事故を弁護士に依頼すべきケース
費用倒れのリスクから、交通事故を弁護士に依頼するか悩む方も多くいるでしょう。
事案によっては、弁護士に依頼せずに自身で対応したほうが経済的なケースもあります。
ここでは、交通事故を弁護士に依頼したほうがよいケースを5つピックアップして紹介します。
提示された賠償金や過失割合に納得がいかない
過失割合や賠償金が適切かを判断するには、法律の知識が不可欠です。
慰謝料の算定基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。
- 自賠責保険基準:交通事故の被害者を最低限救済するための基準
- 任意保険基準:加害者側の任意保険会社が、被害者と示談交渉をする際に用いる基準
- 弁護士基準:過去の裁判例をもとに作られた基準
加害者側の保険会社が任意保険基準で算定した慰謝料は、自賠責保険基準に近いケースがほとんどです。
賠償金に納得がいかない場合は弁護士に依頼し、裁判所が認める適正な金額基準である「弁護士基準」で算定してみることをおすすめします。
保険会社から治療費の打ち切りを打診された
交通事故から一定期間が経過すると、加害者側の保険会社から治療費打ち切りの打診や、一方的に治療費を打ち切ってくるケースがあります。
事故による怪我が完治していない場合、痛みを我慢して治療を中断するか、自費で治療を続けるか、悩んでしまう方もいるでしょう。
基本的には、完治または症状固定の判断が医師になされるまで治療を継続することが大事です。
怪我が完治していないのにもかかわらず保険会社から治療費打ち切りを打診された場合は、自身で対応せずに弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼することで、治療費延長の交渉を任せられます。
後遺障害等級認定を受けたい
後遺障害等級認定を受けるには意見書と必要な資料を添付することが必要であり、専門的な知識がなければ適切な申請手続きが行えません。
被害者自身が申請手続きすることで、低い等級しか獲得できなかったり、認定結果が非該当になったりする可能性があります。
治療初期の段階で弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定を見越した通院頻度のアドバイスを受けられます。
また、後遺障害診断書に不備がないかチェックしてもらえるほか、専門家の視点から申請のサポートもしてもらえる点もメリットです。
等級認定の結果に不服がある場合は、異議申し立てのサポートもしてもらえます。
重傷、死亡事故の被害者側の立場である
死亡事故や重度な後遺障害が残る事故に遭うと、被害者やその家族にかかる精神的な負担も大きくなります。
今後の生活にも不安が残るため、軽微な事故以上に適切な賠償金を支払ってもらう必要があるでしょう。
しかし、賠償金額が大きくなるほど加害者側の保険会社も本気を出し、できるだけ低い金額で示談が成立するよう交渉してきます。
保険会社は交通事故の交渉に慣れており、言葉巧みに話を進めてくるでしょう。
自身で示談交渉の対応をすれば、保険会社の巧みな話術によって低い金額で合意せざるを得なくなるおそれがあります。
また、話し合いがもつれて裁判に移行した場合は、保険会社は弁護士を付けて徹底的に争ってくるでしょう。
ゆえに、重大な事故になるほど弁護士の必要性は高くなるため、早い段階で依頼を検討したほうが賢明です。
任意保険に弁護士費用特約が付いている
弁護士費用特約は、保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約です。
着手金や報酬金などの事件対応費用を300万円まで負担してくれるため、事故の内容によっては被害者自身が一銭も払わずに解決できる場合があります。
弁護士費用特約は、自動車保険や医療保険などに付いてくることがあります。
自身が加入している保険を確認し、弁護士費用特約が付いている場合は、前向きに弁護士への依頼を検討してみてください。
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まとめ
交通事故に遭ったときは、自身で解決を目指すのではなく、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼することで、加害者側の保険会社との示談交渉を任せられ、賠償金アップに期待できます。
また、後遺障害等級認定の申請手続きをサポートしてもらえたり、治療費打ち切りに対応してもらえたりと、メリットが多くあります。
弁護士を選ぶ際は、「解決実績が豊富にあるか」「自身と相性が良さそうか」「弁護士費用について丁寧に説明してくれるか」などをチェックしてみてください。