任意同行は拒否できる?逮捕との違いや、取り調べのポイントについて解説

刑事事件

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JIN国際刑事法律事務所
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もしも突然、警察官から任意同行を求められた場合、どのように対応するべきなのでしょうか。

任意同行は原則として拒否ができますが、軽率に拒否してしまうと思わぬ逮捕につながる危険性があります。

この記事を読んで、あらかじめ任意同行に応じる際のポイントを把握しておくことで、逮捕や起訴のリスクを抑えましょう。

▼この記事でわかること

  • 任意同行の詳細を解説します
  • 任意同行と職務質問や逮捕の違いを説明します
  • 任意同行に応じる場合のポイントがわかります

▼こんな方におすすめ

  • 任意同行を要請された・されそうな方
  • 家族が任意同行されてしまった方
  • 犯罪にあたる行為をしてしまったかもしれない方

任意同行とは


任意同行とは、犯罪の疑いがある「被疑者」から話を聞くため、警察官や検察官といった捜査官とともに警察署等へ赴いてもらうことです。

多くの場合、被疑者の自宅に訪問して任意同行を求めます。
任意同行に応じると、被疑者は警察署などの施設に行って取り調べを受けます。
取り調べも任意で応じているだけであり、強制力はありません。
そのため、被疑者はいつでも施設から退去できます。

なお、被疑者ではなく、刑事事件に関する情報を持つと考えられる「参考人」として任意同行を求められる場合もあります。

任意出頭との違い

任意同行と似ている用語として、「任意出頭」が挙げられます。

任意出頭とは、指定の日時に警察署へ来るように電話や手紙によって知らせる方法です。
任意同行と同じく、任意出頭も拒否できます。

対する任意同行は、捜査官が被疑者の所在地に直接赴き、一緒に警察署へ行くように求める方法です。
自分一人で警察署に行く任意出頭と比べて、捜査官に付き添われる任意同行のほうが逃亡や証拠隠滅を疑われている状況と言えます。

職務質問との違い

職務質問とは、「犯罪の嫌疑がある」や「犯罪を実行しようとしている」といった人物を引き留めて質問することです。
具体的には、氏名や住所を聞かれたり、身分証の提示を求められたりします。

任意同行と同じく、職務質問に応じるかは任意になります。
したがって、任意同行との大きな違いは、聴取や質問の場です。
任意同行は警察署へ行ってから聴取を受けますが、職務質問は路上などのその場で行われます。

任意同行を求められる理由


任意同行を求められる理由は、「犯罪の嫌疑がある」と「職務質問からの流れ」の2つのパターンがあります。
それぞれの具体的な理由と法的な根拠を確認しましょう。

犯罪の嫌疑があるパターン

ひとつ目は、警察官がすでに犯罪の嫌疑を持っているパターンです。
法的根拠は、次の刑事訴訟法198条です。

刑事訴訟法 第198条

『第百九十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。』

e-Gov:刑事訴訟法第198条より引用)

警察官が任意同行を要請する場合、「捜査段階のケース」または「通常逮捕できるがあえて要請するケース」の2つに分かれます。
警察官は被疑者を逮捕した後の取り調べでは、48時間以内に検察官へと事件を引き継ぐかを判断するルールがあります。

任意同行の取り調べには、48時間以内といった時間制限がありません。
時間制限がない状況で取り調べをするため、あえて逮捕前に任意同行を求めるわけです。

職務質問からの流れで求められるパターン

2つ目は、職務質問からの流れで任意同行を求められるパターンです。
職務質問における任意同行は、警察官職務執行法第2条2項にて以下のように定められています。

警察官職務執行法 第2条第2項

『2その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。』

e-Gov:警察官職務執行法第2条2項より引用)

つまり、「本人の不利益になる」もしくは「交通の妨害になる」といったケースでは、任意同行を要請されます。
任意同行に応じる場合、近くの警察署や派出所などの施設に赴きます。

任意同行と逮捕の違いは「強制力」の有無


任意同行と混同されやすい行為に「逮捕」があります。
任意同行と逮捕の違いは「強制力」の有無です。

そもそも逮捕とは、被疑者の身柄を拘束する強制捜査です。
被疑者を警察署等へ連行し、事件についての取り調べを行います。
被疑者は自由に退去できないばかりか、外部と連絡もできません。

一方の任意同行には、一切の強制力がありません。
自分の意思で警察署へ行って取り調べを受けるため、自由に帰宅や連絡ができます。

逮捕は逮捕状の発行も必要になる

捜査機関が被疑者を逮捕する際は、根拠として「逮捕状」が必要になります。
捜査機関は裁判官に逮捕状を請求し、逮捕の必要性が認められれば発行してもらえます。

ただし、逮捕状が必要になるのは「通常逮捕」のみです。
通常逮捕とは、捜査機関が事前に逮捕状を取得してから被疑者を拘束する方法です。
犯行と同時に逮捕する「現行犯逮捕」や、緊急性が高い状況で行う「緊急逮捕」では逮捕状は必要ありません。

任意同行は拒否できるが逮捕される場合もある

「任意」同行の名称通り、警察署等に行くかは任意なため拒否も可能です。

ただし、拒否自体を理由とした逮捕の危険性はないものの、逃亡や証拠隠滅のリスクが高いと疑われる要因となります。
本当に無実だったとしても、むやみに拒否を繰り返せば「こんなに嫌がるなんて怪しい」と疑われて逮捕状を請求されてしまうかもしれません。
また、逮捕の前段階として任意同行を要請しているケースもよくあります。
その場合では任意同行を拒否したとしても、いずれ逮捕される可能性は否めません。

任意同行に応じる際のポイント


任意同行に応じる場合、自身に不利にならないような立ち回りが重要です。
上手く対応できれば、逮捕や起訴などのリスクを回避しやすくなります。

任意同行に応じる際は、以下4つのポイントを把握しておきましょう。

弁護士に同行してもらう

弁護士に任意同行に付き添ってもらうことで、的確なアドバイスを受けられます。

任意同行を求められる前から相談しておけば、取り調べの戦略についても打ち合わせが可能です。
さらに、弁護士は捜査機関へ逮捕の必要性がない点を主張したり、捜査方針を確認したりもできます。

注意点として、弁護士は取調室へは入れず、一緒には取り調べを受けられません。 
任意同行の取り調べは好きなタイミングで退室できるため、取調室の近くで待機している弁護士から適切な指示をもらえます。

取り調べの内容を録音する

任意同行の取り調べの際に、可能であれば録音しましょう。

自白や供述調書へのサインの強要など、違法な取り調べを受けた場合の証拠として扱えます。
また、取り調べ時の録音を禁止する法律はないため、自由に録音が可能です。
ただし、警察官が取り調べの録音を認めることは考えづらいため、隠れて録音する必要があります。

事件によって取り調べにかかる時間は差がある

任意同行によって取り調べを受ける場合、最大期間の定めはありません。

たとえば、逮捕後の取り調べは最大48時間までであり、警察官は期間内に検察官への送致の有無を決定します。
任意同行は制限がないことから、取り調べ期間は事件によって差があります。

逮捕と違って身体拘束されるわけではないものの、想定以上に取り調べ期間が長くなる可能性に注意しましょう。

都合が合わない場合は調整する

介護や子守などの事情により、どうしても任意同行に応じられないケースも考えられます。

その際は、任意同行を受け入れられない理由と同行可能な日時を冷静に伝えましょう。
感情的に対応してしまうと、嘘をついていると勘違いされかねません。

さらに、捜査官を振り払ったり押しのけたりすると、公務執行妨害罪として現行犯逮捕される危険性があります。

えん罪で任意同行を求められたら弁護士に相談を


身に覚えがないにもかかわらず任意同行を求められた場合、まずは落ち着いて家族に伝え、弁護士へ相談しましょう。

任意同行に応じて取り調べを受ける際は自由に退室できるため、不利な供述をしないように弁護士のアドバイスをこまめに受けることが大切です。
また、供述調書への署名や押印は、自己判断で行わないようにしましょう。
供述調書にサインすると、「被疑者は記載内容に同意している」と見なされます。

供述した内容を裏付ける証拠として扱われるため、必ず弁護士の判断を仰ぎましょう。
加えて、黙秘権を行使すべきタイミングなど、弁護士にはさまざまな戦略を練ってもらえます。

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まとめ


任意同行とは、事件の被疑者に警察署等へ来るように要請することです。

任意同行は、「犯罪の嫌疑がある」または「職務質問からの流れ」のどちらかで求められます。
逮捕と異なり強制力はありませんが、むやみに拒否すれば逮捕されるリスクが高まります。

任意同行を求められた際は、早い段階で弁護士へ相談してみてください。

逮捕や起訴を回避するために専門的な支援を受けられるため、一人で対応するよりも安心して任意同行に応じられるでしょう。

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